満月以外の月が常に月蝕。
太ももや肩、胸はほのかに赤いのに、
耳や指先、肘、膝は赤くない。
電車の吊り革がバラバラな方向に揺れる。
自転車を漕いでいる時、車体や上半身が全くブレない。
カップに紅茶を注ぐ時、コップに麦茶を注ぐ音がする。
道路に飛び出した主人公を見た車が
クラクションだけ鳴らしてブレーキを掛けない。
自分が当然だと思う事は法的根拠が無くても
「君には何々する権利が有る」とか「これは義務だ」と言う。
シュンとなってうなだれた柴犬が耳を前に倒す。
(実際は柴犬の耳は中折れするような形では前に倒れない。)
雷の光がゆっくりフェイドアウトする。