2014年4月30日水曜日

オランダでは自転車道が主流

自転車先進国オランダでは、
自転車レーンではなく自転車道が主流です。

今まで視覚的にしか分離されていなかったレーンも、近年、
構造分離型のレーン(= 自転車道)への改修が進んでいます。

日本では
自転車先進国では自転車レーンが主流
と主張されていますが、事実は正反対です。

今回はそれを写真と数字の両面から紹介します。



改修前
2008年6月撮影の Google Street View を加工)

アムスタダム(*)の主要環状道路、s100 です。
道路ネットワークでの位置付けは、
東京で言えば外堀通りが良く似ています。
* Amsterdam をオランダ語での発音に近似させて
カタカナ表記するとこうなります。

2015年3月12日追記
「アムステル・ダム」と表記できる発音例も確認できました。
車道と停車帯の間に自転車レーンが引かれていますが、
路駐車両のドアが突然開いて自転車と衝突する危険や、
自転車のすぐ横を車が走り抜ける恐怖が有ったと考えられます。
これでは誰もが安心して使える通行環境とは言えませんね。

改修後
2010年8月撮影の Google Street View を加工)

改修前の写真と同じ地点です(右手の建物入口に同じ彫刻が確認できます)。
レーンが歩道側に移り、車道から縁石で構造的に分離されています。
停車帯とレーンの間に僅かながら緩衝帯を設けた事で、
ドア衝突(getting doored)のリスクも下げています。
同時に、ロードダイエットで車線数を減らしている点にも注目です。



getting doored(‘ドアされる’)とは?

by VinnyR (2006)

by VinnyR (2006)



次に、自転車道と自転車レーンの実態を
Fietsersbond のニュースの数字から読み取ってみましょう。

オランダには、自転車環境の向上を求めて活動している
自転車同盟(Fietsersbond *)という団体が有ります。
35000人以上の会員と150の地域支部を持つ団体で、
行政に対しても大きな影響力を持っています。

* 「サイクリスト協会」や「自転車乗り連合」などとも訳せます。

この団体はオランダ国内の自転車ネットワークの状況を、
各地のボランティアの手によって日々収集しており、
その情報を元に Routeplanner という
自転車版の経路検索サービスを提供しています。

以下のニュースは、自転車同盟が
そのデータベースを元に推計した
自転車通行インフラの総延長を報じるものです。
オランダ語の原文を日本語に訳しました。



オランダの自転車道、35000km近い総延長に
2012年8月29日公開、2013年1月23日更新、2016年8月30日原文を追加。
In Nederland ligt bijna 35.000 kilometer fietspad. Dit blijkt uit onderzoek van de Fietsersbond aan de hand van gegevens uit de Fietsersbond Routeplanner. Dat is meer dan de eerdere schatting van 29.000 kilometer van de Fietsersbond uit 2009 en veel meer dan het laatste cijfer, 17.000 kilometer van het CBS uit 1996. Het aantal kilometer wegen met fietsstroken bedraagt 4.700 kilometer, gelijk aan de eerdere schatting. De nieuwe cijfers zijn nauwkeuriger, doordat de Fietsersbond Routeplanner onlangs landelijk dekkend geworden is. Daarmee beschikt de Fietsersbond nu over een betrouwbare en gedetailleerde informatiebron voor alle provincies.

オランダ国内には現在、35000km近い自転車道が敷かれている。自転車同盟によるこの調査結果は、自転車同盟の Routeplanner の情報に基づいている。今回の推計値は、自転車同盟による前回の推計値、29000km を超えており、1996年のオランダ中央統計局(*1)による調査結果、17000km からは大幅に増えている。一方、自転車レーンを備えた道路の総延長は 4700 km と、前回の推計値と変わらない。なお、今回の推計値は以前より正確になっている。自転車同盟の Routeplanner が最近、国内全域をカバーしたからだ。これにより自転車同盟は現在、全ての地域について、信頼できる詳細な情報源を手にしている。

// 1 CBS(Centraal Bureau voor de Statistiek


De meeste kilometers fietspad liggen in de provincie Noord-Brabant, op de voet gevolgd door Gelderland (zie tabel). Dat is vooral een gevolg van de grootte van die provincies. Gecorrigeerd voor de oppervlakte ligt er in de drie randstedelijke provincies (Noord-Holland, Zuid-Holland, Utrecht) 30 – 70 % meer fietspad dan het landelijk gemiddelde. Ook is het fietsgebruik daar hoog, zo blijkt uit cijfers van het CBS. Per kilometer fietspad wordt er in de Randstad 35 – 60 % meer kilometers gefietst dan het landelijk gemiddelde. Het is daar drukker op het fietspad.

