データは年間合計で181件。
警察の事故統計が語るのとは全く違う、道路で感じる危険の実態をご覧下さい。
2015年3月27日 本文の表現を修正
はじめに
データには欠損期間が有ります。要は、ニアミス事例の記録に飽きていた時期が有ります(笑)
また、サイクロコンピューターが無かったので総走行距離や総走行時間は不明です。距離当たりの危険遭遇率などは算出できません。
それからニアミス認定基準は全くの主観です。主観的にヒヤッとしたかどうかで決めています。
私の場合、日本より厳しい欧米の交通安全ルールや、弱者保護の精神が浸透したヨーロッパの文化を知っているので、追い越し時の側方間隔や追走時の車間距離の不足にはかなり敏感です。
ですから、仮に別の人が私と全く同じ体験をしたとしても、集計結果は大きく変わってくるでしょう。
発生場所
まずは発生場所から。分類は
- 単路(車道で、交差点以外の区間)
- 交差点(交差点とその直近で、横断歩道上は除く)
- 横断歩道
- 歩道
- 単路 116件
- 交差点 58件
- 横断歩道 2件
- 歩道 2件
*現時点で最新の年間統計である2012年の結果では、
交差点が53.9%、単路が42.4%です。
2014年1月18日修正
上記の数字は全事故の集計結果でした。自転車が関与した事故に限った場合は、警視庁の統計によれば、交差点が59.7%、交差点付近が12.4%、単路が26.4%です。(出典:警視庁「自転車事故分析資料(平成24年中)」)
交差点での事故は知識が有れば或る程度は能動的に回避できますが、単路区間での事故は、後続車が危険な追い越しや煽り運転をしてきたり、歩行者や自転車が歩道から車道に飛び出して来るなど、車道の端を通行する自転車の立場からは対応が難しい事例が多いからです。
事故形態
次に事故形態を見てみましょう。分類はかなり錯綜としています。もうちょっと何とかならないもんでしょうかね。
- すれ違い(対向車とすれ違う時の事故)
- その他(非常にイレギュラーな事故やトラブル)
- ドア(相手の車が停車中に突然ドアを開いた時の事故)
- ホーン(相手の車の違法なクラクション使用)
- 右折(自分または相手が交差点を右折しようとした時の事故)
- 右直(自分が交差点を直進しようとした時の対向右折車との事故)
- 横断中・その他(相手が横断歩道以外の場所で車道を横断していた時の事故)
- 横断中・横断歩道(自分または相手が横断歩道で車道を横断していた時の事故)
- 逆走(相手の自転車が車道を逆走してきた時の事故)
- 故障(自分の自転車の故障)
- 後退(相手の車が後退しようとした時の事故)
- 合流(自分または相手が交通の流れに合流しようとした時の事故)
- 左折(相手の車が交差点を左折しようとした時の事故)
- 斜め横断(相手の自転車が車道を斜め横断しようとした時の事故)
- 車線変更(自分が車線変更しようとした時の事故)
- 出会い頭(交差点で交差方向の道路から相手が飛び出してきた時の事故)
- 傷害(相手の運転者が車から降りてきて、または車上から殴ってきたケース)
- 正面衝突(見通しの悪い単路区間での正面衝突)
- 煽り(相手の車が後ろから至近距離で追走し、アクセルを乱打するなどの行為)
- 追い越し(相手の車が自分を追い越す時の事故)
- 追突(自分または相手が先行車に後ろから衝突する事故)
- 背面通行中(自分が歩行者の後ろから衝突する事故)
- 飛び出し(単路か赤信号の横断歩道で相手が車道に飛び出してきた時の事故)
- 冒進(自分または相手が赤信号を無視して停止線を超過したケース)
- すれ違い 4件
- その他 9件
- ドア 1件
- ホーン 1件
- 右折 2件
- 右直 5件
- 横断中・その他 4件
- 横断中・横断歩道 6件
- 逆走 2件
- 故障 3件
- 後退 2件
- 合流 4件
- 左折 5件
- 斜め横断 3件
