2014年5月14日水曜日

点字ブロックの無力化

埃落とし用の玄関マットで覆われた点字ブロック(東京・池袋)



手摺りが使える左右の端が空いてるから
良いじゃないかと思ってしまいがちですが、

国際交通安全学会(2008)「視覚障害者誘導用ブロック(点字ブロック)の
適正な設置のためのガイドブック―間違いやすい設置例を中心にー」
PDFのURL

p.27
駅等の手すりを使用するのは高齢者が主である。
視覚障害者が手すりを使って上り下りすると
高齢者と衝突する危険性が出てくるので、
視覚障害者は手すりを使用しないことが多い。

なんと!
端っこだけ点字ブロックが有っても駄目なんですね。

健康な大人からすれば、
高齢者も視覚障害者も車椅子・ベビーカー利用者も、
みな同じ「弱者」という範疇に入るように思えますが、
立場によって〈困り方〉は随分と違うようです。



2014年5月21日追記

九段坂上の工事現場

点字ブロックに隣接して三角コーンが置かれています。
問題無いように見えますが、これも上のガイドブックに拠れば、

p.15
誘導ブロックは歩道の端に設置すべきではない。なぜなら、視覚障害者の中には点字ブロックの上を歩くだけではなく、白杖で誘導ブロックの凹凸を確認しながらブロックの脇を歩く人がいるからである。そのためには誘導ブロックの左右に 30cm 程度の空間がなくてはならない。

ブロックの脇!

なるほど、それでは三角コーンに気付かず
躓いてしまう可能性が有ります。

(ただ、リスクはそれだけではないですね。
防音壁の通用口から工事作業員が飛び出してきたり、
建築資材が突き出されるという可能性も考えられます。)

ところで、上の建築現場は運用面でのエラーでしたが、
ガイドラインが例示しているのは設置時点でのエラーです。
これは表面的には設置者の知識不足が原因ですが、
点字ブロックが壁の横ギリギリに設置できてしまう形である事も、
ヒューマンエラーの誘因と言えるかもしれません。

左右30cmずつの余白部分も一体化したブロックなら
そうした設置時のエラーは起こらなかったでしょう。