2014年4月11日金曜日

手動HDR合成の仕方

2014年4月12日 作例追加

無料の画像編集ソフト、GIMPを使った
HDR写真の作り方をメモしておきます。



手順は次のとおり:
  1. デジタルカメラを三脚に固定する。
  2. それぞれEVを変えた3枚の写真を撮る。
  3. 中間の明るさで撮った写真を土台としてGIMPで開いておく。
  4. 一番明るく撮った写真を追加で開き、その中の一番暗い部分を選択。(*1)
  5. それをコピーして土台写真に貼り付ける。(*2)
  6. 一番暗く撮った写真を追加で開き、その中の一番明るい部分を選択。
  7. それをコピーして土台写真に貼り付ける。
version 2.8.4 で動作確認済みです。


*1 選択の仕方
Select by Color Tool(Shift + O)
  • Feather edges: check
  • Radius: 50(様子を見て調節する)
  • Threshold: 63.0(様子を見て調節する)
  • Select by: Value(または Composite)

*2 貼り付け方
Edit → Paste as → New Layer



劇的で非日常的な写真に仕上げたい時は、
撮影時のEVの間隔を大きく取り、
Radiusも大きくすると良いようです。
(‘Radius’は選択範囲の境界線のぼかし幅です。)

イメージセンサーのダイナミックレンジ不足を補う目的で
自然な画面にしたい場合は、EVの間隔を詰めると、
「合成しました感」が弱まります。



私はデジカメはリコーのCX2を使っていますが、
このカメラに内蔵されている自動HDR機能
(ダイナミックレンジダブルショット)はアルゴリズムがお馬鹿なので、
細部がベタッと灰色一色に潰れてしまったり、
彩度がガタ落ちしてしまう場合が多いです。

通常撮影

強い逆光でダイナミックレンジが広い画面です。

デジカメのHDRモードで撮影

空の青を強引に入れてきましたが、
草のディテールが灰色に潰れてしまいました。

上の写真の拡大 

それよりは、露出オートブラケット機能で撮った3枚の写真を
手動で合成する方がずっと高品質な仕上がりになります。



作例


上では三枚の写真を合成する方法を説明しましたが、
作例では二枚だけ使っています。

まずは通常撮影から。

通常撮影

橋桁の下が黒く潰れています。

デジカメのHDRモードで撮影

暗部は持ち上がってきましたが、全体的に彩度が落ちています。

手動HDR用の元写真(EV +0.7)

手動HDR用の元写真(EV +1.3)

EV +1.3 の写真の暗い部分を選択

選択範囲を確認するモード(赤以外)

EV +0.7 と EV +1.3 を合成した結果

彩度を維持したまま橋桁の下まで明るくできました。

この他に EV 0 の写真も撮りましたが、
合成したら不自然になったので使いませんでした。


通常撮影

フォークの色が白飛びしかかっています。

デジカメのHDRモードで撮影

やはり彩度や立体感が少し落ちます。

手動HDR用の元写真(EV -0.7)

手動HDR用の元写真(EV 0)

手動HDR用の元写真(EV +0.7)

EV 0 と EV +0.7 を合成

陽光を受けた草の輝きは再現できていますが、
フォークがまだちょっと白飛びしていますね。

EV -0.7 と EV +0.7 を合成

草の輝きとフォークの色が両方収まりましたが、
フレームとフォークがやや不自然です。
EV -0.7 ではなく EV -0.3 にすれば良かった。

微修正

そこで、その部分だけ露出カーブを持ち上げました。
これで大体、実物を見た印象どおりです。