2018年12月26日水曜日

未分離区間の残るCycle Superhighway 2

ロンドンの自転車旗艦ルートの一つ、Cycle Superhighway 2は当初、
  • 既存の車線の一部分を帯状の青色に塗ったり(つまり自動車に踏まれる前提)
  • バス停・路上駐車ベイの周辺ではそのペイントすら打ち切ってピクトグラムだけ点々と設置する
といった粗悪な整備手法が採られていました。その後、サイクリストの死亡事故が続発し、市民から猛反発されたことで、当初整備から僅か数年後には、車道から縁石で分離された、正真正銘の専用通行空間として生まれ変わったのですが、必ずしも整備区間全体に亘って縁石による分離が一貫している訳ではありません。

実際のところ何パーセント分離できているのか知りたかったので、航空写真やStreet Viewを参考に地図を描いてみました(とりあえず下り線のみ)。



線を引いたのは、高さのある分離工作物(縁石、樹脂ボラードなど)が連続的に設置されているか、自転車道が車道面から嵩上げされている(= stepped cycle track)区間です。ボラードは設置間隔が2メートルくらいまでなら連続的な分離と見做すことにしました。一方で縁石は、搬入作業用や車道横断用と思われる短い切れ目でも不連続と見做しています(今のところは)。それから交差点内は当然分離がないので、青いペイントで自転車横断帯が引かれていても「分離」の延長には含めていません。

結果、整備区間の西端のAldgate (地図)から東端のStratford(地図)までの約6.0kmのうち、分離区間は約2.9km(約48%)であると分かりました。

特に、Aldgateを出発してすぐのWhitechapel Station付近(地図)は約450mもの長さに亘って、構造的分離どころか自転車レーンも無く大判のピクトグラムが点々と置かれているだけの状態です。自転車通勤初心者には厳しそう。反対側の上り線は構造分離型に改修済みなんですが……。

もう一つの大きなギャップは死亡事故の多発で悪名高いBow Roundaboutを通過した先の区間(地図)で、約250mに亘り視覚的分離の自転車レーン(白の実線で区分されているので、自動車の侵入が法的に禁じられている正式なもの。mandatory cycle lane)が引かれています。

そして東側の終端部(地図)は、一度は縁石分離の自転車道として完成したものの(元あったバスレーンを丸ごと転換したため一番広いところで幅3.5mほど)、最後に撮影されたStreet Viewでは、道路工事の影響で縁石が剥ぎ取られ、幅が半減して自転車レーンになった姿が写っています。

2018年12月7日金曜日

M.Zuiko 14-42mm f3.5-5.6 II Rの絞り故障

オリンパスのレンズが使用開始から3年4ヶ月で故障しました。この先まだ症状が進行するかもしれませんが、現時点での状態をメモしておきます。

症状
  • カメラ本体の電源を入れた時にレンズから「ジジジ」という異音がする。
  • 絞りが最小(F22)になったまま固まる(AF作動時も)。
  • 光量が少なすぎてAFが合焦しないので撮影できない(MFでは可能)。
  • 電源ON時にレンズのズーム位置が19〜42mmだと絞りは正常に開放される。

絞りの固着解除
  • 絞り優先モードで絞りを最小(F22)にし、MFで1回シャッターを切るか、絞りプレビューを1回作動させる。
  • 絞りを中間程度(例えばF8.0)にしてシャッターまたは絞りプレビューした場合はその絞り値までしか固着が解消されない。
  • 電源を入れ直すとまた絞りが最小で固まる。

2019年8月17日追記{
症状が変化し、いよいよ誤魔化しが効かなくなってきました。
  • カメラ本体の電源を入れた時にレンズから「ジジジ」という異音がする。
  • 電源ON時に広角端だと絞り最小で固まる。
  • レンズのズームリングを何度か回すと絞りの固着が徐々に解ける。
  • 絞り設定に関わらず、シャッターを押す瞬間に絞りが全開放される。
  • 絞りプレビューでも一瞬だけ絞りが開放され、その後本来の絞りになる。

2018年11月27日火曜日

Protected bike lane整備による自転車の高速化(バルセロナ)


Zicla社のZebra®で車道から分離された自転車レーンが整備された路線の整備前後を比較した車載動画がツイッターに上がっていました。整備前は車の渋滞に阻まれて中々進めなかった自転車が、車とは別の専用通行空間ができたことで劇的に速く、スムーズに走れるようになっています。

