2013年9月23日月曜日

非対称組みによるテンション差の是正効果

オチョコの有る後輪で左右のスポークのテンション差を縮める為に、
例えば右側のスポークを 2 cross, 左側のスポークを 3 cross で
組むという手法が有ります。(通称ヨンロク組み)


Campagnolo の G3 や Fulcrum の 2to1, Shimano の OptBalといった、
左側のスポークの本数自体を間引いてしまう組み方よりは
テンション差の縮小効果はだいぶ小さいと思いますが、
どのくらいの効果が有るんでしょうか。

スポークをベクトルの線として見做すと、その力を分解して考える事ができます。
ベクトルの内、横方向(ハブ軸方向)の成分が左右のスポークで釣り合った時、
リムがホイールの中心線上で安定します。

であれば、ハブの寸法やスポークの長さ、角度から、
左右のスポークの張力を逆算できるはずです。

とりあえず以下の条件で机上計算してみました。

ハブ
  • PCD : 45 mm(左右とも同じ)
  • Center to Right Flange : 20.35 mm
  • Center to Left Flange : 37.55 mm
  • Drillings : 32
スポーク
  • Diameter : 1.8 mm(左右とも同じ)
  • Count : 32
リム
  • ERD : 594 mm
  • Offset : 0 mm(左右の穴振りも無しと仮定)
  • Drillings : 32

(Shimano FH-2400 + Sapim Race + KinLin XR-200 を想定しましたが、
現物は持っていないので正確かどうかは分かりません。)


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右側のスポークを 120.00 kgf で固定した場合の計算結果です。
単純にスポーク長と center to flange の比率を元に計算しています。
張力による伸びや綾の影響は無視しています。

組み方(R/L) L (kgf) R (kgf)
ゼロゼロ(0 cross / 0 cross) 65.46 120.00
ゼロニイ(0 cross / 1 cross) 65.89 120.00
ゼロヨン(0 cross / 2 cross) 67.11 120.00
ゼロロク(0 cross / 3 cross) 68.89 120.00
ゼロハチ(0 cross / 4 cross) 70.94 120.00
ニイニイ(1 cross / 1 cross) 65.45 120.00
ニイヨン(1 cross / 2 cross) 66.66 120.00
ニイロク(1 cross / 3 cross) 68.44 120.00
ニイハチ(1 cross / 4 cross) 70.47 120.00
ヨンヨン(2 cross / 2 cross) 65.44 120.00
ヨンロク(2 cross / 3 cross) 67.18 120.00
ヨンパチ(2 cross / 4 cross) 69.17 120.00
ロクロク(3 cross / 3 cross) 65.42 120.00
ロクハチ(3 cross / 4 cross) 63.51 120.00
ハチハチ(4 cross / 4 cross) 65.40 120.00

但し、試算で使った部品構成で 4 cross にすると
スポークが隣の穴のスポークヘッドに乗ります。
また、左のスポーク長は約 300 mm になります。
市販のスポークでは上限ギリギリの長さですね。