極限まで切り詰められた設計の携帯工具では
奥まった所に在るボルトに届かない事が有ります。
ライドに出掛けてから気付いても遅いので、
出発前に一通り検証する事にしました。
ST-2200のシフトレバー軸の固定ネジ(プラス)
開始早々、準備編でネジを見落としていた事に気付きました。
普段は全く触る事が無い部分で、今まで一度も緩んだ事も有りませんが、
プラス専用ネジで、TOOLMANATOR では対応できません。
点検箇所の見落としエラーにはどう対策を立てたら良いんだろう。
STI レバーの固定ボルト
カバーを捲るとボルトのヘッドが露出するので、
STI レバーの固定ボルト
工具先端の長さは 1 cm でも問題無いはずですが、
アーレンキーを差した図
携帯工具を差した図
ええっ!? 嘘だろ?!
携帯工具はビット根元の僅かな膨らみが邪魔で
垂直にアクセスできず、ボルトを回せない事が判明しました。
前から見たボルト
STI レバー側のボルト周辺が、
一定の太さのアーレンキーでのアクセスしか
考慮していない立体形状でした。抜かった……。
これを知るまでは、Topeak の Mini 6 なんかの
「六角柱をそのままグニャッと曲げて根元に繋げた」形状が
無駄に思えていましたが、そうか、そういう事だったのか。
そうなると PRO MINITOOL 6 や Lezyne V 5 も地雷かもしれない。
ヘッドライト(Owleye HighLux5)のブラケット固定ボルト(プラス)
これも見落としていました。
マイナスドライバーでは回せない、プラスドライバー専用タイプです。
当然、TOOLMANATOR では緩みに対処できません。
ブレーキキャリパー(BR-R450)の固定ボルト
ここは辛うじて工具が届きました。
ボトルケージ(blackburn COMP ALUMINUM)の固定ボルト
ここも際どい所ながらアクセス可能。
フロントディレイラー(FD-3400)固定ボルト
小さな工具なのでボトルケージとの干渉は余裕で回避できています。
フロントディレイラーのリミット・スクリュー
プラス/マイナス兼用ですが……
あああああああああああ!
入らなかったあああああ!
工具の先端だけは掛かるので回そうと思えば回せますが、
舐めたり工具が突然外れたりしそうで怖いですね。
リアディレイラー(RD-2200)固定ボルト
ここも普通の六角穴付きボルトにはアクセスできましたが、
B テンションスクリュー
プラス/マイナス兼用のボルトには
またかあああああ!
H / L リミットスクリュー
ここも工具先端が少し掛かるだけで、
しっかり噛み合わせる事はできませんでした。
リフレクター(CAT EYE)の固定ネジ
一際大きなマイナス用の溝が切ってあったので、
これは大丈夫でした。
テールライト(Smart RL-321R)の固定ネジ
あちゃー、これも駄目か。
ペダル(PD-M530)のペダルボディーカバー固定ネジ
ここはプラス専用ネジなので最初から無理ですね。
ブレーキキャリパー(BR-R450)のセンタリングボルト
プラス/マイナス兼用ですが、
ここもしっかり奥まで差し込めません。
(私はこのボルトには触らない事にしているので関係無いですが。)
おかしいな、ほぼ全滅じゃないか。
使っていないフロントディレイラー(FD-2200)
古いパーツを箱から引っ張り出してきました。
リミット・スクリュー
あれ? これにはピッタリ嵌まる。
blackburn は製品企画段階で古い世代のパーツしか
考慮していなかったという事でしょうか?
それにしても、ほぼ全てのマイナスネジに使えない事には閉口しました。
ドライバー先端の寸法を測ると、幅 4.5 mm、厚さ 1.2 mm。
なんだこの寸法は! 分厚すぎる!
疑問に思ってマイナスドライバー(flat-blade screwdriver)
の規格を調べてみたんですが、
http://www.sun-inet.or.jp/~mizutani/kougu4.html色々と情報が錯綜としているものの、現実のマイナスドライバーは
http://ds.esco-net.com/volume/00003/imag/file6090/t010000608910.pdf
http://sizes.com/tools/screw_drive.htm
先端部の幅と厚みに何ら対応関係が無い
という事が分かりました。工具のサイズを表わす場合も
先端部の幅とシャフトの長さの2値しか表示されないので、
本当に手元のネジに使えるかどうかは
現物合わせしないと分からないという事です。
何たる陥穽……。
一方、プラスドライバー(Phillips screwdriver)には
規格化されたサイズが存在します。
プラスドライバー(左から #0, #1, #2)
スポーツ自転車で使うプラスネジは、
私のロードバイクで試した限り、ほぼ全て #2 でした。
唯一の例外は STI レバーのフードの中に隠れている
Flight deck 操作ボタンの回路固定ネジ(#1)ですが、
ここは一切触らないので関係ありません。
(ほぼ全て #2 で済むってのに、
プラスドライバーは #1 しか備えてない携帯工具もチラホラ見られます。
自転車にあまり詳しくない人が製品を企画したのかもしれません。
また、パッケージや製品情報ページにプラスドライバーの
番手を記載していない例も非常に多いです。こういうの困るんだよな。)
普通の工具と、想像以上に使えない事が判明した携帯工具
仕方が無いので、サドルバッグには通常の工具を束ねて入れる事にします。
3M ワンタッチベルト
2, 3, 4, 5, 6 mm のアーレンキーを束ねた図
輪ゴムで束ねているとゴムが劣化して千切れるので
結束テープの方が便利です。
プラスドライバー(#2)と 2〜6 mm のアーレンキーの合計重量:85.8 g
有り体に言って、普通の工具でも携帯工具と大して重量差は無いんですよね。
(実際にはこれを更に廃チューブで保護して
サドルバッグに入れるので、もう数グラム増えます。)
ちょっと嵩張るのが欠点ですが、サドルバッグ内の空間には
まだまだ余裕が有るので気になりません。
というわけで、携帯工具の選び方・失敗編でした。
おまけ
マイナスネジの溝の幅と厚みの実測値(プラス/マイナス兼用ネジも含む)
- ST-2200のリーチアジャストボルト 4.5 x 1.2 mm
- FD-3400 のリミットスクリュー 5.5 x 1.2 mm
- リフレクターの固定ネジ 8.0 x 2.0 mm
- Smart RL-321Rの固定ネジ 6.5 x 1.0 mm
シリーズ一覧
携帯工具の選び方 (1) 準備編
携帯工具の選び方 (2) 選定編
携帯工具の選び方 (3) 試用編