2014年4月4日金曜日

パーキングメーター

自転車乗りからは評判の悪いパーキングメーターですが、
上手く使えばモーダルシフトを促す道具にも、
事故を減らす手段にも使えると思います。

不忍通り・護国寺付近のパーキングメーター



現状のパーキングメーターは確かに駄目です。
自転車の通行空間である車道の端を占領しているからです。

ですが、パーキングメーターが無い場合でも
ドライバーは車道の端に車を止めています。

買い物だったり、仮眠だったり、
トイレ休憩だったりと目的は様々ですが、
時には自転車レーンの存在をも意に介さず、
堂々と道を塞いでいる事も有りますね。


東京都港区・札の辻交差点付近


それなら、車道は原則として全て駐停車禁止にして、
パーキングメーター枠内のみを駐停車可能な場所にした方が、
色々と都合が良いのではないでしょうか。

理由1 「路駐するには金が掛かる」というルールにできる

現状では、駐車禁止区間(縁石にオレンジ色の破線ペイント)であっても、
ドライバーは好き放題に路駐していますよね。タダで。

ですが、パーキングメーター以外を全面的に駐停車禁止にすれば、
「ちょっとコンビニに寄るか」程度の路駐からも金を取れます。

都市部では駐車場を備えていない店も多いので、
近場のちょっとした買い物に車で行くのは金銭的に不利になります。

理由2 「車で行くのは面倒だ」と思わせる事ができる

路駐に金が掛かるとなれば、
一部のドライバーは目的地に無料の駐車場が有るかどうか、
また、その駐車場に空きが有るかどうか、
出掛ける前に確認する必要が出てきます。

また、パーキングメーターの支払いやら何やらの
細々とした操作も、地味に面倒臭さを積み増してくれます。
これは富裕層にも効きます。

そうなれば、近場の用事に
わざわざ車を使うのは億劫になるでしょう。

理由3 車移動の所要時間を引き延ばせる

パーキングメーターは駐車時も出発時も色々と操作が必要なので、
車で行く場合は所要時間が少し余計に掛かります。すると
旅行速度も下がるので、他の交通モードに対する優位性が下がります。

東京都心の場合、車の平均旅行速度は約16km/hなので、
これにパーキングメーターの操作時間が加われば、
自転車でも余裕で車に勝てます。

モーダルシフトというのは、
何も車を徹底的に押さえ込む必要は無くて、
こういう風に、他の交通モードに対して
ほんのちょっと不利にすれば起こせるはずです。

理由4 車が止まる場所をコントロールできる

現状では、交差点や横断歩道の直近など、
事故を誘発しやすい場所、渋滞の原因になりやすい場所でも
平気で路駐するドライバーがいます。

また、道交法では禁止されていませんが、
左カーブを抜けた直後に停められると、
車道の左端を走る自転車にとっては非常に迷惑です。

(視界に突然路駐車両が入ってくる事になり、
手信号や車線変更など、色々な動作が間に合わなくなるから。)

ですが、駐停車場所をパーキングメーターに限定して、
且つパーキングメーターの設置位置を熟慮して決めれば、
そうした無秩序な状態をコントロールできるようになります。

例えば、交差点の手前十数メートルは設置しないとか、
自転車レーンが有る道路ではレーンを塞がないように設置するとか、

2011年7月26日

幹線道路には一切パーキングメーターを設けない事で
澱みない流れを実現し、細街路とのメリハリを付ける、
といった使い方もできるでしょう。


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こんなふうに戦略的に使う事を考えると、
パーキングメーターは今よりもずっと増やして、
町中至る所に設置していく必要が有るでしょう。

ただ、それは同時に、多すぎる車線数を削減する
ロードダイエットにも繋がるかもしれませんね。


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