2014年9月29日月曜日

相模原市・橋本駅周辺の自転車環境

橋本駅南口にアプローチする市道

津久井湖・道志みち経由で山梨までロングライドした時に
橋本駅周辺を通過しました。



撮影時刻は朝6時30分。駅に向かう自転車通勤の人たちが
ちゃんと左側通行で自転車レーンを走っています。
逆走にならないようにわざわざ車道を横断している人もいました。
(最終目的地の駅前駐輪場が道路の左側に有るのが理由だと思いますが。)

時間帯が早いからか、車はそれほど多くなく、
スピードもあまり出ていなかったので、
単にペイントしただけのレーンでも「まあ有りかな」という印象です。

ただ、車道の幅員は 9 m くらいしか無いので、
路線バスに追い越される時は
ギリギリに感じられるかもしれませんね。

(自転車とバスがそれぞれの空間の中央を通行した場合、
側方間隔は0.7mしか取れません。相手が圧迫感の強い
大型車体なので、できればこの倍は欲しいですね。)


始まったと思ったらすぐ終わってる!

この自転車レーンは、書類上は橋本二丁目交差点から
橋本駅南入り口交差点まで続いている事になっています。

相模原市 都市鉄道・交通政策課(2011)
「市道橋本駅⻄口の自転車レーンの設置について」
http://www14.plala.or.jp/hashimoto-tdm/pdf/bluezone-handbill.pdf

しかし交差点手前では右折レーンが加わって
車道の幅員全てが車に取られてしまうので、
自転車レーンの実質的な長さは 120 m ほど。

この日、私が自転車で走った距離は 120 km なので、
全行程の 0.1 パーセント分しか有りません。
体感的には本当に一瞬です。

利用率や整備効果はどうでしょうか。
相模原市から社会実験レポートが出ています。

相模原市 都市鉄道・交通政策課(2012)
「橋本駅南口交通社会実験ニュース2号」
http://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/dbps_data/_material_/localhost/matizukuri-keikaku/611500/pdf/jikken_kekka.pdf

この資料の数字(p. 2)を元に計算すると、
自転車レーンを通行した自転車の割合は45.8%ですね。
ただ、この数字は……

相模原市(2011)
「橋本駅南口交通社会実験の結果について(速報)」
http://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/dbps_data/_material_/localhost/matizukuri-keikaku/611500/pdf/jikken_tyuukankekka.pdf

「平日午前6時から午前9時までの3時間」(p. 2)

を集計したもの、つまり、サンプルの属性が通勤自転車に大きく偏っています。
はい来たこれ。自治体の社会実験にありがちなごまかしです。
24時間で集計したらもっと低い数字が出る可能性が有ります。

過去の関連記事
行政の「社会実験」にありがちな事


自転車レーン区間を抜けると国道16号

国道16号には横断歩道が無く、歩行者や自転車は地下道で潜っていました。
交通量が非常に多く、信号の待ち時間も長くなりがちな幹線道路なので、
立体交差にしたのは妥当です。 ただ、その地下道が
自転車に優しい構造かどうかは気になる所です。

私は車と同じように平面で横断したので地下道内部は見ていませんが、
以前通った橋本五差路の地下道はかなり酷かっです:
  • 歩行者と自転車の通行空間が分離されていない
  • スロープが急で、自転車に乗ったまま安全に通行できない
  • 地下道内部が迷路のようで方向感覚を失う
  • 死角が多く出会い頭衝突のリスクが高い


町田街道

駅前から飛んでこちらは町田街道の多摩ニュータウン入り口交差点から
田端交差点までの区間。車道の端に 2 m くらいの余白が有りますが、
無慈悲にもガードレールで塞がれています。自転車への配慮ゼロですね。 
車道拡幅に伴う暫定措置とかでしょうか。


アンダーパスの自転車・歩行者通路入り口

またまた飛んで、橋本三丁目交差点の南のアンダーパス側道部分です。
初めて通った時はこの通路に気付かずに車道部分を走り抜けてしまいました。
だって車道からは全然視界に入らないんだもん。


側道の歩道から横断歩道を渡って、

雑草がぼうぼうに生えたゲートを通り、

直角に曲がってアプローチ。

直角に折れているので自転車では走りにくいです。
路面もブロック舗装で凸凹しているので乗り心地が悪い。


「歩行者優先・自転車徐行」

よく有る注意書きですが、そもそもこんな事を書かなければならないのは
歩行者・自転車用のインフラに掛ける費用をケチっているからです。


 London Cycling Campaign, Dutch street gallery より

アンダーパス内でも歩道と自転車道を段差でしっかり区分して、
自転車道に充分な幅員を与え、勾配を緩やかにすれば、
利用者に不便を強いる必要は有りません。


The Environment Blog, Bike The Netherlands より

どうよ、これ。
中央の赤い部分は車道ではなく自転車道ですよ、自転車道。
歩行者と空間分離できているので安全にスピードを出せ、
下り坂でついた勢いをそのまま出口の登り坂に活かせます。

また、アンダーパス内部に死角が無く、
外から見通せるようになっているのは、
犯罪防止まで考慮しての事です。

外部ブログの関連記事
A view from the cycle path... (2008) Three types of safety


キツい登り坂で自転車を降りてしまう利用者

一方、日本では車以外の部分に掛ける費用をケチって
利用者に危険と不便を強いる道路が平然と作られています。
こんなんを当たり前と思ったらアカンよ。


入り口から内部が見通せない構造

犯罪予防の観点からも問題が有りますね。


通路の途中に唐突に階段

左カーブの途中に有るので階段は死角に入ってしまいます。
出会い頭事故の元ですね。

歩行者と自転車の通行空間がしっかり分離されていれば、
途中に階段が繋がっていても問題は無かったんですが。