春日町交差点
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東京都文京区の白山通り(都道301号)を北上して
この春日町交差点に差し掛かると、第1通行帯が
左折専用レーンになっています。
左折レーンは交差点での歩車分離のために
青信号が直進レーンより遅れて出ます。
(仮にそうでなくても、左折した先の横断歩道は
歩行者がとても多いので、左折車の流れは詰まりますが。)
このため、春日町交差点の左折レーンは慢性的に渋滞しており、
1回や2回の信号待ちでは通過できない場合も珍しくありません。
さて、このような環境で、
車道を通行する自転車が交差点を直進しようとした場合、
どういう事になるでしょうか。実際にやってみました。
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1. 信号待ち
まず、自転車が信号待ちの左折車の列の最後尾に付き、
第1通行帯の左端で待機していると、
後から来た車が自転車の真横に並び、
車の前端を自転車より前に出した状態で停車します。
普通の交差点では、自転車が車道の左端にいても、
後から来た車は自転車の後方で待機する場合が多いのですが、
春日町交差点ではそういった行動は見られません。
2. 青信号
直進レーンに遅れて左折レーンも青信号になると、
待機車列が動き出します。自転車もそれに合わせて発進するのですが、
信号待ちのあいだ真横に止まっていた車のみならず、その後ろの車も
2台、3台と、車道左端を走行中の自転車を追い越して行きます。
この付近は車両通行帯の幅が約3mで、
左端には停車帯などが無く、すぐ縁石になっており、
決して幅員に余裕が有るとは言えない環境なのですが、
車は自転車の横スレスレをどんどん追い越して行きます。
3. 交差点入口
そうこうしている内に停止線が近付いてきますが、
左折車列の流れが壁になって、直進ルートが塞がれています。
こういう場合、自転車は左折車列に合流して一本の流れに乗り、
前の車が左折して目の前が空いたら直進するというのが定石です。
ところが春日町交差点では、車列に合流しようとして
後方のドライバーとアイコンタクトを取ったり、
右にハンドルを切りかけたりしても、流れに入れてもらえません。
左折車は車同士で車間距離を詰めたまま流れ、
自転車が合流できないように振る舞います。
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と、このようなドライバーの運転行動に阻まれて、
自転車は交差点を直進できませんでした。
短い青信号の時間がドライバーから心の余裕を奪い、
リスク・テイキング行動に駆り立てているようですね。
自転車の通行も考慮してこの交差点を再設計するなら、
車道の端に自転車道を設置し、左折車が止まっている間に
自転車が直進できるようにするという形が最も望ましいです。
(白山通りは片側5車線も有りますから、
左端の一本を丸ごと自転車道に転用しても良いでしょう。
交通容量の低下には、マイカー抑制や時差通勤での対応が考えられます。)
国交省と警察庁のガイドラインでは、交差点の手前で
車の第1通行帯と第2通行帯の間に自転車レーンを持ってくる
という案が提示されていますが、
これは自転車が車の死角に入りやすく、
衝突の危険が大きいとして、
オランダでは既に否定されています。
(日本の国交省と警察が参考にしているのは恐らく、
オランダほどノウハウの蓄積が無いアメリカなどの事例です。)
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なお、実験では第1通行帯の左端を通りましたが、交差点の手前で
第2通行帯に車線変更しておけば、実にスムーズに交差点を通過できます。
一般的には自転車は車道の左端を通行しなければならない
と理解されていますが、これは誤解で、道路交通法には、
第18条
車両(トロリーバスを除く。)は、
車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、
自動車及び原動機付自転車にあつては道路の左側に寄つて、
軽車両にあつては道路の左側端に寄つて、
それぞれ当該道路を通行しなければならない。
と有りますから、白山通りのように車両通行帯の有る道路では
自転車が左端を通行する義務は有りません。
では、車両通行帯が有る道路の場合はどうかというと、
自転車は最も左の通行帯を通る義務が有ります。
第20条
車両は、車両通行帯の設けられた道路においては、
道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならない。
しかし同条の3項には、
車両は、
/*中略*/
道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、
前二項の規定によらないことができる。
と例外規定が有るので、必ずしも第2, 第3通行帯を
走ってはいけないというわけではありません。
春日町交差点の場合は、実験で明らかなように、
自転車が第1通行帯から直進するのは危険ですから、
「やむを得ない」と言えない事もないでしょう。
車線変更時の危険性についてはどうでしょうか。
実際に走ってみると分かりますが、車道と言っても
車の流れが片時も途切れないわけではありません。
春日町交差点の一つ手前の壱岐坂下交差点が赤信号の間は
後続車が流れてこないので、上手くタイミングを摑めば、
自転車は後方がガラ空きの状態で車線変更する事ができます。
(もちろん後方確認は必須です。)
以上のような場合に対して、警察の論理では、
歩道に上がって横断歩道を渡れば
危険ではないのだから、「やむを得ない」とは言えない
という事になるでしょうが、そのような判断もまた、
危険な交差点構造の放置・増殖を支えている一要素と言えるでしょう。
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