2014年7月16日水曜日

浅草通りの自転車歩行者道 (1)

東京・上野の浅草通り(都道463号)の自転車歩行者道を見てきました。
先日、舛添都知事が視察した路線です。



映像だと都知事は歩いてるだけですね。
ちゃんと自転車でも試走したんでしょうか?

2015年6月17日 記事末尾の文言を修正



舛添知事はこの自転車道を視察した上で
「今の自転車道を倍増する」
との方針を示しましたが(上記動画の1分12秒)、
はてさて、「今の」ままの自転車道で良いのかな?
利用実態を観察して、問題が無いか検討してみましょう。
写真の枚数が多いので、今回は道路北側の歩道だけを見ます。

植樹帯で構造的に分離された自転車通行指定部分を歩く歩行者。
出入り口部分が歩道と一体化しているので、
自転車用の空間である事が分かりにくい。
タイル舗装は止めてアスファルト舗装に変更し、
「いかにも車両用の道路」という雰囲気を出した方が良い。

自転車通行指定部分は交差点周辺で途切れる。
信号機は歩行者用と共用。

自転車に対する配慮を欠いた支柱や郵便ポストの設置位置

利用者は障害物を避け、設計意図と違う動線で通行している。
仮にポストや支柱が無くても、画面右方向に横断する
歩行者の滞留スペースに自転車を突っ込ませる形になるので、
どっちにしろこの構造ではマズい。

 (1) 歩行者の滞留スペースを民地側にセットバックして
自転車専用の通行空間を直線的に確保するか、
(2) 自転車の通行空間を交差点周辺で緩やかに民地側に湾曲させ、
歩行者の滞留スペースは交通島として独立させる工夫が必要。


脇道から合流してきた自転車が急旋回で進入。
街灯の支柱や街路樹の死角で、
対向自転車と正面衝突するリスクが生じている。

ん? 何事?!

自転車通行指定部分の延長線上をバスベイが唐突に削り取っている。
(しかも歩道上の白い区分線は自転車をバスベイに誘導している。)

バスベイの直前にトラックなどが停まっていると、
歩道からバスベイに飛び出した自転車が、
後ろから来たバスの死角に入る。

続々とバスベイを通過する自転車(両方向とも見られた。)
自分でも地元の自転車利用者に続いて
自転車でバスベイを突っ切ってみたが、
歩道側に迂回するよりよっぽど走りやすかった。

バスベイの手前で何故か柵が途切れてしまっている。

縁石も低くて簡単に通過できてしまう。誘ってんの?

バス停の先で自転車通行空間が復活するが、
植栽や立て看板で死角が生じている。
バスベイを突っ切った自転車と
歩道側を迂回した自転車が出会い頭衝突しやすい。
(ただ、実際にはこのパターンの事故は
あまり起こらないだろう。理由は後述。)

バス停横の歩道空間は自転車の動線が全く考慮されていない。
設計努力を完全に放棄している。

自転車交通に対する設計の稚拙さとは対照的に、
バス停は近代的な設備とデザイン性の高い外観。
設計の練度が激しく食い違っている。

バス停を過ぎた先の自転車通行空間の入り口は狭く、見通しが悪い。
ここから進入するには充分な減速と急なハンドル操作が必要。

従って、利用者はこの入り口をスルーする。
(これが上述の「事故はあまり起こらないだろう」という予想の理由。)

逆方向からの利用者も同じくスルー。
バス停先から次の交差点までの区間、
自転車通行空間が機能的に死んでいる事が分かる。
(バスベイを突っ切る自転車は通るけど。)
この辺の地価って1坪何十万円だっけ?

交差点手前の滞留位置は歩行者と自転車が区分されていないが、
実態としては車道側に自転車、民地側に歩行者と、大まかには分かれている。

対岸は構造が異なり、縁石の直前まで自転車通行指定部分が連続している。
但し、縁石を乗り越えた直後に上り勾配+急カーブで、
自転車はバランスを崩しやすく、快適性は低い。

まあ、警察官が先導してれば通行空間は遵守するよね。

警察がいなければこの通り。走りにくい歩道を避けて、
思い思いに車道を走行している。
設計がマズいと土地は幾らでも無駄になるという好例。


続編では細街路との交差部分の構造的欠陥や
通行環境の管理の問題を取り上げる予定ですが、
今回見た部分だけでも相当問題が多い事が分かります。

知事には設計の問題が見えていないようですが、
これはそのままコピーしたら駄目なデザインです。

2015年6月17日追記

記事公開時の表現は都知事に対して過度に暴力的だったので、表現を変更して謝罪します。


シリーズ記事一覧
浅草通りの自転車歩行者道 (1)
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