2018年11月25日日曜日

方向別車線に挟まれた自転車レーンを批判するドイツのデモ

交差点流入部で車の左折レーン(欧州では右折レーン)と直進レーンの間に自転車レーンを挟む形式(通称 „Fahrradweiche“)は、日本国内では
  • ヨーロッパの先進的な自転車インフラ!
  • 自転車を車と同列に扱っていて素晴らしい!
  • 日本も見習うべき!
などと持て囃され、国のガイドライン (国土交通省道路局 and 警察庁交通局, 2012:Ⅱ-63) にも設計例が掲載されていますが、その構造を多用してきたドイツでは最近、Holzmarktstraße (Mitte, Berlin) に新設された自転車通行空間のFahrradweichen部分を危険として批判するデモ活動が行なわれました。



デモでは2台のセミトレーラーを配置し、間に挟まれた自転車レーンに子供を走らせることで、速度も重量も全く異なる移動体を交錯させることの危険性が視覚的に訴えられています。

このキャンペーンを行なった団体、Changing Citiesは、Fahrradweichenを今後一切新設せず、既存のものも改修するよう求めています (Fahrradweichen: Brutal und gefährlich, 2018)。

2018年11月16日金曜日

電線共同溝の地上機器の寸法と望ましい設置位置

自転車通行空間に隣接する地上機器(地図URL

青山霊園の東側を走る都道319号で地上機器の寸法を実測しました(2017年3月撮影)。

2018年11月5日月曜日

東京都の自転車通行空間マップ



ツイッターでは既に何度か触れていますが、いま東京都内の自転車通行インフラを一覧できるマップを手作りしています。基本的に自分の足で訪れて直接見知っている路線から地図に反映させていっているので、現状ではまだ地図化エリアに偏りがあります。

自治体が作るような自転車ネットワーク図と違って、交差点やバス停の周辺での打ち切りも反映しているのが特徴です(整備延長の公称値と実延長の違いや、centerline kmとlane kmの違いも集計しやすくなるはず)。また、インフラの種類ごとにレイヤーを分けているので、それぞれ個別に表示をon/offすることも可能です。

「東京都」と銘打っていますが、一部、神奈川県のインフラが入っています(これは別の地図に分離するかも)。

2019年3月21日追記{
神奈川県版埼玉県版を別途作りました。


2018年10月29日月曜日

江東区森下の生活道路の自転車ナビラインと改善案

江東区森下の特別区道・江125号(出典URL

江東区は区内各地の生活道路に混在通行マーキングを精力的に設置していますが、車道端に機械的に設置しているため、デザインと利用実態が噛み合っていません。森下地区の特別区道・江125号もその一例です。

江東区森下の特別区道・江125号(出典URL

自転車通行位置の問題以前に、生活道路であるにも関わらず車道幅員が物理的にも視覚的にも広すぎます。空間に無駄が多いだけでなく、速度超過の誘発も懸念されます。

単に自転車ナビラインを付け足すという小手先の対応ではなく、道路デザインを根本から見直すならどうすべきか。とりあえず単路区間だけ改善案を作ってみました。

2018年10月26日金曜日

武蔵境通りとかえで通りの自転車通行空間・バス停周辺の比較

潤沢な空間に恵まれながらバス停周辺で自転車通行空間を打ち切る武蔵境通り
深大寺入口バス停(地図URL

2018年10月24日水曜日

都道123号・天文台通りの自転車レーン




オリンピック関連事業の「自転車推奨ルート」として整備されながら、あまり利用率の高くない都道123号の自転車レーン。失敗の原因は、
  • 大型車の通行が多い割に自転車レーンの幅が狭い
  • 交差点の周辺で途絶し、混在通行に切り替わる
  • 歩行者が少ないので歩道の方がスムーズに安心して通行できる
の3点でしょう。歩道を上回るメリットを自転車利用者に提供できていません。

2018年10月23日火曜日

豊田駅南口の自転車ナビマーク

まだ車の少ない早朝。車道を通行している自転車がいますが……

2018年10月18日木曜日

南青山の自転車環境

幅は広いが混雑している南青山の歩道

前回の記事『自転車のまちをデザインする』出版記念シンポジウムの会場周辺で目に付いた光景を何枚か。

『自転車のまちをデザインする』出版記念シンポジウム

2018年10月18日 表現を変更


2018年10月17日に南青山のナビタイムジャパンで開催されたシンポジウム

2018年10月11日木曜日

ロンドンのエスカレーター両側立ち実験についての注釈



2016年のニュースが再び話題になっていたので、その事例を解釈する上での注意点をおさらいしましょう。

2018年10月10日水曜日

志木市 本町通りの自転車レーン





2018年10月12日 加筆・誤字修正
2019年3月24日 レーン幅の推測値を追加
2019年4月14日 冒頭に動画を追加
2020年12月4日 レーン未整備区間の写真を追加

2018年10月2日火曜日

『自転車の安全鉄則』のウソ (5) ダッチバイクとヴェリブ



荒川河川敷の土系舗装と釘撒き事件——想像以上に思惑がバラバラだった自転車業界



「自転車に歩道を走らせているのは世界で日本だけ!」←ボローニャは?



