2015年1月19日月曜日

ロンドン市交通局、海外の自転車インフラに目を向け始める

ロンドン市交通局が海外の自転車インフラ事例の調査を Phil Jones Associates と Urban Movement に委嘱しました。昨年2014年12月にその報告書が上がっています。

何年も前から海外の優れた自転車インフラ事例を訴え続けているのに、足元ではペンキが無駄(*)にされるのを散々見てきたイギリス人自転車活動家にとっては、「やっとか」という思いでしょう。

* 交通の激しい幹線道路への、ペイントのみによる自転車レーンの導入。安全上も、利用者の心理上も、インフラの実効性という観点からも不適切と言われている。導入路線の一つである Cycle Superhighway 2 ではサイクリストの死亡事故が続発し、2013年11月の大規模な市民デモに繋がった。

今回もまた、日本の自転車政策に参考になる情報を拾い読みしてみます。



Phil Jones Associates, Urban Movement (2014)
International cycling infrastructure best practice study
Report for Transport for London

p. 5 (pdf p. 5)
It would be good, of course, if the precise conditions found in cities where large numbers of cyclists currently do feel they belong and are safe could simply be replicated on the streets of London.

もちろん、調査対象都市に見られた、多くの自転車利用者が既に安心と安全を感じている道路環境が、そっくりそのままロンドンの街路に複製できれば、それに越した事は無い。

However, as the practitioners we met were keen to emphasise, the many and varied differences between cities, and indeed between individual streets in the same city, mean that the best design solution in any location will arise from the context-appropriate application of sound principles and good standards; not from the cut-and-pasting of rigid design templates.

だが、我々が会った実務担当者たちが熱の籠もった口調で強調していたのは、都市ごとに、そして実は同じ都市でも通りごとに条件は多様なので、それぞれの場所に最適な設計は、確固たる設計原則と質の高い基準を、状況に応じて適切に応用する事で生まれるものであって、融通の利かない設計例を切り貼りしても作れない、という事だった。


これと同じ事を、オランダの自転車インフラ設計マニュアルである
CROW (2007) Design manual for bicycle traffic
も最初の章で早々に警告しています(pp. 13-14)。安易なテンプレ集に頼ろうとする人間のさがってのは万国共通なんですね。もしかしたら、国交省のガイドラインがCROW(2007)の知識を大量に取り零し(あまつさえ誤解で歪め)ているのは、そこに具体的で理解しやすい事が殆ど書かれていなかったからかもしれません。コピペでしかレポートをでっちあげられない学生かっ(笑)


というわけで、今回の内容を2行にまとめると、
  • 自分の頭で考える!
  • コピペ駄目!
これ。