2012年11月11日日曜日

交差点の設計ミス(2)

前回に続き、自転車を危険に陥れる悪質な設計の交差点の特集。
今回は車道左端の車線が左折専用になっている交差点を集めた。

以下の実例からは、道交法の原則に従って
第一通行帯にしがみつくのが危険な場合も有る事が分かる。


新宿五丁目東交差点

View Larger Map

交差点の上、左、下側の道路に左折専用レーン。

厄介なのは上から下に直進する場合で、
左折・直進の兼用レーンである第二通行帯も
実質的には左折車ばかりが通る。

このため、自転車が第一通行帯からそのまま直進しようとすると
第二通行帯の左折車から撥ねられる危険が大きい。

(普通、ドライバーは左折した先の横断歩道を注視するので、
その手前の第一通行帯に直進自転車がいても気付かないし、
徐行や一時停止をするのも横断歩道の直前に来てから。)


谷原交差点

View Larger Map
下から上へ、笹目通りを北へ直進する場合、
第一、第二通行帯が左折専用、第三通行帯が直進・右折専用。
車道を直進する自転車は二車線も跨がなければなければならない。

(二本の左折レーンは直進レーンより先に青になり、
車も途切れないので、左折レーンからの直進は不可能。)

さらに直進の青信号は点灯時間が極めて短かく、交差点も広大なので、
車線の先頭で待機して青になった瞬間に全力で加速しないと渡り切れない。

交差点は四方向とも横断歩道が全く無く、歩道を利用する場合は
わざわざ歩道橋のスロープを上がらなければならない。

車道にアンダーパスが有るが、この箇所は軽車両通行禁止になっている。


神宮前一丁目交差点

View Larger Map
上から下へ明治通りを直進する場合、第一通行帯が左折専用レーン。

それだけに留まらず、この交差点は丁字路に見えて
実は四差路というトリッキーな構造。
(交差点の左上に細い道が繋がっている。)

右の神宮前三丁目方面から来て
上へ右折しようとする自転車は、後続の直進(?)車に注意。

二段階右折を遵守している限りは安全だが、
丁字路を車と同じ様に右折している人は撥ねられる恐れが有る。


また、二段階右折する人も地図の下から上に向かっては
上り坂なので、車に危険な追い越しをされる事が多い。

(現場は左カーブで、交差点を越えた先の死角に
路上駐車が停まっていたりする。
この時、急に進路変更をすると後続車に追突され易い。)


神宮前六丁目交差点

View Larger Map
空撮写真では街路樹で見えないので通常の地図画面で。

下から上へ、明治通りを北上する車線は左折レーンが先に青になる。
左折方向の道路は曲線半径が中途半端に大きく、
左折車がステアリングを切り込んでくる。

直進する自転車は車道の左端で待機するのは却って危険で、
左折巻き込みを回避する為には直進レーンに出て待つ方が安全。

実際、左端で待機していた自転車が左折するトラックやタクシー、
産業廃棄物回収車に轢き殺されそうになっているのを見た。


富ヶ谷交差点

View Larger Map
上から下へ、山手通りを南へ直進する自転車は
まず交差点手前で左折レーンのトラップにより強制的に左へ誘導される。

この交差点では左折した先に横断歩道が無いので、
信号が青の状態で交差点に進入した場合、左折車の流れが
直進方向への復帰を妨げる。

(第一通行帯の左端を走る自転車は特に、交差点直前で後続の
左折車に追い越されて左折巻き込み事故になる危険が大きい。
直進する自転車は安全の為にも、通行帯の中央に出て
後続車の進路をブロックした方が良い。

この運転操作はアメリカの幾つかの州では
サイクリストの安全を確保する為に必要な操作として、
道路交通法で正式に認められている。

車の円滑な通行を最優先して自転車にリスクを押し付ける
日本の道路交通法のバランス感覚は異常に思える。)

次に、直進レーンに移って交差点を渡れた自転車も、
地図の下側に向けて道路が上り坂になっており、
且つ数十メートル先まで路側帯が無いので、
自転車は後続車に危険な追い越しをされたり
クラクションを浴びせかけられたりする。

車道でのこうした危険を避ける為には歩道橋に上がるしか無いが、
交差点のかなり手前から車道と歩道の間の柵が途切れず続くので、
歩道に上がりそびれると厄介。


代々木公園交番前交差点

View Larger Map
左から右、井の頭通りの東行き第一通行帯が左折専用。

西から来てそのまま井の頭通りを東に進む自転車は、
交差点をクリアした後も、路側帯が無い上り坂により、
後続車に危険な追い越しをされやすい。

また、この区間は歩道が極めて狭いので、
歩道に退避するのは弱者保護の観点から適切ではない。
(さらに、坂を上りきった後は長大な路上パーキングの車列に
死角が生じやすい左カーブが組み合わさり、
車道を走行する自転車にとって危険性が高い。)

路上パーキング区間

View Larger Map

公共交通が発達している都心の公園に敢えて自家用車で来る人たち。



神宮橋交差点

View Larger Map

左下から右へ直進しようとすると、第一通行帯が左折専用レーン。


表参道交差点

View Larger Map
左上から右下へ、表参道を根津方向に直進する自転車を
第一、第二通行帯のダブル左折専用レーンが待ち受ける。


青山円形劇場前の交差点

View Larger Map
右上から左下へ、青山通りを渋谷駅方面に向かう車線に左折専用レーン。

青山通りの青山から渋谷にかけては
車の交通量が多く、その速度も高いが、
メッセンジャーも含め、車道を走る自転車も多い。

車と自転車の軋轢が常態化しており、
ドライバー側からの違法なクラクションや
ニアミスでの追い越しが頻発している。

(車道の左右一車線ずつを丸ごと自転車の専用空間にしたいくらいだが、
沿道には商店が連なり、路上駐車需要が多く、路線バスも通っている。)