2018年9月18日火曜日

交通工学研究会『ラウンドアバウトマニュアル』の問題

交通工学研究会(2016)『ラウンドアバウトマニュアル』を読んだ感想を連続ツイートしたので忘れないようにブログに纏めておきました。



2018年9月14日金曜日

自転車利用実態調査における東京都の不正行為

9月11日に東京都が自転車アンケートの調査結果を発表しました。

東京都 (2018) 都政モニターアンケート結果 自転車の安全で適正な利用, 東京都. Available at: http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/09/11/01.html (Accessed: 11 September 2018).

同調査には研究倫理の観点から見過ごせない問題が幾つかあったので指摘しておきます。

2018年9月13日木曜日

滝野川市場通り商店街

心地よい商店街は車両通行止めが基本


駅近のスーパーに自転車で買い物。日本の典型的な都市生活の一コマ。


車両通行止め区間の路上アート(水かな?)

なんか面白いことやってるね。

巣鴨地蔵通り商店街のcontinous footwayとsimultaneous green

巣鴨地蔵通商店街の入り口
Entrance of Sugamo Zizo-dori shopping street

2018年9月12日水曜日

Wikipedia「自転車道」を編集しました

前回の「自転車歩行者道」に続いて今度は「自転車道」のページを大幅に編集しました。

私が加筆する直前の版
Wikipedia「自転車道」(2018年7月28日)

私が加筆した版
Wikipedia「自転車道」(2018年9月13日)

※ Wikipedia「自転車道」はこのブログ記事を公開した後にも何度か私自身が編集を加えています。上のリンクは編集後の最新版に随時再設定しています。


主な編集内容


特に海外の自転車道については、従来の版に出典不明の怪しい記述が散見されたので、新たな参考文献を大量に追加して本文の質・量ともに充実させました(従来の版は、信じがたいことに日本語以外の参考文献を1本も引用していません。記述の全てを、日本人のフィルターを通した文献に依拠しています)。

日本国内の自転車道については、以前編集した「自転車歩行者道」と同じく、自転車道のメリットに一切触れず、ネガティブな面のみを取り上げている箇所があったので、中立性を取り戻すために「歩道通行率の大幅な低下」という側面を追記しました。


残したままの課題


以上のような編集を加えましたが、現時点でも気になる問題が2点残っています。

第1に、記事には海外の自転車インフラの写真が大量に貼られていますが、そのうち幾つかは自転車道とは関係ないものです。これは整理すべきだと思います。

第2に、海外では自転車道の代わりに自転車レーンやバスレーンが整備されているという節がありますが、これらは別記事に分割した方がスッキリするだろうと感じています。


2018年10月21日追記{

上記2点の修正に加え、オランダの自転車道の歴史についても記述を充実させました:
Wikipedia「自転車道」(2018年10月15日版)

2018年8月26日日曜日

亀戸駅前の自転車道は何メートル幅で整備すべきだったのか


日本では自転車道(や歩道上の自転車通行空間)が幅員 2.0 m で建設されることが多いです。これらは道路構造令の最低基準(10条3項)を機械的になぞったものと思われます。

しかし、道路管理者が有効幅員 2.0 m のつもりで設計した自転車道の【体感的な】幅員は、柵や縁石からの圧迫感がある分、物理的な幅員より狭くなりがちです。

2018年8月24日金曜日

道志みち・横山トンネル工事現場の様子

道志みちの相模原市緑区青根に新設されるトンネル

今年7月下旬に山中湖方面からMTBで帰ってくる時に撮影しました。

2018年8月20日月曜日

Wiktionaryの “door” を編集しました

英語の “door” は自転車界隈では「車のドアを突然開けて衝突事故を引き起こす」という意味で動詞化しており、受動態でも能動態でも、動名詞としても使われています:

