2014年3月3日月曜日

ヴァンクーヴァーの構造分離型自転車レーン

四車線だった大通りを自転車の為に贅沢に改修したカナダの事例です。

Google Street View(2011年8月撮影)より


ヴァンクーヴァーの Dunsmuir Street(ダンスミア通り)。道の片側に双方向通行の自転車レーンが整備されています。幅員はかなり広く取ってありますね。

Google Street View(2011年8月撮影)より

元々有った車線の一つを丸ごと自転車レーンにした上に、さらにもう一車線を潰して駐輪場にしています。

この駐輪場が車と自転車の通行空間を分ける緩衝帯としても機能しています。ナイス!

北米の都市では近年、単にペイントしただけのレーンでは利用者が安心できないという事で、このような構造分離型の自転車レーンへの改修が進んでいます。

(日本の国交省がガイドラインで示している構造は、こうした動きを捉え損ねた、一世代前の自転車レーンです。)

Google Street View(2011年8月撮影)より

駐輪されている自転車を見ると、ドロップハンドル率がかなり高いです。フラットバーのクロスバイクも多く、ママチャリは完全に少数派ですね。

という事は、スポーツ車が普及する以前から自転車に乗っていた人は少なく、近年の通行インフラの整備によって初めて(或いは数十年ぶりに)自転車文化が花開いたのかもしれません。

Google Street View(2011年8月撮影)より

これに対して、元々四車線ほど有った車道は二車線に削られ、一方通行の規制が掛けられています。歩道側の車線は乗り降りや荷捌きで停まる車も多いでしょうから、実質的には一車線ですね。

(尤も、この地区は道路が碁盤の目のように緻密に引かれていて、この通りもブロックを挟んですぐ隣に幹線道路が並行していますから、ネットワークとして見れば交通流への影響は小さいのでしょう。)

画面奥では駐輪場が途切れ、自転車レーンと車道の間の区切りはペイントによる緩衝帯(buffer zone)に変わっています。車が横スレスレを通る恐怖を軽減する工夫ですね。

その手前には、右手に細街路が口を開けています。そこに右折して入る車は自転車レーンを横切る事になりますが、レーンの存在は緑色のペイントで目立たせてあり、さらに標識で、自転車が優先であると示されています。(白に赤い縁取りの逆三角が「譲れ」を意味する。)

ただ、自転車レーンが双方向である事は標識に小さい矢印で描いてあるだけで、自転車レーンの路面には矢印などの注意喚起の標示は見られません。残念。

Google Street View(2011年8月撮影)より

交差点の先からは再び構造分離型の自転車レーンが現われます。今度はプランターの植物による分離ですね。

自転車レーンの入口には、車が侵入しないように中央にボラードが一本立っています。幅員の広い自転車レーンならではの設備です。サイクリストにとって、物理的にも心理的にも邪魔にならない大きさ、設置位置のようです。

交差点の信号機は車と共用のようですが、これだと青信号になるタイミングを自転車と車でずらして自転車を先行させる〈時間的分離〉ができません。自転車と車では停止線の位置も同じですから、右折車と自転車の衝突リスクが残っていますね。これは要改善でしょう。

2016年4月28日追記{
Dunsmuir St.の構造は技術的にまだ未熟で、交差点では車と自転車の事故が多いとの報道が有ります。

Tanya Snyder. (2014-09-05). "How Vancouver Designs Intersections With Bike Lanes to Minimize Conflicts". Streetsblog USA.

Vancity Buzz Staff. (2014-03-13).  "Vehicle and cyclist collide at Beatty and Dunsmuir Streets". Vancity Buzz. http://www.vancitybuzz.com/2014/03/vehicle-collides-cyclist-beatty-dunsmuir/

ちなみに、車道部分は一方通行なので、

Google Street View(2011年8月撮影)より

車と逆方向の自転車に対してのみ、自転車専用の信号機が建てられています。

日本では車用と同じどでかいサイズの信号機を車用と同じく高い所に設置して「自転車専用」と標識を付けていますが、あれだとパッと見で自転車用だとは分からないんですよね。特に夜になってしまうと判別不可能です。

自転車用の信号機はやはり、一目で自転車用と分かる
  • 大きさ
  • 取り付け位置
でないと不親切です。


その点、ヴァンクーヴァーの信号機は自転車のピクトグラムが入った標識も付いていて、外国人にも分かりやすいですね。