2010年2月22日月曜日

なう (5) その他

前回の続き。

 「なう」は基本的には現在の動作や状態を表すが
一部、「今、何々してる」と解釈できない用例も見られた。



  「なう。11時34分39秒です。」

これは「AはBです」型の文と似ており、「なう」が主題として
機能している様に見えるが、句点はどう解釈したら良いだろうか。

厳密に考えると「なう」一語で文として成立している事になり、
「なう」が(感嘆詞でなければ)述語であると考えられるが、
意味はどうなるのか。

名詞の「いま」相当と考えた場合は、「AはB」のBが「なう(= 今)」、
主題のAは(省略されているが)「発話時点である今」を指示する。
すると結局、「今は今」という同語反復になってしまう。

困る。

だが、これだけではない。

  「おはようなう
  「おはようございますなう

これは今まで見てきた「今、何々してる」や
「今、何々の状態」の例とは根本的に異なる。

「何々してる」も「何々の状態」も、文の枠組みは

  「AはB」 (e.g. A=私、B=だるい)

という形に還元できるが、「おはよう」は「何がはやい」
というわけでもない、本来の意味を失った、挨拶言葉である。

では、この「なう」は何なのか。キャラ語尾ではないかと考え、
書き手二人の他のつぶやきを見たが、語尾・文末に
「なう」が付かない、普通の ですます体で書かれていた。

Googleで検索しても、この「おはようなう」は相当数見付かる。
以下の検索キーワードをgoogleで調べられる。

  site:twitter.com "おはようなう"

正直言って、「おはようなう」は意味がよく分からない。
文脈から強引に解釈すれば、

  いま、書き手が「おはよう」と言う状況になった
  (目が覚めて最初に人に会う=入力端末を手にする)

という事になろうか。

(学校やバイト先に着いて人に会った時も「おはよう」と
言うが、この意味では使わない気がする。何故か。)


すると「おはよう」を挨拶言葉ではなく
述語として使っているのだろうか。

  私は今、「おはよう」です。(私は今、起きました。)

分からなくはないが、それでは「おはよう」が挨拶としては
機能していない様に感じられる。いや、当の書き手は
述語、且つ挨拶として認識しているのかもしれない。

  「おはようなう。」
  (私は今、「おはよう」です。おはよう。)

一体、「おはよう」はどこに向って飛んでいくのか…。
だが、これでもまだ解釈の足掛かりは有る方だ。
今回採集した用例の中での極め付きは、これ。

  「なうなうなうなう」

降参。もう動物の鳴き声にしか聞こえない。