KushCam (2016)
Foodora Cyclist gets Doored on Bay Street
(ベイ・ストリートで料理配達の自転車が突然開いたドアに衝突)

Bowden, A. (2017)
Police officer deliberately doors thief riding Boris bike
(警察官、ボリス・バイクで逃げる泥棒をドア開けで足止め)

O’Neil, L. (2017)
Toronto introducing new rules to cut down on cyclist dooring
(トロント、自転車のドア衝突事故を減らすため新ルール導入)

この語義はWikipediaの姉妹プロジェクトであるWiktionaryの英語版はもちろん、日本語版にも2015年2月28日の版から(英語版の翻訳という形で)採録されていますが、その語釈が明らかに間違っていたので修正しました。

2018年8月18日土曜日

「世界の潮流から外れる日本の自転車政策」の発表スライド

2018年7月8日に文京学院大学で開催された交通権学会で口頭発表をしました。その際に使ったスライドを公開します(発表後に若干の修正を加えています)。


「世界の潮流から外れる日本の自転車政策——過去の経緯と今後の課題の概括」

読み上げ原稿はスライド下部の歯車アイコンから “Open speaker notes” で表示できます。スライドには書き切れなかった補足や詳しい出典などもここに入れてあります。


発表の概要

学会に発表を申し込んだ際に提出した概要です。
世界では、渋滞や運動不足の対策として自転車の利用を促進する都市が増えている。その手段として重視されているのが、自転車を誰でも使える移動手段にするための、主観的にも客観的にも安全な通行空間整備である。特にニューヨークは、従来の施策方針から大転換し、車道から構造的に分離された通行空間を整備することによって、自転車の交通量や安全性、自転車利用者の多様性を向上させている。

一方、日本では2008年の有識者懇談会以降、「自転車は歩道より車道を通行した方が事故リスクが低い」との認識が広まり、車道上を自転車通行空間とする施策が増加したが、その根拠となった研究には結論ありきのチェリーピッキングをしているものが多く、安全性の正確な評価が為されていない。また、通行空間の安心感が軽視され、一般的な自転車利用者にはあまり恩恵が及ばない整備事例も散見される。

本発表では日本におけるこうした自転車政策の歪みを詳しく取り上げ、真に安全で快適な自転車通行環境の実現には何が必要かを論じる。


3行でまとめると

発表の核心部分は、日本の自転車政策がおかしなことになった経緯についてです。それを3行でまとめると、
  1. 歩道通行政策から脱却する過程でノイジーマイノリティーから圧力を受けた
  2. 彼らの主張に同調した研究者らが不正行為によって歪めたデータを提供した
  3. 国土交通省や警視庁がそれらを鵜呑みにしてインフラ整備方針に反映させた
概ねこのような流れです。

もちろん、これがそのまま因果関係であるとは限りません。逆の解釈も可能です: 国土交通省と警察庁が予め施策の大まかな方向性(自転車道は極力整備させず、車道空間を温存する、など)を決めておき、それに都合の良い主張(「自転車道は不要」)をしている団体・有識者らを検討委員会に取り込んだという可能性です。


関連資料

国土交通省・警察庁の自転車ガイドラインについての意見
発表の冒頭で触れた、国土交通省ほかに送付した意見書を紹介している記事です。PDF原稿へのリンクがあります。

「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」についての意見
Cycling Embassy of Japanのサイト内特設ページ。上と同内容のPDF原稿を公開しています。

2018年8月12日日曜日

マラソンのペースと時速の換算グラフ


最近ランニングを本格的にするようになって1kmペースという速さの単位で混乱していたので時速との関係を視覚化してみました。グラフ作成に使用したソフトはGrapher 2.6とGIMP 2.8.22。使用フォントはグラフ右下に書き込んであります。

「メディア方程式」「メディアの等式」は誤訳

「命乞いするロボットの電源を切るのは難しい」ことが最新の研究から明らかに (2018) GIGAZINE. Available at: https://gigazine.net/news/20180803-harder-to-turn-off-robot/ (Accessed: 11 August 2018).

