2013年9月27日金曜日

シンポジウム「自転車の公共政策を斬る」の感想 (4)

霞ヶ関の弁護士会館で開催されたシンポジウム。
前回の記事で書き忘れた雑多な事を、発言者ごとにまとめました。
今回は疋田 智氏(TBSプロデューサー)の意見に関して。


2013年9月27日追記

パネリストの発言の引用は記憶を元に書いてしまいましたが、
その後見付けたUSTREAMの録画映像を見ると
全然違っていました。まるで記憶の歪曲の見本です。
パネリストの方々、すみません。
以下、当初の引用部分は取り消し線で消し、
音声書き起こし文を追加しました。



氏はプレゼンテーションが実に上手かったです。
あれを聞けば大抵の人は自転車レーンが
一番優れた方式だと納得するでしょう。

自転車レーンの問題は前回の記事で書いたので、
今回はその他の点を取り上げてみます。



流れに棹さす

2013年9月27日訂正
……という国の方針にも関わらず、
東京都は流れに棹さして、
あ、こういう場合は「棹さして」じゃないのか。
音声書き起こし文
/* 自転車が */ 体力で左右されるこの非民主性、
それから天候の不順に弱いという事、
これは何だかで補わないといけない。

で、補う両輪となるのが恐らく公共交通機関なんですね。
これは例えばバスでありましょうし、
路面電車でありましょうし、
地下鉄でありましょうし。
これ世界中の大都市の中で東京はかなり進んだ方です。
地下鉄網がこんなに整備された街って他に無いって言って良いぐらい。
実は自転車に向いている街という言い方ができるかもしれません。

ところが、そこに棹さしてるのが……、
えー、あ、棹さしてんじゃないですね。逆?
ま、とにかく、そこに障害になってるのが、
何と言っても東京の特殊事情。
世界でもこんな事は有りません。
自転車が歩道を通ってるのが当たり前になっている、
この事実なんです。

(国と都の対立構造は関係なかった……。)


ちょうどシンポジウムの前日に
文化庁が日本語についての世論調査の結果を発表していて、
「流れに棹をさす」を
  • 「傾向に乗って勢いを増す」の意味で使っている人が23%
  • 「傾向に逆らって勢いを失わせる」の意味で使っている人が59%
という数字が出たところでした。
放送のプロだけに言葉に対する感度が高いですね。



ママチャリの輸出

2013年9月27日訂正
日本以外で自転車が歩道を走っている非常識な国は北朝鮮だけ。
違法駐輪で回収された日本のママチャリを輸入したから、
使い方が伝播してしまったのではないか。
音声書き起こし文
こういう自転車 /*ママチャリ*/ が走ってる国っていうのは、
実は日本と北朝鮮だけでしてね。
で、なぜ北朝鮮で走ってるかっていうと、
これ、もちろん日本のゴミが行ってるから
北朝鮮で走ってるんです。
境港の港から大量に北朝鮮に日本の放置自転車が運ばれて映像なんて
見たこと有る方、多いと思うんです、テレビなんかで。

で、これね、ちょっと余談なんですけど、
そういう訳で北朝鮮にママチャリが渡りますでしょ?
で、ママチャリが渡る。
「あー、どうやって使われてるのかなー」と思って
平壌の風景とかジーッとテレビ画像で見てたんですよ。
或る事に気付くんです。何に気付くかって言うと、
平壌市民はね、みんな歩道走ってんです。

世界でも稀な例でね、日本だけが歩道走るんですよ、これ現実として。
で、そこで生まれたのがママチャリ。
で、そのママチャリっていうハードが向こうの国に渡ったんです。
で、渡ると、流石にスピードが出ない。距離が走れない。
で、車道の真ん中は、ねえ、将軍様とかがビューッと走られるから、
多分遠慮なさるんでしょう。で、結局としてね、
北朝鮮で日本のママチャリは歩道を走ってんです。

自転車産業振興協会の
直近の輸出統計(2013年7月)によれば、
日本から自転車(完成車)が向かった先は、

仕向地 数量(台) 金額(千円) 平均単価(円)
カンボジア 47526 58056 1222
ミャンマー 42050 50718 1206
ガーナ 40823 57581 1411
タンザニア 37057 50091 1352
香港 21116 31291 1482
タイ 17611 24478 1390
フィリピン 10810 10810 1237
ナイジェリア 8921 16868 1891
アフガニスタン 7706 8420 1093
イラク 5180 7984 1541
(5000台以上の国を抜粋)

となっています。東南アジア、アフリカ、中東ですね。
これらの国にも文化が伝播してしまったんでしょうか。
(いや、そもそも歩道が有るのか。)


なお、北朝鮮行きはゴミ扱いだからか、
輸出統計には記載が有りません。

---

シンポジウム「自転車の公共政策を斬る」の感想 (1)
シンポジウム「自転車の公共政策を斬る」の感想 (2)
シンポジウム「自転車の公共政策を斬る」の感想 (3)
シンポジウム「自転車の公共政策を斬る」の感想 (4)
シンポジウム「自転車の公共政策を斬る」の感想 (5)
シンポジウム「自転車の公共政策を斬る」の感想 (6)