2015年7月1日水曜日

バイパスを建設した意味



去年ロングライドで富士みち(国道139号)を通ったんですが、



並行バイパスが用意されている区間でも市街地内の旧道を車がひっきりなしに走っていて、都留市の谷村工業高校(*1)前では、朝の登校時間、学校前の信号の無い横断歩道で大人が旗を掲げて車を止め、生徒を横断させてからドライバーに頭をぺこぺこ下げていて、何の為に都留バイパスを建設したのかと頭を抱えたくなる光景でした。

*1 嘗ては生徒数の増加で普通科を桂高校として分離独立させた同校ですが、少子化の影響で2014年に再び一つになり、都留興譲館高校と改名しています。(同校公式サイトの「校長挨拶」ページ参照)


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バイパス道路沿いで商業開発が進む

また、富士吉田市内の富士見バイパスでは広大な駐車場を備えた小売店が沿道に林立しつつあって、依然としてモータリゼーションに全力で突き進んでいる地方都市の姿を直視する事になりました。

この現状について市は、「第5次富士吉田市総合計画」> 第3編 基本計画 第3章 安全で快適な暮らし環境の構築 >「3-2 市街地整備」(pdf)で、

p. 77 (pdf p. 1)
本市においては、近年、既成市街地における商店街の空洞化、土地利用の混在、市街地縁辺部や幹線道路沿道における都市化の進行、幹線道路の未整備による交通渋滞等、様々な課題が顕在化してきています。

/* 中略 */

本市においても、商業・ 業務・居住等の都市機能が集積した既成市街地は、/* 中略 */ 公共公益施設の郊外移転など都市機能の拡散、モータリゼーションの進展、大規模集客施設の郊外立地、消費者のライフスタイルの多様化、後継者難、中小小売業の適応力の不足等、複合的な要因により空洞化が進行している状況です。

/* マーカー強調は引用者 */
と懸念を示しています(*2)。

*2 クルマ依存の実態については、2010年の国勢調査に拠れば、富士吉田市の住民の実に76.54%が通勤・通学に自家用車を使っています(利用交通手段が自家用車のみの場合。ちなみに自転車は3.29%。自転車+鉄道という都会では定番の組み合わせに至っては僅か0.11%です)。

そして、この現状に対して既成市街地の活性化が必要との方向を打ち出しています:

p. 77 (pdf p. 1)
同地区は古くからの建築物が点在しており、レトロな昭和の街並みの雰囲気を醸し出していることから、この街並みを活かし、良好な住環境を保ちつつ、誰にでもやさしく、安全で快適に買い物や散策ができ、にぎわいのあるまちづくりを促進することが大きな課題となっています。

市街地の狭い歩道(富士吉田市)

ところが、同じ文書の次のページでは、

p. 78 (pdf p. 2)
一方、市街地の縁辺部などについては、富士見バイパスなどの完成による都市化の進行や西原地区、明見地区(御伊勢山・向海等)、城山東地区、田端地区等、土地区画整理事業による面的な整備がなされています。今後においては、 土地区画整理事業の推進や幹線道路の整備と連動した計画的な開発により、良好な住環境、適正な沿道サービス機能、新たな産業生産機能などを整備する必要があります。
と、旧市街の衰退やクルマ依存の進行といった諸問題を加速させる方向にやる気満々です。

p. 79 (pdf p. 3)
市街地の縁辺部などについては、不整形な土地の形状を整え、道路、公園、ガス、上下水道などを総合的に整備するとともに、個々の宅地を整然と区画することを目的としている土地区画整理事業の推進や幹線道路の整備と連動した計画的な開発により、良好な住環境、適正な沿道サービス機能、新たな産業生産機能などの整備を推進していきます。
まあ、人口がどんどん増えてるなら都市を拡張するのも分かりますけど、

第5次富士吉田市総合計画」>  第1編 総論 第2章 富士吉田市の概況と特性 >「3 人口等の動向」では、

p. 7 (pdf p. 1)
昭和 40 年代に大きく増加した後、増加率は徐々に鈍化し、平成 7 年以降は減少に転じています。
というのが実態です。それでも市は、「第5次富士吉田市総合計画」> 第2編 基本構想 第1章 都市像 >「3 将来人口」で、

p. 22 (pdf p. 1)
そこで、現実的な人口をにらみながらも、本市に暮らす人々が満足し、豊かで輝きが持てる生活環境を確保するための施策、人口の減少に歯止めをかけるための保健福祉施策や教育施策、さらには、産業振興施策の充実・強化など、魅力的なまちづくりを推進し、人口の求心力を強化する必要があります。

こうした施策の推進により、本計画の最終年度である 2017 年度(平成 29) に予想されている人口減少の傾向に歯止め・抑制をかけることとし、人口指標を 51,000 人と設定します。
と、楽観的な予想にしがみついています。何と分かりやすい財政破綻フラグ(笑)

国もコンパクトシティーを後押しするなら、八方美人な政策を誘発しかねない「中心市街地の活性化に関する法律」とかじゃなくて、「市街地の膨張を規制する法律」的な率直な名前にすれば良かったのに。

ちなみに、直近の富士吉田市の財政力はどうかというと、自治体ランキングの集計に拠れば、2013(平成25)年時点で財政力指数0.68、市町村類型 II-2(*3)の28自治体中では17位と、あまりパッとしない数字です。

*3 人口と産業構造による分類。詳しくは総務省の「地方公共団体給与情報等公表システム」のページ参照。

ん? 同類型でのランキング1位はすぐ隣の山中湖村ですね。指数1.86というぶっちぎりの値です。ただこれは、

山中湖サテライトオフィスプロジェクト(Facebookの2015年2月6日の投稿
収入は北富士演習場補助金とファナックからの税収に大きく頼っています。
というのが実情だそうです。

富士山と自衛隊


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