dhb Aeron Pro cycling bib short (XS)
ビブというものがどんな物なのか一度試してみたくて
Wiggle のセール期間に dhb のを1着買ってみました。
ローラー台やロングライド(120 km 超)で何回か使ったのでレビューします。
比較対象は saitoimport の 3D パッドレーサーパンツ(Sサイズ)です。
実測重量はXSサイズで 179.6 g
saitoimport のレーパン(Sサイズ)は 154.2 g でした。
肩紐が無い分、順当に軽いですね。
生地のテクスチャや速乾性は両製品で全く異なります。
dhb のはザラザラと鮫肌のような触り心地で、
速乾性は非常に高く、ローラー台や炎天下のライドでも快適です。
saitoimport のはテラテラで滑らかな生地ですが、
汗を掻くとすぐにべったり肌に張り付いてきて不快です。
速乾性に関しては g.u. の「さらっとストレッチ」生地以下です。
(saitoimport サイクリングタイツ春夏用と
g.u. さらっとストレッチTからそれぞれ生地を切り出し、
レッグカバーに加工して実際にロングライドで使った感想です。)
CyTech社のパッド
座骨部分の分厚いクッションと中央の深い溝のメリハリが利いていて、
前傾姿勢で長時間乗っていても会陰が鬱血しません。これは非常に快適です。
saitoimport のパッド
(邪魔なので本体から取り外した)
(邪魔なので本体から取り外した)
対して saitoimport のパッドは中央も分厚く、
普通の下着より寧ろ鬱血しやすくて、長時間
前傾姿勢が取れないという欠点が有りました。
座骨が乗る部分の幅
パッド全体の幅は約 22 cm、
座骨が乗る左右のクッションの中心点間隔は約 10 cm です。
クッションは指で押した感覚ではコシが強く、
体重をしっかり受け止めてくれそうな印象でしたが、
心拍可動域の 70 % くらいの運動強度(私の場合 150 bpm)で漕いでいると
次第に座骨部分の皮膚がジンジン痛くなってきます。
少し無理をしてペダルに体重を載せ続けるか(心拍可動域の 80 %、164 bpm)、
時々立ち漕ぎを織り交ぜると痛みは回避できます。
尤も、これは普段全くトレーニングしていない私の場合なので、
「毎日ローラー台で週末はロングライド」というような
本格派の人なら問題無いかもしれません。
saitoimport のパッドは最大幅が約 18.5 cm、
座骨クッションの中心点間が約 7.5 cm です。
座骨部分にはゲル素材が入っていますが、
楽をしてサドルに体重を掛け続けていると次第に
座骨が痛くなってくるのは CyTech のパッドと同じです。
ゲルだから特に優れているというわけではないようです。
内股部分の幅
パッド左右に羽根が張り出した部分は約 17.5 cm と、かなり幅広です。
この広さにより、上腿内側の内転筋とサドルの縁が擦れる部分から
縫い目が遠く離れるので、股擦れトラブルが起こりにくくなります。
実際、ロングライドでもローラー台でも股擦れは発生しませんでした。
ただ、着用時に生地を引っ張り上げすぎると
縫い目の違和感が気になる場合が有ったので、完全ではないです。
CyTech パッドに重ねた saitoimport のパッド
サイドの張り出し量が全く違う。
一方、saitoimport のパッドにはこのような張り出しが無く、
内股部分の幅は約 10.5 cm しかありません。
ケイデンス高めで漕いでいるとパッドの縁の縫い目で股擦れするので、
普通の下着とあまり変わりませんでした。
パッドの伸縮性
CyTech社のパッドは伸縮性が高い
本体の生地と同様、パッドにも伸縮性が有るので、
脚の動きに追従して擦れの軽減に一役買っています。
速乾性も高いので、汗でビッタビタになる事は有りません。
(ただ、真夏の炎天下、
サドルに座りっ放しで高い運動強度を維持していると
さすがに発汗ペースに追い付かなくなってきます。)
対して saitoimport のパッドは伸縮性が殆ど無く、
速乾性もかなり劣ります。
ここまでの情報をまとめると、良いパッド(男性用)の条件は、
- 座骨部分の分厚いクッション
- 中央の深い溝
- 左右に張り出した大きな羽根
- 高い伸縮性
内股部分の縫い目
裾からパッド中央に向けて内股の縫い目が真っ直ぐ延びています。
一応、縫い代が飛び出ない平滑な縫い方ではありますが、
他ブランドの上位モデルではそもそも縫い目自体が