ロボットを使った心理実験の翻訳記事がGIGAZINEに出ていますが、記事中にある「メディア方程式」という表現が意味不明だったので原文を読んだところ、恐らく誤訳だということが分かりました。

「メディア方程式」と訳された箇所の原文は“media equation”です。その意味を掻い摘んで言えば、人が情報機器を相手に、それが人格を持った人間であるかのように振舞ってしまう心理現象です。

であれば“equation”は「方程式」ではなく「同一視」などと訳すべきです。


過去の類例


調べてみると、GIGAZINE以前にも同種の(誤)訳があったようです。
その分野に詳しいはずの専門家がおかしな訳語を平然と当ててしまうのは不可解です(が、他の分野でもちょいちょいありますね。“malignant neoplasm” →「悪性新生物」とか、“color vision variation” →「色覚多様性」とか)。


関連記事

2018年8月4日土曜日

『自転車の安全鉄則』のウソ (4) 双方向通行の自転車道

TBSプロデューサーの疋田智氏は自転車に詳しい有識者として各方面に強い影響力を及ぼしていますが、その主張には根拠の疑わしいものが多数紛れ込んでいます。それが如実に現れているのが2008年の同氏の著書です。

疋田 智(2008)『自転車の安全鉄則』朝日新聞出版

今回はその中から、対面通行(双方向通行)の自転車道に関する疑わしい記述を取り上げます。

2018年8月2日木曜日

Wikipedia「自転車歩行者道」を編集しました

最終更新 2018年8月16日

日本語版Wikipediaの「自転車歩行者道」のページに大幅な加筆をしました。


従来の最新版

私が編集を行なった版
  • Wikipedia「自転車歩行者道」2018年7月31日版(最初の加筆)
  • Wikipedia「自転車歩行者道」2018年8月1日版(私の加筆の内、主観的だった部分の記述を削除)
  • Wikipedia「自転車歩行者道」2018年8月1日版(画像と出典を追加)

Wikipediaでは簡単な誤字修正程度なら以前にもしたことがありましたが、節の追加を伴う大規模な編集は初めてです。その作業に今回踏み切ったのは、従来の版のチェリーピッキングが目に余り、記事の中立性が著しく損なわれていると感じたからです。加筆の結果、記事の分量は一挙に2倍以上に膨らみました。

2018年6月26日火曜日

巡航速度30km/h超で走行できるテムズ川沿い自転車道



2016年、ロンドンのテムズ川沿いの幹線道路に整備された自転車道、East-West Cycle Superhighwayの実走動画を見つけました。

堂々たる幅員と極めて平滑な路面、そして車道からの一貫した構造的分離。ロードバイクでの高速走行にも対応するその構造は、まさに "Superhighway" の名にふさわしい水準のものですね(2012年の五輪前に急造された他のCycle Superhighway路線と違って)。

上の動画ではかなりの速度を出しているようですが、一体何キロで走っているんでしょうか。動画中の2地点を通過した時刻の差から計算してみました。

2018年6月20日水曜日

空気が抜けるのでパンクかと思ったら……

軽く空気を入れておいたタイヤが一晩経つとフニャフニャに。タイヤ交換作業でチューブに小さな穴でも開けてしまったんだろうか。バルブの根元が裂けていたら嫌だなと思いつつ水に沈めてチェックすると、ゴム部分はどこにも異常がなく、ただ1箇所、バルブの先端付近から気泡が。



「え?! もしかしてバルブに亀裂でも入った?」と不安になりましたが、気泡が出てくる辺りをよく観察してみると、

2018年6月17日日曜日

Continental Grand Prix 4000sの実測幅と空気圧

公称値より幅広と言われるGP4000sタイヤですが、条件を変えて実測してみると、タイヤ幅は空気圧と劣化具合でも変わり、公称値通りの幅になる場合もあることが分かりました。

下ろし立ての GP4000s (23mm) を用いた測定例

2018年6月2日土曜日

アモール東和商店街

アモール東和商店街の西側の入り口

亀有駅から西北西に500mほどの位置にある商店街(地図URL)。古隅田川の面影を残すなだらかなカーブに沿ってアーケードが伸びていますが、特筆すべきは屋根の無い開放型である事。骨組みだけの構造物の下、行き交う人もまばらな商店街の光景は、ポスト・アポカリプス的な情緒があり、グッときます。

2018年5月26日土曜日

夜の荒川河口

清砂大橋と星空


葛西臨海公園の観覧車と羽田空港にアプローチする飛行機

『ウマ娘』舞台探訪——オークス開催日の東京競馬場

東京競馬場の南門

制作スタッフの原作愛の深さが印象的な作品『ウマ娘』で興味が湧いたので、舞台の一つである競馬場に行ってみました。

2018年5月7日月曜日

手賀沼の自転車道と遊歩道

手賀沼の西端の自転車道・遊歩道

手賀沼南岸の遊歩道は荒川下流の河川敷道路と同じ幅員で歩行者・ランナーと自転車の通行区分が実現できていると知ったので見てきました(今回は沼の西端からヒドリ橋までの区間のみ)。

