「バインディング」というカナ表記に出会いました。
自転車の世界では「ビンディング」表記が圧倒的に多いので、
英語本来の発音に近いカナ表記は新鮮でした。
もしかして自転車とその他のスポーツ分野では
カナ表記の状況に違いが有るのでしょうか。
Google で用例数を調べてみました(2014年5月6日現在)。
- スキー "ビンディング" 1,600,000 件
- スキー "バインディング" 319,000 件
- 自転車 "ビンディング" 1,410,000 件
- 自転車 "バインディング" 145,000 件
どちらの分野でも英語風のカナ表記は少ないですが、
スキーの世界では綴りから誤って推測した
(或いはドイツ語風の)カナ表記と
英語の発音に近いカナ表記の割合が 5 : 1 です。
しかし自転車の世界ではこれが 10 : 1 にもなります。
この違いは一体どこから生まれるんでしょうね。
単純に競技者・趣味者人口の多寡か、日本での歴史の長短か、それとも
【自転車が好きな層】と【英語が苦手な層】が重なっているからなのか……。
---
もう一つ、"glove" のカナ表記の勢力図も
野球・ボクシングと自転車では随分と違います。
Google での用例数(2014年5月6日現在)。
- 野球 "グローブ" 17,800,000 件
- 野球 "グラブ" 3,610,000 件
- ボクシング "グローブ" 692,000 件
- ボクシング "グラブ" 379,000 件
- 自転車 "グローブ" 7,450,000 件
- 自転車 "グラブ" 623,000 件
語末に -e が付いているので「グローヴ」かと思いきや、
英語の発音は「グラヴ」に近いです。
誤表記と正表記の割合は
野球 5 : 1、ボクシング 1.8 : 1、自転車 12 : 1。
ここでも自転車界の誤表記割合の高さが目立ちます。
---
それから、これは他のスポーツ分野には関係無い話ですが、
自転車業界では pedal を「ペタル(= 花弁)」と書く人もいますね。
もし実際にそう発音しているなら、語中有声子音の無声化です。
印欧祖語からゲルマン祖語への変化を記述した
グリムの法則を思わせますが、
日本でこの規則を持っている方言が有るという話は、
少なくとも私は聞いた事が有りません。
或いは、中国語/朝鮮語母語話者なら
voice onset time の体系が日本語とは違うので、
日本語母語話者に「ペタル」と聞こえる発音をしている
可能性は充分に有りますね。