Protected Intersections For Bicyclists from Nick Falbo on Vimeo.
交差点での衝突リスクが難点とされてきた自転車道
(構造分離型の自転車レーン)ですが、
交差点でも自転車を車から守れる構造が提案されました。
提案者であるニック・ファルボウ氏はポートランドの都市計画家で、
NACTOの自転車通行空間設計ガイドの策定にも協力した人物です。
上で紹介したビデオについては
本人による解説ページも有ります。(参考文献リスト付き)
http://www.protectedintersection.com/
ちなみにこのページ、驚くべき事に、
intersections from around the worldとして、ドイツやベルギーと並んで
using similar elements to to the design shown here.
東京の環八の自転車歩行者道も紹介しています。
いや、そんな良いもんじゃねえから!
それはさておき、ファルボウ氏の基本的なアイディアは
オランダの自転車インフラに倣ったものですね。
「ごく普通の人々に自転車を使ってもらうには、という主張も、オランダの自転車インフラの理念やノウハウを
車から守られた自転車レーンが鍵になる。
車道混在や単なるペイントレーンでは不充分だ。」
(上の動画のナレーションより)
英語で発信している David Hembrow 氏の考えと共通しています。
ですが、アイディアの見せ方が圧倒的に洗練されていますね。
今までのインフラがなぜ駄目だったのか、
新しいインフラは何が違うのか、
分かりやすいアニメーションで説明されています。
(アニメーションとしてのスタイリッシュさを優先して、
やや説明不足になってしまっている所も有りますね。そういう箇所は、
自転車インフラに詳しくない人だと見落としてしまうかも。)
このプレゼンテーションで提示されているアイディアが
ニューヨークやポートランドで採用されれば、ロンドンやパリを
ぶち抜いて一気にオランダのレベルにまで迫れそうですが、
一つ気になるのは、動画の中で示されている交差点の構造が、
オランダのそれとは微妙に異なっている事です。
例えば、交差点の角で自転車レーンが直角にカクッと折れていますが、
これでは曲がる時にかなりスピードを落とさなくてはならないので、
右折(日本でいう左折)自転車にとってはあまり快適ではなさそうです。
現実には、右折するサイクリストは交差点の手前で左に膨らんで
アウト・イン・アウトのライン取りをしそうです。
これは自転車同士の事故の元になるかもしれません。
また、車の信号を全て赤にしておいて、
4方向全ての自転車に対して同時に青を出す信号パターン、
simultaneous green も紹介していますが、
これはオランダでも一部の特殊な交差点に限られます。
自転車、車それぞれの交通量や、交差点前後のレーン幅など、
様々な条件が揃わないと、却って機能低下する場合も有り得ます。
縁石の配置なども、通常の信号パターンの交差点とは違います。
参考ページ
http://www.aviewfromthecyclepath.com/2014/02/why-collisions-dont-occur-between.html
私もオランダの交差点で自転車の動きをじっくりと観察したわけではないので、
オランダの交差点の細部がどこまで意味有るものなのかは分かりませんが、
ファルボウ氏のデザインに見られる細部の微妙な違いは、存外、
事故率や快適性評価に大きく影響するのかもしれません。
なお、今回の提案は Streets Blog が取り上げています。
ファルボウ氏の提案がアメリカ人にどう受け取られているのか、
コメント欄に注目です。
http://streetsblog.net/2014/02/20/the-next-breakthrough-for-american-bike-lanes-protected-intersections/