2014年5月4日日曜日

目黒の自転車文化センターに行って思った事

2014年5月6日 本文の順序を少し整理

自転車文化センター

目黒駅近くに移転した自転車文化センターに行ってきました。
前回行ったのは赤坂のアメリカ大使館近くに在った頃で、
十数年ぶりです。



自転車で行ったのですが、一番の気掛かりが駐輪場。
センターのホームページでは駐輪の可否が分かりません。

最近はどの自治体も「駅周辺は即時撤去するぞ!」という
脅し文句を振りかざしているので、確実に停められる駐輪場を
出掛ける前に見付けておかないと心穏やかに漕ぎ出す事ができません。

ちなみに目黒区のホームページを見ると、

目黒駅周辺の駐輪自転車の即時撤去区域

え?! 一番重要な駅の最寄り区域が対象外?
と思ったら、目黒駅は品川区内に在るんでした。
(そして品川駅は港区に在ります。)

利用者にとっての分かりやすさより行政の縄張りが優先されています。
こういう例は同一自治体の中でも見られます。

中野駅“西部”周辺の即時撤去区域を示す看板
太線の内側は自転車放置規制区域です
(太線の外側が規制区域外だとは言ってない)。
——中野区

幸い、目黒駅には当日利用が可能でSUICAでも支払いできる
「JR東急目黒ビル駐輪場」が有る(chu-rin.jp)との事なので
これを当てに出発しました。

(駐輪場の出口から自転車文化センターまで400mも離れていますが。)

自転車文化センター

が、最初から駅ビルの駐輪場には行かずに、
まずは自転車文化センターまで来てみました。

都道312号・目黒通り

センター前には約19m幅の幹線道路が横たわっており、
両端には車が停まっています。

信号待ち行列ができるのは一車線のみ

しかし、この日、この時刻の交通実態を見る限りでは
随分と車線が余っているように見えます。

また、路上パーキング枠は2台分(入出庫の為の余裕込み)で
1.8 * 12 m の空間リソースを消費していますが、
同じ空間に自転車なら20〜26台は停められます。

荷捌き用の駐車枠は必要なインフラですが、
マイカー用にこれだけ空間を割いておいて
自転車は即時撤去というのは
合理的とは言い難いものがあります。

横断歩道のゼブラは21本

広すぎる車道は横断にも時間が掛かるので、
横断歩道の青時間を長く取らざるを得なくなります。

これと同時に車の通行容量も確保しようとすると
車側の一回当たりの青信号も長くしないといけないので、
歩行者が待たされる時間も自ずと長くなります。 

駅前のように多くの人が訪れ、行き交う空間に
このように幹線道路をぶち通し、車を優遇する事に、
果たしてどれほどの正当性が認められるんでしょうね。

自転車文化センター裏の細街路

ビルの裏手の道路も漏れなく駐輪禁止にされています。

オリンピックで「おもてなし」なんて言ってますが、
殊、自転車に関しては東京の姿勢は「難民受け入れ拒否」
と表現した方が正確ですね。

自転車を押しながらさんざん彷徨って諦めかけていたところ、

自転車文化センター内

センターの職員の方に自転車ごと招き入れてもらえました。
まさに砂漠のオアシス! 感激した!

ちなみに自転車文化センターはビルの地下に駐車場が有って、
休日以外は職員の案内でそちらに駐輪できるそうです。

自転車文化センターの内部

赤坂時代は暗くて重厚な、如何にも博物館という空間でしたが、
道行く人からも見える明るくてお洒落な部屋になりました。

だるま自転車

タイヤの踏面を直接押さえるブレーキなんですね。
今からすると考えられない仕様です。

だるま自転車のスポークパターン

てっきり放射組みだと思っていたのですが、
微妙にタンジェンシャル? 見る角度の問題かな?

だるま自転車のハブ

スポークはハブ側にネジ山が切ってありました。

友の会限定の書庫

国内外の自転車関連の本が揃っています。
会員でなくても読める入口横の棚にも結構濃い本が並んでいました。

例えば『早稲田大学大学院法研論集 (138)』。
ドイツでは自転車道が決して安全な通行空間になっておらず、
従来課されていた法的な通行義務が緩和されている
というような事情が紹介されていました(うろ覚えですが)。

以前、Wikipedia で各国の「自転車道」の項目を
読み比べていた時に、ドイツ語版だけやけに
「通行義務」の記述が細かいなあという印象を受けたんですが、
そういう事だったんですね。

壁に飾られた小物も自転車がモチーフ

あれこれ本を手に取って読んでいたら閉館時刻になってしまいました。