放ったらかしだったママチャリを整備して
3年半ぶりに乗ってみましたが、
あまりにも世界の見え方が違っていて驚きました。
ハンドルが近過ぎて立ち漕ぎしにくいとか、
タイヤが太くて段差が気にならないとか、
快適に漕げる速度があまりにも低いとか、
色々再発見が有りましたが、中でも意外だったのが
視点の高さ
です。
強い前傾姿勢を取るロードバイクに比べ、
上半身を垂直に立てるママチャリでは
視点が50cm近くも高くなりました。視点が高い分、
足元が遠く、小さく見えます。
この所為かどうかは分かりませんが、
柵で区切られた2m幅の自転車通行空間をママチャリで走ると、
ロードバイクより遅い速度でも心理的な狭さを感じました。
日本各地で整備されている自転車道(と、その類似物)では
道路構造令(10条3項)が定める最低水準の「2.0m」が
事実上の標準幅員になってしまっていますが、これは
幼児向けのミニチュア道路
と形容するのが相応しいサイズ感なのかもしれません。
大多数のママチャリ利用者にとっても。
過去の関連記事
サイクリストの挙動を考慮した自転車道の幅員
あ、あと、ママチャリって乗ってて全然楽しくない乗り物ですね。
ロードバイクの味を知っている今では苦痛と言っても良いくらいです。
なるほど、世間に「たかが自転車」という価値観が蔓延するのも頷けます。
となると、自転車利用推進策で今一番重要なのは、
できるだけ多くの人にスポーツ自転車に試乗してもらい、
自転車に対する世間の価値観を一変させる事なのかも。
そうなれば、現状の道路の酷さが認識されるようになって、
政策転換、インフラ整備、利用者増……、と
正のスパイラルが動き出すかもしれません。
2014年5月25日追記{
関連書籍
野嶋 剛(2012)『銀輪の巨人』東洋経済新報社
p. 97
……人々のイメージは、つらいもの、疲れるものが自転車で、}
人々の自転車への観念をまず変えなくてはなりませんでした」
そんな風に語った中国ジャイアントの鄭宝堂経理によれば、
地方政府の幹部がジャイアントの工場を訪問したりする機会があると、
必ずジャイアントの自転車に試乗するように勧めたという。
そのたびに
「なんて軽いんだ」という驚きが返ってきた。
「これは私が知っている自転車とはまったく違う乗り物だ」