2014年1月8日水曜日

大通りと裏通りの旅行速度の比較

新年最初の旅行速度調査をしました。


以前の調査はこちら


今回、1月7日(火)夕方の調査では、
  • 往路は目白通りと水道・小日向地区の裏通り
  • 復路は新目白通り
を使って、道路構造や交通実態の違いが
旅行速度にどう影響するかを見てみました(*)。

* 往路と復路でルートを変えた区間は全体の半分強、
約7kmの区間のみなので、ルート選択の効果は限定的です。



まずは調査結果から。
往路も復路も目立った渋滞は有りませんでした。

往路は、
  • 走行距離 13.57 km
  • 移動時間 49m30s
  • 走行時間 38m43s
で、
  • 旅行速度 16.45 km/h
  • 平均速度 21.02 km/h
  • 停車時間比率 21.8%
という結果になりました。

復路は、
  • 走行距離 13.18 km
  • 移動時間 51m30s
  • 走行時間 35m55s
で、
  • 旅行速度 15.36 km/h
  • 平均速度 22.02 km/h
  • 停車時間比率 30.3%
という結果になりました。



旅行速度は 15~16 km/h と、至って平凡な結果です。
前回の調査の実験2と実験4も大体同じ値です。

今回の調査の往路と復路を比べると、
復路の方が平均速度が上がっているにも関わらず、
停車時間比率が大きく増えた事で
旅行速度は逆に下がっている事が分かります。

その原因は恐らく、幹線道路の信号待ち時間の長さです。
車道の幅員が広大な幹線道路は、歩行者が横断するのに時間が掛かるので、
歩行者用信号の青時間を長く確保せざるを得ず、
必然的に車の信号待ちの時間が延びます。

こうした道路では、
横断歩道の制約による車の交通容量の低下を抑えようと、
車ができるだけ赤信号に引っ掛からないように
信号のタイミングが調整されていますが、
自転車の速度ではその青信号の波に乗れず、
すぐに赤信号に足止めされてしまいます。

今回の調査結果から見えてきたのは、
自転車の旅行速度を上げるには車道の幅員を狭める事が有効
という可能性です。幅員の減少はまた、
車に対する交通容量の低下にも繋がりますから、
相対的に自転車を有利にする事にもなるでしょう。


 
以下はおまけ。



今回の調査で通行した道路の様子を
GoogleMaps の StreetView 画像で詳しく紹介します。
写真のキャプションの括弧内は緯度と経度です。
この数字で撮影地点を直接検索できます。

目白通り(35.722606,139.702605)

片側二車線で、以下の区間では路上駐車が頻繁に発生しています。

  • 南長崎一丁目からJR目白駅まで
  • 千登世橋上から目白台二丁目まで

自転車にとっては路駐回避時に追突されるリスクが高い危険な道路ですが、
車道の幅員はそれほど広くない(*)ので横断歩道の青時間が短い、
言い換えれば信号サイクルが短いので、信号待ちでのロスは比較的少ないです。

* 区間によっても違いますが、
横断歩道のゼブラ11〜12本分(10〜11m)です。

水道・小日向地区の裏通り(35.7101,139.735718) 

目白通りで東京カテドラル、椿山荘などの横を通過し、
突き当たりの丁字路を右折してキングレコードの前を通り、
神田川の手前で左折すると、この道路に入ります。

片側一車線で制限速度は30km/h。
自転車でも普通に維持できる速度ですが、なぜか後続車に抜かれます。
車は制限速度も追い越し(によるはみ出し)禁止も守ってませんね。

写真のように急な屈曲が多いのは、この道路が
小日向台地の南端に沿うように引かれているからです。
左屈曲の頂点付近で後続車に追い越しを許すと
内輪差で轢かれるリスクが有るので要注意です。

神田川を挟んで並行する新目白通りと比べて
交通量が少なく、信号待ちのロスも小さいので、
短距離移動の自転車にとっては好都合な迂回路です。


新目白通り(35.709835,139.729541)

復路で使用した新目白通りです。写真は江戸川橋付近。
制限速度は50km/hと高めで、実質的には「地上の高速道路」です。
片側三車線区間で、第1レーンは路上パーキング枠が有ります。

路駐車両のドアゾーンを避けて通ろうとすると、
自転車は第2レーンに入らざるを得ず、
無理解なドライバーに攻撃される事が有ります。

路上パーキングを設置する余裕が有るなら
自転車道を作って欲しいものです。


新目白通り(35.710714,139.722684)

リーガロイヤルホテル付近は路上駐車が少なくなり、
第1レーンに入る車は僅かな左折車のみという状況。
自転車にとっては最も快適な区間です。


新目白通り(35.713944,139.712079)

都電荒川線との並走区間では、西向き車線が高戸橋交差点を先頭に
夕方の帰宅ラッシュで渋滞しがちです。


新目白通り(35.713944,139.712079)

この区間は車道の幅員がキッチリ二車線分しか無いので
自転車も渋滞に嵌まってしまいます。
歩道も狭いので、歩道を通るにしても最徐行が必要です。


新目白通り(35.713594,139.71281)

高戸橋交差点を先頭にした渋滞は大抵、第2レーンの方が長く延びます。
これは、第1レーンが高戸橋交差点で実質的な左折レーンになり、
左折車が横断歩道の歩行者に足止めされるのを、
大多数のドライバーが把握しているからでしょう。

自転車はこのガラ空きの第1レーンを悠々と通る事ができますが、
時々、第1レーンで少しでも前に出てやろうという車が来るので、
その場合は自転車が後続車の進路に「蓋をする」形になり、
短気なドライバーが癇癪を起こして煽ってくる事がしばしば有ります。

歩道は歩道で幅員が狭いので、歩行者と錯綜するだけでなく、
脇道から合流して来る車と出会い頭衝突を起こすリスクが高いので、
自転車が通行するには不適です。

車道の一車線を潰して、物理的に分離された自転車道を
整備する必要度・緊急度が高い道路と言えます。


新目白通り(35.715669,139.70643)

都電と別れると再び片側三車線になります。
ただし、明治通りからJR山手線までの区間は
沿道にファミレスやスーパーが点在していて車の出入りが有るので、
第1レーンはあまり安全ではありません。

また、車道の幅員がかなり広い(*)ので横断歩道の青時間も長く、
車道側の信号待ち時間は延びがちです。

* 中央分離帯も含めると約19.5mです。

新目白通り(35.716295,139.702569)

JR山手線の架道橋から西側はしばらく片側二車線です。
大型バスも頻繁に通る区間ですが、通行帯以外の余裕は全く有りません。

車は主に第2レーンを走行していますが、
右折しようとする車が第2レーン上で立ち止まると
他の車は唐突に第1レーンに流入してきます。
この時、第1レーンの自転車は衝突されるリスクが有ります。

また、西向き車線は僅かに登り坂になっており、
車との速度差が開きがちなので、自転車にとっては非常に危険な区間です。

ちなみに、道路の南側の歩道はかなり広く、歩行者も少ないのですが、
凹凸の激しいブロック舗装で乗り心地が極めて悪く、
まともな走行環境とは程遠いものです。

新目白通りのこの区間は、自転車から見ると「空間の無駄遣い」の好例です。