2012年12月9日日曜日

8, 9, 10速混合の動作

ロードバイクの駆動部品は変速段数が異なるグレードの間では
互換性が保証されていませんが、異種混合でも動かないわけではありません。

(2013年1月3日 全面的に加筆訂正)





以下の組み合わせでの動作をメモしておきます。

シフター ST-22008速
フロントディレイラー FD-34009速
フロントスプロケット FC-5700 (52/39) 10速
チェーン CN-HG50 (108 links)8速
リアディレイラー RD-22008速
リアスプロケット CS-HG50-8 (13-26) 8速

フレームジオメトリは、リア・センターが415mm、BB下がりが65mmです。
上記のチェーン齣数は50/34 x 13-26構成の時に最適化したもので、
現状の構成ではシマノ指定の数より1, 2齣不足しています。



変速動作

フロント、リアともスムーズに変速します。



チェーン・ノイズ(こすれ音)

チェーン外側面と前ディレイラーのガイドプレートの擦れや、
チェーン内側面(右)と前スプロケットの歯の側面(右)の擦れ、
チェーン外側面(右)と前スプロケットの側面(左)の擦れの発生状況です。

前 \ 後 13T 14T 15T 17T 19T 21T 23T 26T
アウター52T × × × ×
アウター52T(トリム) × ×
インナー39T(トリム) × × ×
インナー39T

但し、
○ チェーンと前ディレイラーとの擦れ無し
△ 前スプロケットの一部の位相でディレイラーとの擦れ発生
× 前スプロケットの全周に亘ってディレイラーとの擦れ発生
[ ] 前スプロケットの一部の位相で歯との擦れ発生
[ ] 前スプロケットの全周に亘って歯との擦れ発生

で、インナーのトリム位置は実質的に全く必要ないので、
ディレイラーのケーブル・テンションはインナーのトリム位置を無視できます。
つまり、ケーブル・テンションは専らアウタートリム位置の調整に使える状況です。

上表は、ケーブル・テンションを高めにし、
アウターのトリム位置が非トリム位置に近付くように調節した結果です。
ここからケーブル・テンションを落とすとアウター・トリムでの
ギヤ選択可能範囲がロー側にずれてしまいます。

なお、このギヤ選択可能範囲の広さはフロント・ディレイラーの
ガイドプレートの形状とも関係が有ります。現在使っているFD-3400は

上部前方にこのようなプレス加工が為されていて
ガイドプレート内面幅が狭められているので、

アウター時はチェーンと擦れやすく、こまめなトリム操作を要求します。

この位置のプレス加工は一世代以上前のフロント・ディレイラー群
(FD-2200, FD-3300, FD-4400, FD-5500, FD-6600, FD-7800)には無かったので、
それらの旧製品の方がアウターでのトリムが不要な範囲が広かったと考えられます。
(FD-3400の次の世代ではプレス形状が洗練されているようです。)

ちなみに、FD-3400のガイド・プレート内面間隔は
上部前方 9.5mm
下部後方 14.0mm
以前使っていたFD-2200は
上部前方 10.0mm
下部後方 12.0mm 
でした。

(上部前方/下部後方はそれぞれ、
チェーンがアウター/インナースプロケットに
掛かっている時に対応する高さ。)

インナー時(下部後方)でFD-3400の方がゆとりが大きい事が分かります。
実際、以前のFD-2200ではインナー側のトリムを頻用していましたが、
FD-3400に替えた現在では全く使っていません。



赤背景と黄背景で示した、チェーン内側面とスプロケットの歯の側面の擦れは、
前スプロケットの上側のみについて表現しています。

スプロケット下側では、後ろディレイラーのプーリーが前に移動して
チェーンラインが上側より急角度になる場合が有る為、
表よりも広い範囲で擦れが発生します。

インナー×トップではリア・ディレイラーの
アイドラー・プーリー(下側のプーリー)が後退しますが、

アウター×ローでは前進し、下側のチェーンは
前スプロケットから後ろプーリーまでの距離が近くなり

チェーンラインの角度が上側より急になります

その結果、前スプロケットの歯の側面(写真は外側)が摩耗します

この擦れはチェーンを適正長より長くすれば低減できます。

また、上側の擦れも下側の擦れも、
8速チェーンから幅の狭い10速チェーンに交換すれば
擦れ発生範囲は狭まると予想できます。


今使っているチェーンが摩耗したら10速チェーンを試してみようと思います。


なお、以前使っていた50/34のクランクセットは
一時期50/42に組み換えて使用していたのですが、
その構成ではインナー×トップでもチェーン外側面と
スプロケット側面の擦れは発生しませんでした。

前スプロケットは根元に近付くほど板厚が増すので、
内外の歯数差が大きいとチェーンとの擦れが発生する範囲が
広がる事が分かります。


2013年6月27日追記
クランクアームとディレイラーのアウターケージプレートの関係

105のHollowtech IIのクランクアームは、
幅の狭い10速用のフロントディレイラーと組み合わせて使う前提で
ギリギリまでQファクターを詰めていますから、
少し幅の広い9速用のフロントディレイラーと組み合わせると、
クランクアームの内側とディレイラーケージが接触する事が有ります。

具体的には、
フロントディレイラーの取り付けヨー角度がずれているとか、
アウター×トップ時のチェーンとケージのクリアランスを大きく取ると、
ケージとクランクアームと接触してしまう事が有ります。

このため、セッティングは、
  • チェーン
  • ディレイラーケージ
  • クランクアーム
の三者の関係を繊細に煮詰めていく形になります。

私の場合、クランクアームとケージの隙間が
最も狭い箇所で0.5mmになるまで追い込みましたが、
アウター×トップではケージとチェーンが僅かに擦れてしまいます。

(実走時のみ。メンテ台の上ではケージとチェーンの間に
0.8mmほどクリアランスが取れています。)