内股に来ないようなカットパターンを採用しているので、
それらに比べると見劣りします。
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レーパンを選ぶポイント
ビブ市場全体の中に位置付けると、
dhb の Aeron Pro は「中の上」辺りですね。
ただ、実際に使うと心配していたほど擦れは出ませんでした。
saitoimport の内股の縫い代とパッドの縁
一方、saitoimport は縫い代が飛び出している上に、
縫い代の山を間違って逆向きに倒して縫い付けている場合が有るので、
強烈な擦れ要因になります。これは普通の下着以上に苛烈に皮膚を責め立ててきます。
パッドの縁の縫い目
パッドの縫い目は saitoimport のものとほぼ同じですね。
使う糸の量が多いのでゴワつき易く、擦れの原因になります。
他の高級ウェアブランドなら3点ジグザグ縫いを使う所です。
ただこれも、実際に使うとそれほど気になりませんでした。
パッドのサイドの張り出しが大きいからでしょう。
しかし、saitoimport の製品はやはり擦れが出ました。
裾は別生地
Wiggle の商品ページでも一部のレビュワーが指摘していますが、
裾の赤い生地は周長方向に余って太腿から浮き、シワになりました。
これは、末端に向けて窄まっていく脚の形状に合わせず、
生地を単純な長方形のまま使っているからです。
(理想は「切り分けたバウムクーヘン型」のカットパターン。)
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尤も、裾部分の幅は平置き測定で 184 mm(XSの場合)なので、
よほど脚が細い人でなければピッタリ密着すると思います。
膝の少し上辺り、レーパンの裾が来る高さで
太腿の周長が 37 cm 以上有る人は大丈夫でしょう。
裾の滑り止めのシリコン
私の場合は生地が肌から浮いてしまうので滑り止めは機能しませんでした。
その所為で運動中に徐々に生地がずり上がって来て、
内股周辺にシワができ、擦れの原因になります。
雑なカット
Aeron Pro は dhb ブランドのビブの中では割と高いグレードなんですが
(Goldline > Aeron Pro > Aeron Race > Aeron)、
ちょっと仕立てが雑な箇所が有りますね。実用上は問題ないです。
裏返した状態での全体像(背中の中央にタグ)
肩紐はゆるゆるで(身長 163 cm で XS サイズ)、
着た状態では「単に肩に乗っているだけ」という感覚です。
「着ていると肩が凝ってくる」などの問題は皆無でしたが、
ビブ本体を上方向に引っ張り上げる力も殆ど働いていません。
だからといって、ずり落ちる訳でもない。
腰回りの生地が肌に密着するので、
それだけでしっかり止まっているようです。
(肩紐って本当に必要なのか?)
Wiggle の商品ページでは適応身長の表に
- XS : 70" (177.5 cm)
- (中略)
- XXL : 72.5" (184 cm)
たったの 2.5" (6.35 cm) っておかしくね?
カスタマーセンターに問い合わせた所、
サイズ表の身長はフィット感にあまり関係無いそうです。
肩紐が良く伸びる素材だから、まあ、そうなのかも。
(肩紐の伸縮性は非常に高いので、ジャージーを着たまま
ビブの肩紐を袖から引っ張り出して脱ぐという裏技も可能です。
お勧めはしませんが。)
お腹周りの締め付けについては、ビブの利点の一つと言われていますが、
私はウエストが 65 cm なので普通のレーサーパンツでも別に苦しくなく、
ビブに履き替えても特に恩恵は感じられませんでした。
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最後にトイレについて。
面倒です。
特にハーフジップジャージーと合わせると猛烈に面倒くさい。
ロングライドではトイレ休憩でのタイムロスが意外と大きいので、
私は手持ちのハーフジップジャージーをフルジップ化改造しました。
ただそれでも、脱いだジャージーを掛けておくフックや
置いておける台が無いトイレも多いので、その場合は
- ジャージーを脱ぐ
- ビブの肩紐を外す
- 再びジャージーを着る
- 用を足す
- またジャージーを脱ぐ
- ビブの肩紐を掛け直す
- 最後にジャージーを着る
自転車本体にチタンやカーボンを奢るより
脱ぎ着の簡単なウェアを選んだ方が
タイム短縮の費用対効果は遥かに高いんじゃなかろうか……。