その名も「本の闇鍋」。
書名も著者名も隠して、本の冒頭の一、二文だけを見せるというものです。
紀伊國屋新宿本店の企画を真似たそうですが、
図書館でやるのも面白いですね。こういう企画好きです。
展示台に置かれた二、三十冊の本は封筒に包まれ、
本文冒頭の一、二文が書かれたラベルが貼られています。
先入観が排除された状態で、剥き出しの文そのものを読まれる。
図らずも作家同士の実力勝負の舞台にもなっていました。
ただ、私はそんなに多読ではないので、たかだか一、二文だけ読んで
良さそうな作品を嗅ぎ当てるなんてのは無理です。
そんな中、一冊だけラベルに文字がびっしり書かれた本が有りました。
一ページ目の文章を全部載せたような雰囲気です。
ちょっと競争条件が不公平なんじゃないかと思いつつ、
世界設定が面白かったので手に取ってカウンターへ。
バーコードの所だけ切り抜いてあって、
未開封のまま貸し出し処理が完了します。
と言っても、返却期限のレシートに書名が印字されてしまうので、
その場で一つ秘密が失われる訳ですが。
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さて、封を切って取り出してみると、書名も著者も全く知らない本で、
装丁も、特に手に取りたくなるものではありませんでした。
つまり、企画は大成功。
逆に、普段どれだけ、本質的でない情報に惑わされて
良作かもしれない本を見過ごしていたかに気付かされます。
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2013年2月4日追記
本の感想です。内容も普段なら手に取らない分野で、
それなりに面白く、また視野も広がったのですが、
闇鍋企画で1ページ目を丸ごと紹介したのは
やはり他の本に比べて不公平だったと思いました。
1ページ目で提示された作品の世界設定には
大きく二つ、独創的なものが含まれていたのですが、
その片方は殆ど展開されず、添え物程度で終わっていました。
これだったら他の本と同じく最初の一文だけ抜き出した方が
作品の核となる世界設定だけに限定できて、
読後の裏切られ感が薄らいでいたかな。
ちなみに闇鍋の中身はこちらでした。