2014年7月13日日曜日

笹塚・幡ヶ谷の自転車レーン (2)

交差点の手前で自転車レーンが消失する

3回シリーズの記事です。2回目は交差点部分の問題点を指摘します。



交差点の手前では右折レーンを確保する都合で
自転車レーンが消失しています。

自転車レーンを整備したと言っても、
構造的には何も変わっていないのが現実です。
車の利便性が最優先という価値基準は微塵も揺らいでませんね。

これがどのような問題を生み出すのか説明しましょう。

交差点の待機車列と自転車の関係

信号が変わって先頭から順次動き出しつつある車列に
自転車が追い付いた場面です。

車の左をすり抜けて前方に出る自転車

まだ動き出していない車の脇を自転車がすり抜けていきました。

これは、車に左折巻き込みされるリスクが上がったり、
一度追い越した自転車を車が再び追い越さなければならなくなったりと、
問題点が指摘されている行動です。

しかし、素直に車列の最後尾に付いて待っていると
青信号を逃して大幅なタイムロスに繋がる事が有りますから、
サイクリスト個人にとってはそれなりに合理的な行動です。

(信号待ち時間は自転車の旅行速度を大きく左右します。)

ここで問題なのは寧ろ、道路の構造上、
危険なすり抜けが出来てしまう事。
逆に言えば、安全に前方まで出られない事です。
解決策の一つとして、 
交差点の手前だけでも構造的に区分された自転車道を整備し、
自転車が安全に先頭に出られる構造に改める
という手が有ります。この構造を採用する場合、
もはや右折レーンを確保する余裕は無くなるので、
車道を一方通行化するなど、抜本的に考え直す必要が有ります。


車の渋滞に嵌まる自転車(合成画像)

今度は自転車が車の渋滞に嵌まって進む場合を考えてみましょう。

直進車の通過を待つ対向右折車

対向右折車が直進車の通過を待っています。

死角に入る自転車

しかし自転車はトラックの車体の陰に入ってしまい、
対向右折車から見えません。典型的な右直衝突のパターンです。

すり抜けても危険、最後尾に付いても危険という事で、
この道路構造はどうしようもなく駄目です。

ここで、
自転車は車道の端から離れて
車線の中央を走るのが良いんだ。
一台の車のように振る舞えば良いんだ。
それが防衛運転になるんだ。
と主張する人がいるかもしれません。
(例えばJohn Foresterですね。)
まあ、私も実際そういう風に走る事は有ります。

ただ、それは決して万人に勧められる走り方ではありません。
怖くてできないという人が大半でしょうし、
後続車のドライバーの怒りを買う場合も有ります。

(それで実際に車で危害を加えようとするドライバーも、
ごく稀にですが、存在します。)

ヒトは想像以上に感情に支配された動物です。

自転車の利用を促進したいなら、
〈感情〉という要素がどれほど巨大な影響力を持っているか、
甘く見てはいけません。



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