2018年5月1日火曜日

都道307号・西水元地区の自転車ナビマーク


飯塚橋の先にも自転車ナビマークが設置されていました。

警察の自己矛盾――都道307号・飯塚橋の自転車ナビマーク



自転車に対する事実上の車道通行誘導策として警視庁が幹線道路で濫用している自転車ナビマークですが、亀有警察署の所管である飯塚橋の東詰にはそれと矛盾するメッセージが見られました。生命倫理の観点からは誠実な態度とも言えますね。

2018年4月30日月曜日

交通モードの分離/混合を判断する2軸


Keynote.appをインストールしたので試しにプレゼンテーション資料っぽい図を作ってみました。図中のアイコンの位置は感覚的なもので適当。

この図を元に、私が考えている道路空間配分の基本原則を説明します。

2018年4月24日火曜日

豊島区・みたけ通りの自転車インフラ多重整備と改善案

2018年4月26日 記事末尾に自転車レーンの整備案を追加

豊島区道11-890号(2018年4月撮影。場所は35.7374237,139.7054785

ロングライドの途中で偶然通りかかって見つけた真新しい道路。

国交省のガイドライン準拠の自転車ナビラインと、東京都の標準的な自転車歩行者道が多重に整備された事例です。一向に洗練されない自転車インフラ設計ノウハウに加え、昨今の日本の自転車政策の迷走ぶりを如実に表わした例と言えるでしょう。

いずれも中途半端な二つの自転車通行空間。これを一つにまとめれば、同じ道路用地の中でどれほど質の高い自転車インフラができたことか。

2018年3月22日木曜日

横断歩道の直近の違法駐停車を誘発するデザイン、抑制するデザイン

赤坂消防署入口交差点から青山霊園方面に少し入った場所(出典URL

前々から思っていましたが、駐停車を牽制する目的で東京都が用いている赤い舗装(法的効力はない)は、それが途切れる停止線から先(横断歩道の直近)の違法駐停車を却って招いているのではないでしょうか?

動物としてのドライバーの習性を考えれば、このデザインはもう少し考えようがあると思います。

2018年3月19日月曜日

綾瀬駅周辺の自転車レーン





綾瀬駅周辺で自転車レーンが整備されている2本の道路を見てきました。

動画は今回、iMovieで映像に文字を重ねられると知ったので、説明的なキャプションを付けてみました。記事を補完する内容になっています。

2018年3月16日金曜日

自転車活用推進計画についてのアンケート実施はどこで報じられているか

国土交通省が自転車の計画についてアンケートを実施しています:

国土交通省 (2018) 報道発表資料:自転車活用推進計画の骨子について、アンケートを実施します!~本年夏までの計画策定に向け、引き続き検討してまいります~. Available at: http://www.mlit.go.jp/report/press/road01_hh_000955.html (Accessed: 15 March 2018).

今回は幅広い層から意見が集められるでしょうか?

2018年3月5日月曜日

浅川右岸(一番橋〜滝合橋間)の自転車ナビマーク

舗装の荒れが目立っていた南平駅付近から平山橋までの区間が綺麗に舗装され、以前は無かった自転車ナビマークが追加されました(35.651326,139.383566辺りにトイレも新設)。

2018年3月4日日曜日

和田峠はもう春

ウインドブレーカーは手放せないものの、裏起毛のシューカバーはもう要らない気温。

浅川の雪融け



陣馬街道の猿


撮影地:35.669145,139.197672

2018年2月23日金曜日

井ノ頭通りの自転車ナビマークと改善案

先日、久しぶりに井ノ頭通りを横切ったら(※横切るだけで走ってはいない)、車道の両端に自転車ナビマークが設置されていて唖然としました。

宮前四丁目交差点(場所

というのも、日本の自転車政策にまつわる過去十余年の経緯から見て、この場所がいろいろと象徴的な意味を持つ環境だからです。

2018年2月20日火曜日

Strava appを外部センサーなしで使った時の推計消費カロリー

iPhoneに入れたStravaでライドを記録すると出てくるカロリー消費量。和田峠に登りに行った先日のライドでは2,326kcalとの推計でしたが、そのログをHealth appから見ると……

1時間毎のカロリー消費量(StravaのデータをiOS 11.2.6付属のHealthで表示)

