- 「おまかせオート」
- 「プレミアムおまかせオート」
これだと「結局どっちが良いの?」って事になってしまいます。
ユーザーを迷わせる名前は駄目です。
「プレミアムおまかせオート」というのは、
通常の「おまかせオート」の機能に加えて、
逆光や暗い場所では自動的に「連写+合成」するというものですが、
それが「プレミアム」ということばと直感的に結び付くでしょうか。
しかも、実際に使っている人のレビューを読むと、
「プレミアム」で撮影した写真は必ずしも常に良い画質にはならず、
日中や動きの有る場面では「おまかせオート」の方が良いそうです。
であれば、この二つの撮影モードは
- 「オート」
- 「夜間・逆光オート」
と名付けるべきです。
このように、「名前」というものは対象の本質を
ズバリ捉えていないと混乱や誤解を招きます。
(政治家はこれを逆に利用するわけですが。)
ただ、もっと言えば、
この二つの撮影モードは「オート」に一本化してしまい、
プレミアムの追加機能を「夜間・逆光スイッチ」として
切り出してしまった方がスッキリするでしょう。
どうもソニー製品のユーザーインターフェイスは、
異なる階層、異なる範疇のものがごちゃ混ぜですね。
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カメラ以外にも紛らわしい例が有ります。
「自転車道」と「自転車専用道路」
「どっちも自転車が走るための道路でしょ? 何が違うの?」
と思ってしまいますが、実物を見れば違いが一目瞭然です。
自転車道
自転車専用道路
(厳密には「自転車歩行者専用道路」)
(厳密には「自転車歩行者専用道路」)
これも名前の付け方に問題が有ります。
実態が全然違うのに、名前が似ているから紛らわしいんです。
同じく、「自転車道」と「自転車レーン」の違いも
分かりにくいですね。これも実物で見てみましょう。
自転車道
自転車レーン(青い部分)
「道」と「レーン」では、どちらがどちらを指すのか
いまいち分かりにくいです。
理由として考えられるのは語種の違いです。
「道」は漢語、「レーン」は英語で、
それぞれが所属する語彙の系統が違うので、
一つの用語体系の中に置いたとき、
両者が互いにどういう位置関係になるのかが曖昧になるからです。
これは上の場合とは逆に、
実態が似ているのに名前が似ていなくて混乱が生じているケースですね。
では、
- 「自転車レーン」
- 「自転車道」
- 「自転車専用道路」
は、どう名付ければ良かったのか。
私なら、うーん……
- 自転車レーン(視覚分離型)
- 自転車レーン(構造分離型)
- サイクリングロード
こうかな。推敲の余地は多々有りそうですが。
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最後にもう一つ、法律用語から。
「その他」と「その他の」
この二つは法律の世界では全く別の意味を持っており、
厳密に使い分けられています。
「その他」は並列、「その他の」は例示だそうです。
一字違いのことばで意味を区別するなよ!
この用語も、誤解や書き間違いが起こらないように
直す事ができます。
「その他」
行政庁が指名する職員その他政令で定める者
↓
行政庁が指名する職員 か 政令で定める者
「その他の」
陸海空軍その他の戦力
↓
戦力(例えば陸海空軍)
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以上見てきたように、
ものや概念に分かりやすい名前を付けるのは
意外と難しい作業です。
その分野に精通しているはずの人たちが
不適切な名前を付けてしまう事からも
それが分かるでしょう。