Park Tool の廉価版ホイール・アラインメント・ゲージ、
WAG-5 のレビューです。
「ポータブル」が売り文句の製品ですが、
堅牢さが重要な工具で「ポータブル」ね……。
これは地雷臭がプンプンする。
左右の腕は単純に金属板を折り曲げただけの構造です。
右と左に伸びる二枚の板を二つの蝶ネジで固定し、
その上から樹脂製(!)のブロックを被せる構造です。
本体の金属板と黒い樹脂ブロックは中央のネジ一本で固定します。
ネジ穴が樹脂なので舐めてしまわないように注意が必要です。
このブロックにゲージを取り付けます。
組み立てるとこのようになります。
腕の全幅は 65 cm、末端の平らな部分の長さはそれぞれ 6 cm なので、
53~65 cm が測定可能な直径の範囲ですね。
ポータブルと言いつつ重量は785gも有りますが、
板が撓む方向に対しては抵抗力に乏しいので、
工具を測定対象に上から載せると……
自重で(!)撓んでゲージ先端が 1 mm ほど沈みます。
せめて山形の鋼材を使っていれば……。
重力の影響を回避する為には、工具を水平に寝かせて、
立てたホイールに横から当てるように使う必要があります。
ゲージは摺動部の抵抗が非常に大きく、
ここを動かそうとするだけで本体が撓んでしまいます。
固定ノブを完全に締め込まなくても
ゲージが簡単には動かないようにバネが内蔵されているからですが、
強すぎるバネが却って仇になっていますね。
作業の都合上、ゲージは片手で動かしたいのですが、
弱い力では動かず、かといって力を入れれば一気にズリッと動いてしまう。
非常に使いにくいです。
さらに、ゲージを固定するブロックのレール幅が甘く、
ゲージがノブ軸を中心にグラグラと回ってしまいます。
おお、アメリカン……。
ゲージの先端は絞られて細くなっています。
根元の部分が 20 mm 幅、そこから狭まって先端が 8 mm 幅です。
私は自転車のフレームを振れ取り台の代わりに使っているのですが、
ハブ軸を受けるエンド部分の切れ込みの幅は 10 mm でした。
ならばホイールをフレームに装着したまま作業ができそうなものですが、
ゲージ先端の絞り込みの部分が途中で引っ掛かって、
ハブのロックナットには届きませんでした。
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実際にセンター出しの作業に使ってみると
非常にストレスフルで効率も悪いですが、
工具の機嫌を窺いながら慎重に作業すれば
使えない事は有りません。
精密なセンター出しは望むべくもありませんが、
「± 1 mm 以内に収まっていれば良いや」程度の
大雑把な目標であれば、まあ……。