例えば右側のスポークを 2 cross, 左側のスポークを 3 cross で
組むという手法が有ります。(通称ヨンロク組み)
Campagnolo の G3 や Fulcrum の 2to1, Shimano の OptBalといった、
左側のスポークの本数自体を間引いてしまう組み方よりは
テンション差の縮小効果はだいぶ小さいと思いますが、
どのくらいの効果が有るんでしょうか。
スポークをベクトルの線として見做すと、その力を分解して考える事ができます。
ベクトルの内、横方向(ハブ軸方向)の成分が左右のスポークで釣り合った時、
リムがホイールの中心線上で安定します。
であれば、ハブの寸法やスポークの長さ、角度から、
左右のスポークの張力を逆算できるはずです。
とりあえず以下の条件で机上計算してみました。
ハブ
- PCD : 45 mm(左右とも同じ)
- Center to Right Flange : 20.35 mm
- Center to Left Flange : 37.55 mm
- Drillings : 32
- Diameter : 1.8 mm(左右とも同じ)
- Count : 32
- ERD : 594 mm
- Offset : 0 mm(左右の穴振りも無しと仮定)
- Drillings : 32
(Shimano FH-2400 + Sapim Race + KinLin XR-200 を想定しましたが、
現物は持っていないので正確かどうかは分かりません。)
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右側のスポークを 120.00 kgf で固定した場合の計算結果です。
単純にスポーク長と center to flange の比率を元に計算しています。
張力による伸びや綾の影響は無視しています。
組み方(R/L) | L (kgf) | R (kgf) |
ゼロゼロ(0 cross / 0 cross) | 65.46 | 120.00 |
ゼロニイ(0 cross / 1 cross) | 65.89 | 120.00 |
ゼロヨン(0 cross / 2 cross) | 67.11 | 120.00 |
ゼロロク(0 cross / 3 cross) | 68.89 | 120.00 |
ゼロハチ(0 cross / 4 cross) | 70.94 | 120.00 |
ニイニイ(1 cross / 1 cross) | 65.45 | 120.00 |
ニイヨン(1 cross / 2 cross) | 66.66 | 120.00 |
ニイロク(1 cross / 3 cross) | 68.44 | 120.00 |
ニイハチ(1 cross / 4 cross) | 70.47 | 120.00 |
ヨンヨン(2 cross / 2 cross) | 65.44 | 120.00 |
ヨンロク(2 cross / 3 cross) | 67.18 | 120.00 |
ヨンパチ(2 cross / 4 cross) | 69.17 | 120.00 |
ロクロク(3 cross / 3 cross) | 65.42 | 120.00 |
ロクハチ(3 cross / 4 cross) | 63.51 | 120.00 |
ハチハチ(4 cross / 4 cross) | 65.40 | 120.00 |
但し、試算で使った部品構成で 4 cross にすると
スポークが隣の穴のスポークヘッドに乗ります。
また、左のスポーク長は約 300 mm になります。
市販のスポークでは上限ギリギリの長さですね。