あー、これは。単純にログを取っていた時間長だけで推計してるっぽいですね。ライドの途中で入れた大きな休憩(auto pauseで記録は一時停止していた)も考慮されていなさそうです。iPhone内臓のGPSや加速度計を使って勾配の緩急や加減速も加味しながら推計しているのかと思ったら随分と単純な。

2018年2月16日金曜日

横断歩道の設置を訴えるプロテスト用の仮設キットを保険会社が提供

日本では地域住民が横断歩道の設置を要望しても警察がなかなか聞き入れませんが、イギリスでも事情は同じようです。そんな腰の重い当局を説得するためにと、イギリスの保険会社が「手作り横断歩道キットを貸し出します」とツイートしていました。



行政の動きの遅さに業を煮やして市民が手近な材料で都市空間の改善を小さなスケールで実演してみせる活動はtactical urbanismと呼ばれ、世界各地で様々な試みが行なわれていますが、その材料の提供を一企業が、しかも交通事故も扱う保険会社が公的にアナウンスするのはかなり異例ですね。

補足のリプを見ると同社は、このような活動が異例であることは承知の上で、「道路の危険を減らす、死亡事故をゼロにする」という強い信念の下に行なっていることが分かります。


私は、単に表層的な遵法精神を示すのではなく、実際に社会を良くするには何をすれば良いかと真剣に考えて行動している同社の姿勢は好きです。

なお、上に引用したプロテスト活動例の動画については、「設置後にその場を離れるような(無責任な)ことはしていない、あくまで正式な横断歩道を設置するよう地元当局を説得するためだ」としています。


2018年2月10日土曜日

交通法の第1条に何を書くか——日独比較

1条同士の比較


日本の道路交通法


電子政府の総合窓口 e-Gov「道路交通法 第一条
(目的)
第一条 この法律は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする。

日本はまず【全体】視点に立って、道路交通システムの望ましい状態(安全、円滑、低公害)を示しています。


ドイツの道路交通規則(Straßenverkehrs-Ordnung, StVO)


Bundesministerium der Justiz und für Verbraucherschutz “§ 1 StVO 2013
§ 1 Grundregeln

(1) Die Teilnahme am Straßenverkehr erfordert ständige Vorsicht und gegenseitige Rücksicht.
(2) Wer am Verkehr teilnimmt hat sich so zu verhalten, dass kein Anderer geschädigt, gefährdet oder mehr, als nach den Umständen unvermeidbar, behindert oder belästigt wird.

// 以下、引用者訳
第1条 基本ルール

(1) 交通への参加には絶え間ない注意と互いの思いやりが必要である。
(2) 交通に参加する者は、他者を傷付けたり危険に晒したり、状況に照らしてやむを得ない程度を超えて妨害したり迷惑をかけるような振る舞いをしてはならない。

一方ドイツはまず交通参加者という【個人】に向けて、絶え間ない注意と互いの思いやりが必要、と守るべき心掛けを示しています。



安全運転義務の位置付け


道路交通法にもStVOの第1条とよく似た内容の条項がありますが、それが置かれているのはだいぶ後ろの方です。

電子政府の総合窓口 e-Gov「道路交通法 第七十条
(安全運転の義務)
第七十条 車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。
(罰則 第百十九条第一項第九号、同条第二項)
路上での行動原則を示すためというよりは、ここまでのどの条項にも引っ掛からなかった危険行為を漏らさず取り締まるための駄目押しのような規則ですね。

ただ、法律の専門家ではない一般人にとっては、ドイツのStVOのようにこの安全運転義務を最初に持ってきて道路ユーザーとして守るべき基本姿勢を明示してくれた方が分かりやすいかなと思います。



一般人が読みやすい法律


法律は基本的に一般人の目に触れないプログラムのコードのような存在ですが、ドイツは2009年から、一般市民に関わりの深い法律は正確かつ分かりやすく書くという方針で、法案を言語の専門家にチェックさせています。

現行のStVOがこの制度によるチェック対象になったかどうかは知りませんが、第1条を読んだ限りでは、それほど複雑怪奇な文ではないという印象を受けます。

日本の交通法は今ではすっかり、一般人に理解させないことが目的であるかのような難解なものになってしまっていますが、かつてはもっと読みやすいものでした。

大蔵省印刷局(1920)「官報 1920年12月16日」国立国会図書館デジタルコレクション
道路取締令
第一條 道路ヲ通行スル者ハ左側ニ依ルヘシ

文の構造が単純で語数も少ないので、読解に要するワーキングメモリーが少なくて済みますね。


2018年2月11日追記{

文の読みやすさを自動判定したり、読みやすい文への書き換え提案をしてくれるソフトが法案作りに生かされると良いですよね。

イメージとしては、オンラインサービスのアカウント登録の画面でユーザーが入力したパスワードの強度を判定してくれる機能のようなもの。

法案の文の従属節が重すぎたり入れ子構造が複雑すぎたりすると、「文が分かりにくすぎます!」と警告を出すとか。

あと、複数の条項で使われる用語の定義が、その法律の冒頭ではなく、途中の条項で唐突に出てくるのもエラーとして弾いてほしいですね。グローバル変数を関数内で定義するようなものなので。

