2010年2月21日日曜日

なう (3) 状態

前回の続き。

 場所の次は、「いま何々な状態です」の意味を表わす用例を見る。
「名詞+なう」形式も見られるが、多くは述語や文に「なう」を付けた
形式で、細かい状況を補う傾向が見られる。



「布団ラブなう
「体育座りなう
「さて、本気なう
「残りライフ2なう
「早朝クラスタなう
「なんだか胸焼けなう
「冷えて腹が下ってるなう
「ボルテージ上がりまくり、なう
「尼崎ココエに行く途中迷子なう!」
「あきまんさんのpostに萌えてるなう
「吉野家の牛丼大盛りで腹六分目なう
「(学祭に)行くべしなんだろーけど、、だるいなう
「ステッカーの量産体制にはいろっかなーと思ってるなう
「お風呂上がりなう。営業マンの荒栄さんとジュース飲んでます。」

 用例の「なう」は「今、何々です」に単純に置き換えられるだろうか。
幾つかの用例では「なう」を省略しても文意は充分に通じると感じる。
(例えば、「なんだか胸焼け」、「冷えて腹が下ってる」、「だるい」)

しかし一方では、「なう」が付く事で、それが書き手の
現在の状態であるとはっきりする場合も見られる。
(例えば、「体育座り」、「早朝クラスタ」、「迷子」、「お風呂上り」)

 多くの用例は書き手を主語としているが、そうでない場合も見られた。

「鉄道博物館、予想をはるかに上回る楽しさなう
「今朝もいい天気なう。全力サイクリング中!気持ち良い♪」
「いつの間にか寝てて、ニチアサキッズを半分以上見逃して凹む日曜なう。」
「日曜出社は、悲しーね。電車もバスも駅もカップルとファミリーだらけ、なう。」

これらの「なう」をどう解釈するか。
特に「今朝もいい天気なう」や「……凹む日曜なう」からは、
「なう」が単純に「今、何々です」とは解釈できない事が分かる。

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註釈

「ライフ2」 「ライフ」は恐らくゲーム用語。ゲーム内のキャラクターの
体力を表すパラメーターで、ダメージを受けると減り、0になると
ゲームオーバーになる。「ライフ2」は「体力が殆ど残っていない」、
或いは 「精根尽き果てそうだ」を意味すると考えられる。
この場合のアクセントは「の[こりら]いふ/[に]な]う」だろうと内省する。

「早朝クラスタ」 「クラスタ」はネット用語で、「…な嗜好・性質を持つ
ユーザー群」。 おそらく早朝に活動しているユーザーの内、
夜更かし(寝る直前)の群を深夜クラスタ、
早起きの群を早朝クラスタと呼ぶのだと思われる。

「ニチアサキッズ」 テレビ朝日が日曜日の朝に設定している子供向け番組の時間帯。