2014年9月3日水曜日

ナレーンドラさん

インドの現首相が来日して新聞に名前が載っていました。

Narendra (नरेन्द्र)

あ、これは nara + indra だな。



サンスクリット語の nara(नर, 人)と
Indra(इन्द्र, ヒンドゥー教の神の名前)を合わせた複合語です。
全体では「人の支配者」、つまり「王」という意味の名前です。

同じような造語過程を踏んだ名前は他にも
maha(偉大な)+ indra(インドラ)= mahendra(マヘーンドラ)
というのが有りますね。

どちらの場合も二つの語を繋げると母音が連続してしまうので、
連声(サンディ, sandhi, संधि)と呼ばれる音韻規則によって
a+i が e に変化しています。綴りは変化後の音を反映しています。

サンスクリット語はこのように
実際の発音を正確になぞる表記法が特徴的です。
表音文字というより、むしろ音声記号といった方が近いかも。
(首相の母語はグジャラート語ですが。)

日本でのカタカナ表記は
  • ナレーンドラ・モーディー
  • ナレンドラ・モディ
が混在していますね。

グジャラート語であれば母音の長短の区別が消滅しているので
後者でも良いのかもしれませんが、
ヒンディー語では前者の方が正確な音写と言えそうです。

ただ、インド人は結構早口なので、音韻的には長母音でも
日本人が聴くと短母音に聞こえてしまう場合が有ります。



サンスクリット語のおすすめ辞書サイト
http://www.sanskrit-lexicon.uni-koeln.de/monier/