- 車線変更 9件
- 出会い頭 5件
- 傷害 2件
- 正面衝突 3件
- 煽り 28件
- 追い越し 72件(うち3件は自分の過失)
- 追突 28件(うち3件は自分の過失)
- 背面通行中 2件
- 飛び出し 11件
- 冒進 5件
*「車線変更」は、自分が路上駐車などを避ける為に車道中央寄りに移ろうとした時に、後続車が道を譲らず強引に先に行こうとしてニアミスになるケースが多いです。
** 自分の過失でカウントした事例を除いた数字が59%です。
自転車乗車中に感じたリスクの内、大半が車道の単路区間で車から受けたものである事が分かります。現状ではまだ、車道は自転車で安心して通行できる環境になっていません。
私の感覚では、やはり車の流れから物理的に分離された自転車レーン(=自転車道)が必要です。
「飛び出し」も多いですね。危険予測や安全確認ができていない歩行者や自転車が余りにも多いです。ただ、これは私がロードバイクで普通の自転車より高速で走行しているという要因も有るでしょう。
それから「傷害」が2件有りました。
一人はミニバンのドライバーで、自転車が車道を走って車の流れを邪魔しているのが許せないとして、わざわざ車を降りて殴り掛かってきたという事例です。頭部の保護で自転車ヘルメットが役に立ったのはこの時が初めてです(笑)。これは本格的な傷害事件だったので警察に助けを求めました。
もう一人は自転車利用者。幹線道路の全ての赤信号を一切徐行せずに次々突破している勇者な人物でした。その危険な信号無視を止めさせようとした私に、自転車に乗ったまま「邪魔だ!」と殴り掛かってきた事例。まあこれは私にも非が有るんですが。
「その他」に分類した事例には次のようなものが有ります。
西日暮里駅前に客待ちタクシーが道路の両端にびっしり貼り付いて並んでいる所が有るのですが、赤信号に引っ掛かったので私はタクシーの右横に止まりました。
西日暮里駅前(Google Street View 2013年6月撮影)
信号が青に変わると左手のタクシーが2台連続で発車して、強引に自転車の前に出てきました。この時、道路の前方左側に路上駐車がいたので、タクシーはそれを避けて自転車の前に割り込んで来る形になりました。
駅前でタクシーが車道の左端を占領する光景は他にも目白駅、飯田橋駅、品川駅など、都内各所で見られますね。このような状況で自転車に車道を走らせれば自転車とタクシーの動線が交差するのは必然ですから、事故リスクは上がり、心理的な安全評価は下がります。道路構造の根本的な見直しが必要でしょう。
加害車両の種類
この項目については集計上の問題が多いので数字は出しませんが、
大まかに言えば、
- 他の自転車
- タクシー
- セダン
- 軽乗用車
- ミニバン
- トラック
- 軽貨物車
軽自動車は車体が小さい分、狭い箇所でも強引に走り抜けようとするので、自転車とニアミスを起こしやすいようです。印象に残っているのは零細商店が配達に使っている軽貨物車で、まるで原付のカブのように俊敏な動きをするので非常に危険でした。
意外だったのはバイクやスクーターとのニアミスが少なかった事。自転車と走行空間が競合しますし、ルール無視の危険運転が多いですが、集計してみると非常に少なかったです。
一方、予想通りだったのは他の自転車。秩序も何も無い奔放な動きで攪乱してくるので、避けるこちらは大変です。避けた先で自分が車に撥ねられるリスクも有るので、非常に厄介。
十分な安全マージンを確保しながらの走行を心掛けているので、どの事例でもニアミスで済んでいますが、警察にはバンバン取り締まって欲しいです。
それから、件数自体は非常に少ないんですが、バスや大型トラック、タンクローリーに撥ねられそうになった事も何回か有りました。車体の構造上、自転車を見落としやすいのかもしれませんし、大型車としての責任感や慎重さに欠けるドライバーも一部には居るのかもしれません。