宮益坂上交差点

View Larger Map
複雑な五差路で、横断歩道が無い箇所が多い。

右上から左、青山通りの青山方面から宮益坂下へ向かう自転車は、
二段階右折さえ困難で、交差点を直進した先の歩道橋も狭い階段のみ。


南青山三丁目交差点

View Larger Map
左上から右下、外苑西通りの青山霊園に向かう車線に左折専用レーン。


青山一丁目交差点

View Larger Map
四方向全ての道路の第一通行帯が左折専用レーンという
車のエゴ全開な交差点。この交差点も左折が先に青になる信号制御で、
車道左端で待機する直進自転車が危険に曝されている。

左右に伸びる青山通りは特に車の流れが速く、
交差点手前での車線変更は自転車にとって難しい。


赤坂図書館前の交差点

View Larger Map
上から下に直進する場合と、
右から上へ右折する場合に
左折専用レーンが待ち受ける。

右から上への右折では、先行開通する左折専用レーンの車の流れが
二段階右折しようとする自転車の進路を遮る。

交差点手前で予め第二通行帯の右折レーンに移っておくか、
第一通行帯の左折車が運良く途切れない限り、右折は不可能。


赤坂地区総合支所前交差点

View Larger Map
右上から左、青山通りに左折専用レーン。


赤坂見附交差点

View Larger Map
交差点南側(下)の外堀通りと東側(右上)の青山通りに左折専用レーンが有る。

どちらも直進レーンとの分離が早く、交差点の遥か手前から
前方の道路構造と後方の交通状況を把握して車線変更しなければならない。

右上、青山通りの平河町方面から来て左下へ直進しようとする自転車は、
この車線変更に失敗すると強制的に左折させられる。
左折した先は横断歩道が暫く無いので、300mほど遠回りになる。

そもそも交差点の構造が複雑な上にかなり大型なので、
目的地の方角を把握するだけでも難しい。


平河町交差点

View Larger Map
右下、交差点に南東から進入する道路がダブル左折専用レーン。
青山通りの交差点西側には横断歩道が無く、二段階右折も難しい。
この付近は気の立ったタクシーが多いので要注意。


三宅坂交差点

View Larger Map
左手、交差点西側の青山通りに左折専用レーン。

交差点北側(上)の内堀通りから青山通り(左)へ右折するのも、
横断歩道の配置がイレギュラーなので難しい。


国会前交差点

View Larger Map
右から左上、交差点東側から内堀通りを時計回りに辿る場合、
停止線の100mほど手前から該当レーンに移っておく必要が有る。

交差点を直進して国会議事堂に向かう場合も、
第一通行帯が左折専用レーンなので、
停止線の50m手前から直進レーンに移っておく必要が有る。

車線変更に失敗して左端の車線を辿った場合は
交差点南側、六本木通りに入った直後の横断歩道を渡れば良いのだが、
この横断歩道が何故か、歩行者用信号が青の時に
内堀通りからの車が高速で流れてくる。(そういう信号制御。)

(左折車がアクセルを深く踏み込みがちな理由は六本木通りが上り坂で、
更に内堀通りの停止線から、左折した先の横断歩道が見えるまで距離が長いから。
現地で観察すると、歩行者が渡ろうとしても一旦停止しないで通過する車が多い。

位相幾何学的には「同方向の車道と歩道の信号が同時に青になる」という、
ごく一般的な原則に従った信号制御なのだが、実地を見れば
如何に事故を誘発する構造かが一目瞭然な設計。

ちなみにこの交差点は国交省の目の前、警視庁からも目と鼻の先です。)


祝田橋交差点

View Larger Map
左上から右下、内堀通りを反時計回りに直進しようとする自転車を
第一、第二通行帯のダブル左折専用レーンが待ち構える。

直進レーンに移るには、停止線の100mほど手前で
車線変更を済ませておく必要が有るが、
この付近は交通量が非常に多く、
第一、第二通行帯の車が途切れない。

更に、信号待ちの車列を考慮すると実質的に車線変更が可能な最終地点は
右カーブを抜けた直後で、これも車線変更の難易度を押し上げている。

車線変更に失敗した場合は交差点で横断歩道を渡れば良いのだが、
この交差点は都心では珍しく時間帯限定で押しボタン式になる。
これを知らないと横断歩道が青に変わるのをいつまでも待たされる。

(私は車道の信号サイクルが何回か巡ってから漸く、
横断歩道の青フェーズが信号サイクルに組み込まれていない事に気付いた。

この時は奇しくも、横断歩道の対岸にいた別の歩行者も
「歩行者飛ばし」の信号サイクルに全く気付かず、
青になるのをずっと待っていた。)


日比谷交差点

View Larger Map
左上から右下、内堀通りの反時計回りで、交差点手前の第一通行帯が左折レーン。

この左折レーンは交差点手前で直進レーンから緩やかに派生して
分岐するタイプなので、車線変更の難易度は低い。

但し、直進車が信号待ちの車列を形成していて、
その最後尾が左折レーンとの分岐地点付近だと、最後尾に付いた自転車は
先に流れ出す左折レーンを通行する後続車にニアミスされる事が有る。

また、この交差点から国会方面に進む場合、
地下道出口の手前にY字分岐が有り、
自転車はこれを左に進まなければならないのだが、
直前まで路面標示が死角に入っており、非常に分かりにくい



半蔵門交差点

View Larger Map
下から上、内堀通りの時計回り車線に左折専用レーン。

左折する自転車も、地図左手に向かって上り坂なので、
後続車からの追突や危険な追い越しに注意が必要。