自転車道の総延長が最も長かったのは北ブラーボント州で、これに僅差でヘルドラント州が続いた。これは地域の広さに因る面が大きい。面積当たりで比べた場合、三つの都市圏州(北ホランド、南ホランド、ユトレヒト)が全国平均より30〜70%、自転車道の総延長が長かった。また、中央統計局の数字に拠れば、これらの州では自転車利用率も高い。自転車道1km当たりの自転車走行距離は、ランドスタット(*2)では全国平均より35〜60%長かった。自転車道が混雑しているのはこれらの地域である。

// 2 オランダ西部の都市集積地域。
// 北ホランド、南ホランド、ユトレヒト、フレイヴォーラントの4州。



In Flevoland, Groningen en Friesland loopt de helft van de fietspaden niet langs een weg, maar over een eigen tracé. Dit zijn doorgaans fietspaden met een recreatief karakter. De drie zuidelijke provincies scoren hier het laagst. Ook per gereden fietskilometer heeft de provincie Flevoland de meeste vrijgetraceerde fietspaden.

フレイヴォーラント、フローニゲン、フリースラント州では、自転車道の半数は車道沿いではなく、独立した道路(*3)になっている。これらの自転車道は大抵、レクリエーション施設としての性格を持っている。この種の自転車道については南部3州の得点が最も低い。また、自転車走行距離当たりでは、フレイヴォーラントが最も多くの自転車道(*4)を有している。

// 3 日本の「自転車専用道路」に相当

// 4 原文は vrijgetraceerde fietspaden


De Fietsersbond is blij met de extra fietspaden, maar volgens directeur Hugo van der Steenhoven is het nog niet genoeg. “Zeker in de provincies waar veel gefietst wordt zijn de paden vaak overvol, en dat is niet prettig en soms zelfs onveilig. Iedereen wil graag blijven fietsen, ook kwetsbare verkeersdeelnemers als kinderen en senioren. Daarom moet er toch nog meer fietspad bij. Een mooie opdracht voor een nieuw kabinet.”

自転車同盟は自転車道の増加を歓迎しているが、理事長のユーホー・ヴォン・デル・ステインホウヴァに拠れば、まだ充分ではない。「特に、多くの自転車道で頻繁に混雑が発生している地域だ。混雑した自転車道は快適ではないし、不安全な場合も有る。子供や高齢者といった交通弱者も含め、誰もが自転車に乗りたいと考えている。だからこそ更なる自転車道が必要だ。新政権には良い仕事を期待したい。」

// 以下略。原文には最後に表も載っています。

ちなみに、イギリスからオランダに移住して
オランダの自転車政策のノウハウを英語で発信している
David Hembrow 氏の2014年4月24日のブログ記事に拠れば、
現在の総延長は自転車道が 37000 km、
自転車レーンが 5500 km となっています。
増加ペースの違いからも、オランダでは
自転車道が好まれている事が窺えます。

オランダの自転車走行インフラの形態別割合
(数字はDavid Hembrow 氏の2014年4月24日のブログ記事に拠る)



今回の記事は、弁護士の木内秀行氏の発言に対する反論として書きました。
木内氏は、2013年9月25日に弁護士会館(東京都千代田区)で開催された
シンポジウム「自転車の公共政策を斬る」
~国・東京都の自転車政策はどうあるべきか~
にパネリストとして登壇し、
最後にですね、外国の諸事例では例えばアムステルダム、
オランダなどの自転車先進国に於いては、
そういった自転車道ではなく、自転車レーンが普及していると。
で、そういった自転車道を造って車道から区分けするのは
寧ろ自転車後進国に見られる例が多いという事もございます。

こういった事から、私は自転車道ではなく、
自転車レーンを以て自転車の走行空間とすべきと考えております。
と発言しています。

日本の多くのサイクリストが海外の実情を正確には知らない状況で
為されたこの発言は、自転車の利用を促進させる要因についての
日本の市民、行政、政治の判断を狂わせる恐れが有ります。



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