国土交通省が昭和時代に出した通達が有ります。
しかし、この通達が示す設計基準には欠陥が有ります。
国土交通省(1974年)『自転車道等の設計基準について』
p.1
(2) A種の自転車道 B種の自転車道以外の自転車道等をいう。
(3) B種の自転車道 自転車道等のうち、屋外レクリエーションを主たる目的として設置されるものをいう。
『設計基準』が対象としているのは、
通勤、通学や買い物など、日々の生活で使われる自転車道と、
運動や娯楽目的で使われるサイクリングロードの両方です。
p.2
自転車等の設計速度は、次の表の設計速度の欄の左欄に掲げる値とし、地形の状況、その他の条件によりやむを得ない場合には、設計速度の欄の右欄の値まで縮小することができる。
p.3
種別 設計速度(単位:キロメートル/時) A種の自転車道 15 10 B種の自転車道 30 10
『設計基準』は、自転車道とサイクリングロードに対して
異なる設計速度を示しています。
p.3
通行帯は、車線より構成されるものとし、1車線の幅員は1メートルとする。ただし、地形の状況その他の理由により、やむを得ない場合においては、0.75 メートルまで縮小することができる。
ところが、車線の幅員は単一の値しか示されていません。
速度が変われば、
- 物理的に必要な安全マージン(*)も
- 心理的に必要な広さも
『設計基準』はこの変数を完全に無視しています。
* 自転車道に歩行者が飛び出してきた場合などに必要な衝突回避余裕。
考慮すべき変数はこれだけではありません。
- 縁石の高さや断面形状
- 植栽などによる死角の有無
- 横風の最大瞬間風速
- 隣接する車道を通行するクルマとの距離
など、多くの項目が抜け落ちています。
国交省は自転車道をレディーメイドで済むような
簡単なものと考えているようですが、
実際は個々の現場に合わせてきめ細かく
カスタムメイドする必要が有ります。
この通達は雑すぎます。