2014年3月16日日曜日

オランダの交通安全教育

オランダの子供は小学校の卒業時に
自転車の安全運転技能のテストを受けるそうです。



インフラだけでなく、交通安全教育でも
長い歴史を持っていたんですね、オランダは。



動画作成者のブログに解説も上がっています

さて、この動画で説明されている自転車の交通安全教育を
子供の成長段階ごとにまとめると、
  • 未就学:三輪車などを使って交通ルールを学び始める。
  • 小学校(5歳頃から):実際に街に出て標識の意味などを学び始める。
  • 小学校(11歳):交通公園のミニチュア道路で交通規則を学ぶ。
  • 小学校(12歳):筆記試験と公道での実技試験を受ける。
となっていて、途中までは日本の子供が受ける
交通安全教育と結構似ていますね。

ただ、最終学年の公道での実技試験だけは
日本とは際立って違っています。手信号も出させていますね。
こんな試験は、少なくとも私は一度も受けた事が有りません。

というか、日本の劣悪な自転車通行環境で
子供に実技試験なんか受けさせられるんだろうか……。

動画は二部構成になっていて、第二部では
実技試験で走るコースを最初から最後まで
自転車で実走した映像が収められています。



これはユトレヒトの試験コースですが、
一口にオランダの自転車インフラと言っても、
大通りと生活道路では全然違いますね。

コースの一部には、50km/h道路で
車と混在通行(!)する区間も組み込まれています。

「できるだけ多様な道路環境を」との事ですが、
本当にこんな所を小学生に走らせるとは。
まさに獅子千尋。

一方、インフラ整備の観点から見ると、
同一の市内でも自転車道に旧世代のものと
新世代のものが混在している事に気が付きます。

車道との間の緩衝帯の有無だけでなく、
舗装の滑らかさの違いもカメラの振動として
画面に如実に現われています。

いくら自転車王国と言えども、
市内全域の自転車インフラを
一気に最新のスタンダードに合わせて
改修する事はできないんですね。

そんな公道での実技試験ですが、最近は
合格できない子供が増えてきて、
2013年には全体の4%、6000人が落ちたそうです。

2014年3月11日
New Traffic Test App for Dutch Children

実技試験を担ってきた団体はこの状況に危機感を抱き、
スマートフォン向けのアプリを開発したそうです。



〈ながらスマホ〉がオランダでも
問題になっている事が良く分かる映像ですね。


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この他にも自転車通学に関連する記事や論文が有るので、
それぞれの内容の概略をちょこっと紹介しておきます。


2013年9月19日
How many Dutch children still go to school by bike ? The rise of driving.

オランダでも近年、車で送迎される子供が増え、
徒歩・自転車通学する子供が減っている
という調査結果について論じた記事。


2013年12月5日
Arriving at school by bicycle

中等教育機関では75%もの生徒が自転車通学をしていて、
渋滞の緩和だけでなく、子供自身の肥満の防止や、
授業での集中力の向上にも繋がっているという記事。


2008年11月20-21日
Hoe gaan kinderen naar school?
Verschillen tussen Nederland en Vlaanderen


オランダの交通計画研究学会で発表された研究。
子供の通学手段の交通モードシェアなどが分かる。