六道山公園・里山民家


2018年1月30日火曜日

道路の利用実態を無視した御茶ノ水駅前の自転車ナビマークと改善イメージ

現場の交通実態を無視して設置され、上手く機能していない自転車ナビマークがJR御茶ノ水駅の南側にあります。問題点と改善イメージをまとめました。


2018年1月28日日曜日

都市計画へのStravaデータ活用は既に始まっている

前回の記事では(主にスポーツ自転車の)通行実態をStravaの公開データを利用して推測するという試みをしましたが、これは何も新しい手法ではなく、海外では2013年頃から交通政策の分野で実際に応用され始めているものです。

2018年1月27日土曜日

Stravaのsegment leaderboardで見るスポーツ自転車の速度実態

ママチャリとロードバイクは同じ自転車道の中で共存できるのか。その検討の基礎材料として、道路整備事業が進行中の尾根幹における走行速度の実態を調べてみました。

2018年1月25日木曜日

iPhoneでの筋トレ記録——サードパーティーの専門アプリより純正の汎用アプリが便利

iPhoneで筋トレの記録を付けたいとき、専用のトレーニング・アプリでは融通が利かなかったり、ログを書き出せなかったりして、いまいち便利ではありません。

Apple純正のアプリを工夫して使うと、多少面倒ではありますが、データを柔軟に、かつ利用しやすい形で記録できます。使うのは表計算ソフトのNumbersと、iPhoneに最初から入っているClockです。

(この記事はHow toの体裁を取っていますが、トレーニング・アプリへの個人的な要望をまとめた機能リクエスト集でもあります。)

2018年1月23日火曜日

2018年1月6日土曜日

双方向通行の自転車道を有する幹線道路と生活道路の無信号交差点におけるユニークな事故防止策

オランダ、ユトレヒトのBeneluxlaan(幹線道路)とAmerikalaan(ゾーン30の生活道路)の交差点にちょっと変わった事故防止策が取り入れられていました。生活道路に入る自動車の速度を抑えさせる為のランプを幹線道路の車道上に設置しています。



2018年1月4日木曜日

西葛西・虹の広場通りの簡易自転車レーン

前回見た西葛西駅前の商店街通りの続き。(2017年4月撮影)

車の交通量の少なさとは不釣り合いな広い車道を有する路線ですが、自転車レーンに似た帯状ペイントは何故か約0.6mしかありません(途中から若干広がって約0.9mになりますが)。交差点での処理も独特で、走っていて色々疑問が浮かぶ整備事例です。

2018年1月3日水曜日

西葛西の駅前商店街の自転車レーン

西葛西駅から南北に伸びる商店街通りの自転車レーン(2017年4月撮影)

前回の記事で見た生活道路との交差点です(地図URL)。この辺りはいつ来てもだいたい路上駐車で塞がっていますね。車の流れは遅めなので車道通行の恐怖感はそれほどでもないです。

2018年1月2日火曜日

自転車ナビマークの原点、西葛西の生活道路

西葛西3-8-2地先の生活道路(地図URL)。
警視庁の考案した自転車ナビマークはここから始まった。(2017年4月撮影)

近頃は交通の激しい幹線道路の車道部分への見境ない設置で批判されることが多い自転車のピクトグラムですが、2012年に試験導入された当初(*)は写真のように車の少ない生活道路が対象でした。

* 上野嘉之 (2012) 自転車路示す「ナビマーク」、都内初設置 西葛西駅周辺, cyclist. Available at: https://cyclist.sanspo.com/946 (Accessed: 1 January 2018).

なぜ東京のロードプライシング導入議論は頓挫したのか

2001年に検討委員会が報告書を発表したっきり、すっかり動きを止めてしまった東京都のロードプライシング政策。

こうなった理由の一つは、都市の交通体系全体の最適化を目指さず、道路の渋滞緩和という局所的な改善を目的にしたからでは、と私は想像しています。