東京バス協会の市橋千秋氏が
自転車にもナンバープレートを付けろと発言してから、議論の嵐が吹き荒れていましたね。
ナンバー制導入を狙う勢力は今でもしぶとく生き残っているようですし、
一部の政治家は、議会にナンバー制導入を提言した事を
誇らしげに語っています。
某氏(*1)の活動報告
自転車についてもナンバープレートを表示させることは、
危険な運転や犯罪の抑止に有効と思われます。
(中略)
この防犯登録番号を周囲から見やすく表示する、
いわばナンバープレートとすることで、
自転車利用の安全性が高まるのではないか、
そして、利便性が高まるのではないか、
導入を検討するべきではないかと考えます。
ナンバープレートを付けただけで安全性と利便性が高まる?
どんな論理だよ。
*1 2013年6月25日追記
もう選挙も終わったので、伏せる必要も無いでしょう。
民主党、都議会議員の吉田康一郎氏です。
まあ、それはさておき、
この件でちょっと海外の事例を調べていたのですが、
第二次大戦下、ナチス・ドイツがこの政策を本当に実行していたようですよ。
ナチス占領下のフランスで自転車へのナンバープレート装着を命じていたようです。
そういう歴史も有ってか、こんなパロディー映像が作られています。
Hitler bicycle rant from www.theweeklycycle.com on Vimeo.
総統閣下シリーズじゃないですか! これは不覚にも笑った。
政治家の風刺もそうですが、意外とサイクリストの
あるあるネタが満載でツボります。
さて、自転車にナンバープレートを付けさせようという発想は、
何も日本やナチスに限った話ではなく、昔から世界各地で
現われては消え、現われては消えしているようで、
最近ではイギリス海峡のジャージー島がその動きを見せているようです。
しかし案の定、
「制度導入による損失が利益を上回ってしまう」とか、
「ナンバー装着が義務化されている車のドライバーもなどの突っ込みがジャージーの運輸大臣から直々に入っています。
平然と違反を繰り返している」
スイスも2012年まではvelovignette(ヴェロ・ヴィニェット)
という、損害賠償保険付きのナンバーステッカーを
法律で自転車に義務付けていましたが、
制度の維持費用が収入を上回っていたため、
去年の5月末日を最後に廃止しています。
ナンバーついでに言いますと、かつてカナダのトロントでは
自転車にも運転免許の取得を法律で義務付けていましたが、
法律は1957年に廃止されました。
幼い子供たちが法律を知らずに交通違反をしてしまう事が多く、
子供と警官の関係が悪化していたからです。
その後も自転車の免許制度の法案は、
「自転車盗難」や「歩道上での事故」など、その大義名分を様々に変えながら、
たびたび議論の俎上に載せられてきましたが、いずれも頓挫しています。
理由は、
- 免許データベースを常に完全で最新の状態に保つのが難しい
- 子供も自転車に乗るが、免許を与えるのが難しい
- 交通規則を守らないサイクリストに対しては免許も無力である