自転車に厳しい条例
鉄道駅周辺は広範囲に駐輪規制が敷かれています。
写真のパネルでは稲荷町駅周辺だけが赤線で囲まれていますが、
隣の上野駅周辺なら自由に停められるというわけではありません。
一枚のパネルには一つの規制区域しか表示しないという
不親切な表示方針でこうなっているだけです。
行政の仕事は信じられないくらいユーザー目線不在。
駐輪禁止看板と自転車
駐輪禁止看板の乱立は、
都市計画や空間設計の失敗を表わす分かりやすい指標ですね。
自転車と駐輪禁止看板が共に走行空間の障害になっている。
利用者の移動需要にきめ細かく対応した
小規模分散型の駐輪場を整備しておけば
こうはならないでしょう。
歩行者空間と自転車空間の境界に駐輪場
珍しくまともな駐輪場を発見しました。
何となく、駐輪スペースの向こう側(歩行者空間)に停めて
柵に立て掛けた方が自転車を地球ロックしやすい気もしますが、
何も無いよりはマシです。
だが有料だ。
自転車での来街を促せば車道の渋滞を改善でき、
環境面でも健康面でも好ましいはずですが、
自転車を車よりも有利な移動手段にして
モーダルシフトを促そうという発想は
台東区には無いようです。
最近は安易に「受益者負担」の論理を振りかざして
有料の駐輪場を整備する自治体が目に付きますが、
長期的な視野に立って人間社会全体の最適化を考えた場合、
その論理は必ずしも正当化されません。
(鉄道駅など、駐輪需要が集中するスポットでの
有料化は仕方無いかもしれませんが。)
一方、車には厖大な空間を割いて好き放題に路上駐車させています。
交差点の直近の路上駐車枠(西浅草一丁目交差点の東)
交差点の直前・直後に路上駐車が発生すると
ボトルネック効果で交通容量は大きく低下します。
限り有る空間を最大限に活かす為には、本来、
この位置に駐車枠を設けてはいけません。
こんな非効率的な空間の使い方ができるのも、
車道に広大な空間を奢っているからでしょう。
空間をコンパクトに効率よく使うという
日本的な価値観が、車道の設計では死滅しています。
広い車道空間
路上駐車も自由にさせたい、大量の交通流も捌きたい
と欲張った結果、車道空間の利用効率が下がっています。
そもそも浅草通りにこんなに車線数が必要なのでしょうか。
広域的な視点から捉え直してみます。
ピンク色に着色した路線が浅草通り
(Google Maps を加工。下の地図画像も同じ。)
上野駅から東に進み、スカイツリーの横を通過して
明治通りとの交差点に至ってすぐ終わり。
浅草通りは全長僅か4.7kmの短小路線です。
蔵前橋通りと京葉道路(水色)
浅草通りのすぐ南には東京と千葉方面を結ぶ
東西方向の幹線道路が何本も引かれています。
図示は省略しましたが、首都高小松川線や
新大橋通りも東西方向の大動脈ですね。
北東方向には国道6号も伸びています。
これらに比べると、浅草通りは幹線道路と細街路を連絡する
地区アクセス道路に過ぎないように見えます。
その程度の路線の車道に約17mもの幅員(稲荷町交差点付近)
を割り当てるのが果たして妥当と言えるのかどうか、私には疑問です。
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