『東京都自転車走行空間 整備推進計画』というPDF冊子(前半・後半)で東京都は、
歩道上の自転車レーンの幅員を「2.0m以上」にすると書いています。(p.33 表6-1)
この指針は今回のPDF公開以前から有ったらしく、
既に整備された山手通りの自転車レーンも
2.0mが基本の幅員になっているようです。
さて、「2.0m以上」と謳うからにはもっと広がる場合も有るという事なのでしょうか。
山手通りの整備済み区間で歩道の幅員が最も広い地点を見てきました。
山手通り 中落合二丁目付近
赤い舗装部分が歩行者エリア、灰白色の部分が自転車レーンなんですが、
何だか随分と不公平な配分じゃないですか?
私は整備後初めて通った時に
え? 自転車レーンたったこれだけ?と思いました。
この地点は丁度バス停前で点字ブロックが並べられているので、
これを目安に幅員を測ってみました。
点字ブロックは一辺0.3mの正方形、
舗装ブロックは長辺0.2m、短辺0.1mの長方形です。
歩行者エリアの幅員
舗装ブロック 4列 = 0.4m
点字ブロック 15 + 1/3枚 = 4.6m
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合計 5.0m
自転車レーンの幅員
点字ブロック 6 + 2/3枚 = 2.0m
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合計 2.0m
植樹帯を除いても全体で7.0mも有るのに、
何故自転車レーンはたったの2.0mなんでしょうか。
「2.0m以上」と言うなら歩行者と自転車で半々に分けて
3.5m割いてくれても良さそうなものですが……。
以前も指摘した様に、自転車のすれ違い・追い越しを想定した場合、
通行空間の幅員が2.0mでは狭すぎです。(参考 過去記事1、過去記事2)
この山手通りでも、前方に対向自転車を視認した自転車が
すれ違う前にレーンを離脱して側方間隔を確保する行動が多く見られます。
私はこの行動理由を、「狭いレーン内でのすれ違いが怖いから」と解釈しています。
ちなみにこの地点は、付近に鉄道駅や商業施設なども無く、
通過する自転車こそポツポツいますが、歩行者はさほど多く有りません。
どうやら東京都は、「2.0m以上」と言いながら、
2.0mより広くする気は1cmたりとも無い(*)様です。
* 他の道路で歩道上の自転車レーンに2.0m以上割かれている様に見える
箇所が無いわけではありませんが、それは車が沿道施設から出入りする為に
植樹帯が途切れている箇所だけの様です。
こういう所は車道に向かって急な横断勾配が付いているので
転倒の危険が有り、自転車にとっては無意味な空間です。
一方、冒頭で紹介した『整備推進計画』では、
やむを得ず縮小する必要がある場合は、と注記しています。これは「2.0m未満にもできる」という意味ですね。
本庁主管課と別途調整 (p.33 表6-1)
今までの話を総合すると、結局東京都の指針は
実質「2.0m以下」という事になりそうです。
2.0m以上 = 2.0m以下
また一つ、役人の不思議な日本語文法が明らかになりましたね!