2015年7月15日水曜日

オランダの速度違反の罰金体系

幹線道路と生活道路が明確に区別されているオランダでは、同じ速度超過でも生活道路の方が罰金額が大きくなるという合理的な体系が設定されているそうです。

Mark Wagenbuur (2012) “I was only speeding slightly” BICYCLE DUTCH

Wagenbuur (2012) の記事中の表を元に作成
(換算レートは2015年7月15日時点の1 EUR = 136 JPY)
 日本の罰金額は道路交通法施行令、別表第六の普通車の欄を参照



オランダの体系(2012年時点です)を見ると次のような特徴に気付かされます:
  • 5km/h超過からきめ細かく罰金額が設定されている;
  • 超過速度に応じた増額ペースが日本より遥かに急激;
  • 30km/hゾーンとそれ以外では罰金額に大きな差が付けられている;
  • 30km/hゾーンで20km/h超過した場合の罰金額は日本の2倍以上。
歩行者や自転車を撥ねる可能性が高い道路では僅かな速度超過も許さず、高額な罰金を科している事が分かります。対して日本は、交通弱者を負傷・死亡させるリスクを考慮せず、適当に切りの良い数字を並べているだけです。

なお、オランダの道路は基本的に3つの階層(ヴォーネルフを加えると4階層)に区分されており、各階層の制限速度は市街地の内部と外部それぞれで標準化されています。次の表は、最上位の通過交通用の道路(stroomweg)を除いた各階層の制限速度の一覧です:

道路の階層 市街地 郊外
gebiedsontsluitingsweg 50, 70 km/h 80 km/h
erftoegangsweg 30 km/h 60 km/h
woonerf 15 km/h

詳しくはオランダの道路Wikiを参照してください。

道路の階層区分

高速道路

市街地の内外の区分(ビベコとブベコ)


日本のように道路の階層性の区分が曖昧でスペクトラムのように連続しており、市街地と郊外の境界も朧げな状況では、オランダのような罰金体系を組み立てるのは困難でしょう。ドライバーが(取り締まる警察官も)道路の種別(性格)を明確に認識できないからです。


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