2013年12月1日日曜日

ローラー台のタイヤ摩耗実験

冬の間の運動不足を解消する為に固定ローラー台を買いました。

Elite Volare Mag Force Elastogel

固定ローラー台はタイヤの摩耗が難点と言われており、
摩耗しにくい専用タイヤまで売られていますが、
実際のところはどうなんでしょうか。

普通のタイヤで使った場合の摩耗具合を
実験で確かめてみました。



Abstract

An experiment in bicycle tire wear during use on turbo trainer.
No abrasion was observed under low resistance and high speed condition
in contrast with high resistance and low speed condition.


実験方法

今回は、ローラー台の負荷を軽くして高速で漕いだ場合と、
負荷を重くして低速で漕いだ場合の2条件で
タイヤの摩耗具合の違いを見ます。


共通条件
  • ローラー台 Elite Volare Mag Force Elastogel(*)
  • 後輪タイヤ Continental Grand Prix 4000 s(**)
  • タイヤ空気圧 110 psi
  • 目標心拍数 150 bpm(±5の範囲に収める)
  • 運動時間 30分間

Elastogel が売り文句の ELITE 社製ローラー台

* タイヤとローラーの接触圧はバネで自動調整されます。
また、ローラー部分は滑りにくい特殊な樹脂で出来ています。

** タイヤは摩耗しにくい事で有名な製品ですが、
実験に用いた個体は既に2年間使っている物で、
全周に細かい罅割れが出来ており、
所々ケーシングの繊維が飛び出しています。


条件A
  • 負荷設定 1(最も軽い)
  • ギヤ比 4.0(52 * 13 T)

条件B
  • 負荷設定 5(最も重い)
  • ギヤ比 1.5(39 * 26 T)


結果

実験前のローラー部分

条件A(低負荷で高速回転)
  • 平均速度 41.3 km/h
  • 平均ケイデンス 81.9 rpm

タイヤは全く摩耗していない


条件B(高負荷で低速回転)
  • 平均速度 12.7 km/h
  • 平均ケイデンス 67.2 rpm

タイヤが摩耗してゴムの滓が飛び散っている



考察

低負荷で高速回転した場合は普通のタイヤでも全く摩耗しませんでした。
一方、高負荷で低速回転した場合は少し摩耗が見られました。
使い方によっては普通のタイヤでも問題ないという事ですね。

ただ、摩耗に寄与した因子が負荷の大小なのか、
回転速度の高低なのかは分かりません。

速度が低いほどペダリングのムラの影響を受けやすく、
速度が細かく上下してタイヤとローラーの間で
滑りが発生する回数が増えると考えられるからです。



次回予告

今回の実験で使ったタイヤは、「普通のタイヤ」とは言え、
市販品ではトップクラスの耐摩耗性を持った GP4000s タイヤです。
完成車付属の安物タイヤと比べれば、赤ん坊の肌と老人の肌くらい
差が有りますから、次は安物タイヤで実験してみようと思います。

それから、固定ローラー台と言えば騒音と振動も付き物です。
これが専用タイヤでどれくらい軽減できるのかも調べてみます。

2013年12月2日追記

完成車付属の KENDA Kontender で実験しました。

低負荷・高速回転では少しだけ滓が出ました。

高負荷・低速回転では普通に滓が出ました。
ローラー部分は綺麗なままですが、手前の黒い部分に

飛び散っています。

Continental のタイヤは滓がローラー部分に吸い付いていましたが、
KENDA のタイヤは滓が全部飛び散りました。ゴムの配合の違いでしょうか。


2013年12月16日追記
ローラー台専用タイヤで実験してみました。

Continental Hometrainer 700x23c の摩耗具合

負荷1では全く摩耗しなかったので写真は省略します。
負荷4や5で1時間ほど回した場合は写真のように滓が飛び散ります。

上の2種類のタイヤと違って滓が大きく湿り気を帯びているのが特徴ですが、
上のタイヤは使用開始から1, 2年経っていて、ゴムは水分を失っています。
Hometrainer はまだ新品で、触るともちもちしています。

タイヤ表面に付着した滓

この為か、ローラーだけでなくタイヤ表面にも、
吹き飛ばされなかった滓が付着して残っています。

今のところ耐摩耗性は GP4000s とあまり変わりませんが、
成形痕が削れ終わったら滓が出なくなるのかもしれません。