順不同ですが、まずは第10条から。
以下が原文です。
道路交通法のページからそのまま生コピペしたものです。
第二章 歩行者の通行方法
(通行区分)第十条 歩行者は、歩道又は歩行者の通行に十分な幅員を有する路側帯(次項及び次条において「歩道等」という。)と車道の区別のない道路においては、道路の右側 端に寄つて通行しなければならない。ただし、道路の右側端を通行することが危険であるときその他やむを得ないときは、道路の左側端に寄つて通行することが できる。2 歩行者は、歩道等と車道の区別のある道路においては、次の各号に掲げる場合を除き、歩道等を通行しなければならない。
一 車道を横断するとき。二 道路工事等のため歩道等を通行することができないとき、その他やむを得ないとき。3 前項の規定により歩道を通行する歩行者は、第六十三条の四第二項に規定する普通自転車通行指定部分があるときは、当該普通自転車通行指定部分をできるだけ避けて通行するように努めなければならない。
今回の翻訳の趣旨は、法律文を誰でも読める
やさしい日本語にする事です。
ですから、一つ一つの文を幾ら読みやすくしても、
第10条全体の構造が複雑なままでは駄目です。
第10条全体の構造が複雑なままでは駄目です。
そこで、まずは原文の論理構造を可視化してみました。
左上から線を辿って進むと原文の記述順序をなぞれます。
第10条の論理構造
めちゃくちゃ複雑です。
(描画ソフトの都合で矢印を箱に直接つなげてますが、
そこはちょっと目を瞑ってください。)
まずはこのゴチャゴチャした構造に
大鉈を振るう必要が有りそうですね。
- 処理を先に置いて、分岐は後回しにする。
- 分岐では肯定の選択肢を規定値にする。
- 不必要な分岐を削除する。
- 不必要な処理を削除する。
これらを念頭に原文の構造を見直すと、
かなり無駄が多い事が分かります。
1項
「歩道の無い道路では」+「歩行者は道路の右端を通行」2項
「道路の右端が危険な場合は」+「歩行者は道路の左端を通行」
「歩道の有る道路では」+「歩行者は歩道を通行」3項
「車道を横断する場合は」+「歩行者は車道を横断する」
「歩道が通行できない場合は」+「歩行者は歩道を通行できない」
「自転車通行指定部分の有る歩道では」
+「歩行者はそこを避けて通行」
2項のトートロジーは酷いですね。
そんなん言わんでも分かるがな。
1項の右側通行も大して意味が有りません。
そりゃ車に対面して歩く方が安心でしょうが、
目的地が道路の左側にあれば左側を歩きますし、
センターラインの無い狭い道路では車は真ん中を走るので、
歩行者が右端を歩こうが左端を歩こうが変わりません。
こんなのはわざわざ法律で定めるような事ではなく、
せいぜい交通安全のしおりで、「こう歩けば安全」と
紹介する程度で良いでしょう。
3項は現実にあまり守られていませんし、
それ以前に政策自体が間違っています。
こんな馬鹿げた規定を盛ってないで自転車道を整備しろ。
というわけで、これらをバッサリ削ぎ落とすと、
1項 「歩行者は歩道を通行」
2項 「歩道が無い場合は」+「歩行者は道路の端を通行」
ここまで単純化できます。
これを土台にして翻訳を組み立てます。
もはや翻訳の範疇から外れていますが。
法律特有の表現を普通の表現に置き換えたり、
条・項などの表記を整えれば完成。
2章 歩行者の通行方法
10条 通行区分
1項 歩行者は歩道を通行すること。
2項 歩道が無い道路では、歩行者は道路の端を通行すること。
できました。
これだけ決めてあれば充分でしょ。