2014年7月31日木曜日

西井和夫教授の謬見

『交通工学』
飯田恭敬(監修)、北村隆一(編著)、2008、オーム社

を読みました。割と最近の本なのに
自転車インフラに関する記述が乏しく、理解も未熟です。
こんな本を学生や実務担当者が参考にしているのかと思うと頭が痛くなる。

未だに車中心主義の思想を引き摺っていて、
持続可能社会への道は果てしなく遠いなと思いました。



pp.180-181
〔4〕停車帯
都市間道路、都市内道路においては、道路の上の停車需要が必ず存在する。このとき、出入制限がなされている自動車専用道路では、故障車の本線からの退避場所として、また、都市内道路では主として沿道へのアクセスのための停車場所として機能する。そこで、道路の区分によっても停車目的が異なることから、第1種、第2種および第3種の道路では、路肩によって停車需要を処理し、第4種の道路では、停車帯によって対応することとした。すなわち、第4種の道路は、都市内交通の道路網を形成するもので、その性格上駐・停車の需要が多く、また、自転車交通の処理にとっても停車帯の必要性は高い。停車帯の幅員は2.5mを標準値とするが、自動車の交通量のうち、大型の自動車交通の割合が低いと認められる場合には、1.5mまで縮小できる。

自転車乗りの間でしばしば話題になる、

歩道が有る道路の車道外側線と縁石の間の、
道交法で名前が定義されていない空間

は、この節の記述に拠れば「停車帯」と呼ばれているようですね。
実際、首都高速道路株式会社による山手通りの計画説明ページでも
「停車帯」という用語が使われています。

で、この停車帯を「自転車交通の処理」に使うだって?

冗談じゃない!

停車空間に走行空間を兼務させるのが
どれほど危険か分かってないんでしょうか。

自転車が路駐回避で右に膨らんだ所に、後ろから
実勢速度で70km/hにもなる車が突っ込んでくるんですよ。

また、路駐が連続発生している区間では
自転車も車両通行帯を走る事になります。
この場合、路駐車両のドアゾーンを避け、
且つ後続車からの強引で危険な追い越しを牽制する為には
車両通行帯の中央を車のように走る必要が有りますが、
そんな走り方が一般の自転車利用者にできるわけないでしょ?

さらに、停車帯を走る自転車は沿道や横道から出てきた車との
空間的マージンが少なく、出会い頭衝突するリスクが高いです。

本来整備すべき自転車道などの専用インフラを作らず、
停車帯を通行空間代わりにするなど言語道断。
この節の執筆を担当した流通科学大学情報学部教授、
西井和夫氏の認識は間違っています。