前回の続き。
「なう」は基本的には現在の動作や状態を表すが
一部、「今、何々してる」と解釈できない用例も見られた。
「なう。11時34分39秒です。」
これは「AはBです」型の文と似ており、「なう」が主題として
機能している様に見えるが、句点はどう解釈したら良いだろうか。
厳密に考えると「なう」一語で文として成立している事になり、
「なう」が(感嘆詞でなければ)述語であると考えられるが、
意味はどうなるのか。
名詞の「いま」相当と考えた場合は、「AはB」のBが「なう(= 今)」、
主題のAは(省略されているが)「発話時点である今」を指示する。
すると結局、「今は今」という同語反復になってしまう。
困る。
だが、これだけではない。
「おはようなう」
「おはようございますなう」
これは今まで見てきた「今、何々してる」や
「今、何々の状態」の例とは根本的に異なる。
「何々してる」も「何々の状態」も、文の枠組みは
「AはB」 (e.g. A=私、B=だるい)
という形に還元できるが、「おはよう」は「何がはやい」
というわけでもない、本来の意味を失った、挨拶言葉である。
では、この「なう」は何なのか。キャラ語尾ではないかと考え、
書き手二人の他のつぶやきを見たが、語尾・文末に
「なう」が付かない、普通の ですます体で書かれていた。
Googleで検索しても、この「おはようなう」は相当数見付かる。
以下の検索キーワードをgoogleで調べられる。
site:twitter.com "おはようなう"
正直言って、「おはようなう」は意味がよく分からない。
文脈から強引に解釈すれば、
いま、書き手が「おはよう」と言う状況になった
(目が覚めて最初に人に会う=入力端末を手にする)
という事になろうか。
(学校やバイト先に着いて人に会った時も「おはよう」と
言うが、この意味では使わない気がする。何故か。)
すると「おはよう」を挨拶言葉ではなく
述語として使っているのだろうか。
私は今、「おはよう」です。(私は今、起きました。)
分からなくはないが、それでは「おはよう」が挨拶としては
機能していない様に感じられる。いや、当の書き手は
述語、且つ挨拶として認識しているのかもしれない。
「おはようなう。」
(私は今、「おはよう」です。おはよう。)
一体、「おはよう」はどこに向って飛んでいくのか…。
だが、これでもまだ解釈の足掛かりは有る方だ。
今回採集した用例の中での極め付きは、これ。
「なうなうなうなう」
降参。もう動物の鳴き声にしか聞こえない。