- TW-1 : Torque Wrench
- TW-2 : Torque Wrench
- SBS-1 : Socket and Bit Set
- FR-5G : Cassette Lockring Tool
- BBT-19 : Bottom Bracket Tool
TW-1, TW-2 トルクレンチ
金属棒の撓み量でボルトなどの締め付けトルクを測定する工具です。
上の小さなTW-1は 0 から 7 N·mまで、
下の大きなTW-2は 0 から 70 N·mまで測定できます。
……正直、この測定範囲はあまり自転車にぴったりではありません。
よく使う 8-10 N·m というトルクの場合、TW-1 ではちょっと及ばず、
かといって TW-2 では目盛りの刻みが粗くて読み取りにくいです。
ラチェットタイプの TW-5 と TW-6 は測定範囲が
それぞれ 3-15 N·m, 10-60 N·m と使いやすい設定なのですが、
なぜ TW-1 と TW-2 はこうなんでしょうかね。
このように上下2本の金属棒から構成されており、
ネジを締める時は下側だけが撓みます。
真っ直ぐなまま取り残された上側の棒が
トルクを指示するという単純な仕組みです。
TW-1とTW-2は工具先端の角ドライブの寸法が違いますが、
TW-1には変換アダプタが付いているので、
TW-2と同じソケット、ビットを共用できます。
ドライブは精度が高いです。
変換アダプタもぐらつかずしっかり装着できます。
目盛りは N·m と in·lb が併記されています。
目盛りを見ても分かる通り、正ネジと逆ネジの両方に対応しています。
自転車はペダルやBBカップで逆ネジを使うので、必須の機能です。
車用品の安価なトルクレンチは一方向にしか
対応していない場合が有るので要注意です。
最初から少し狂っていましたが、
強引に曲げれば直せます。
TW-2 のハンドルには中央に支点が付いていて、
支点を中心にカタカタと自由に動きます。
これは、ハンドルを握る位置の微妙な違いが
トルク測定に影響しないようにするための工夫です。
こちらも最初から少し狂っていました。
実際に使ってみて感じたのは、
ラチェット機構が無いので、ボルトを少し回す度に
付け外ししなければならないのが意外と面倒という事です。
工具がなまじ長いだけに、六角ボルトに差し込む場合は
正しい角度に合わせるだけでも工具を大きく動かす必要が有ります。
その所為もあり、ビットがボルトの穴の奥まで
しっかり嵌まっていない事に気付かないで、
そのまま回してボルトを舐めてしまった事が有ります。
このタイプのトルクレンチは、
途中までは普通のアーレンキーで締めていって、
最後の仕上げだけ使うのが良さそうです。
作業効率を重視するならラチェットタイプの
トルクレンチの方が絶対に良いでしょう。
それから、大きなトルクが必要な場合、
トルクレンチに体重を載せて締めようとすると、
トルクの表示板を見るのが大変。
無理な姿勢を取らざるを得ない事が有ります。
だから他のトルクレンチはクリック式や
電子音式が多いんですね。
なお、TW-2は全長が約 40 cm あるので、
固着したBBやペダルを外す時には頼りになります。
(本当は測定工具でこんな事やっちゃいけないんですが。)
次は、トルクレンチと組み合わせて使う SBS-1 を紹介します。
スポーツ自転車の場合は基本的に六角穴付きボルトと
Torx ボルト用のビットだけ有れば良いのですが、SBS-1 は
六角ボルト・ナット用のソケットも各サイズ揃っています。
ソケットは使わないだろうと思っていましたが、
RD-2200のケーブル固定部品がなぜか六角ナットだったので、
この時、1回だけ使いました。
一番大きい 1 inch の六角ソケットは
Part Tool の他の工具を回す時に使うものです。
中央にでーんと横たわっている長いのは 10 mm の六角ビットです。
おそらく Campagnolo の Ultra Torque クランク用でしょう。
私は持っていないので使えるのかどうかは分かりません。
ただ、Athena以下で採用された Power Torque クランクの
14 mm 六角穴付き用のビットはセットに入っていません。なぜだ。
カンパはシマノと同じ方式を採用したくないんでしょうが、
専用工具が必要になる構造を無節操に採用するのは止めてほしいですね。
一番大きな 1 inch のソケットです。内側の成形が雑です。
箱から出して初めて見た時はちょっとがっかりしました。
他の六角ソケットも内側にメッキ剥がれが有ります。
これは 8 mm の六角ビットのドライブ側です。
強い力で回したらメッキがペリペリ剥がれてしまいました。
最初は左のビットと同じように綺麗だったんですが……。
メッキの品質は、もしかしたらホームセンターで売っている
安物工具の方が上かもしれません。藤原産業とか。
さて、実際の使用感。
精度は高いです。トルクレンチのドライブに嵌めると
がっちり噛み合ってがたつき無く回せます。
ただ、ビットはドライブ差し込み部の外形が結構厚ぼったいので、
STIレバーの取り付けボルトのように狭くて奥まった所にある
ボルトには届かない事が有ります。ST-2200 には使えませんでした。
直付け式フロントディレイラーの取り付けボルトも、
ボトルケージを付けたままだと厳しいです。
それから、ビットの先端はいかにも錆びやすそうなので、
私は購入後すぐにグリースをたっぷり塗りました。
使用後も毎回グリースアップしています。
2014年1月14日追記
案の定、錆びました。グリースを塗り忘れていたらしい。
次はカセットスプロケットのロックリング回し、FR-5Gです。
これは抜け落ちにくいように中心ピンが付いているバージョンです。
根元側にはドライブ差し込み穴が有りません。
普通はモンキーレンチで挟んで回しますが、
上で紹介した SBS-1 の 1 inch 六角ソケットも使えます。
ロックリング回し + 六角ソケット + トルクレンチと、
中間にソケットを挟む事でトルクレンチに対応します。
カセットスプロケットのロックリングは
締め加減の感触が分かりにくく、どこまでも回せてしまうため、
私のような初心者にはトルクレンチが有った方が安心です。
ロックリングと噛み合う部分の精度は良いです。
内側の仕上げも綺麗ですね。
2014年1月14日追記
精度は良く、カセットのロックリングとキッチリ噛み合います。
あまりにガタ無く嵌まるので、中心のピンは要らないかもしれません。
それと、SBS-1の1 inchソケットと組み合わせて少し強めに締め込んだら、
SBS-1のソケットとFR-5Gが固着して外せなくなりました。
マイナスドライバーを当ててガンガン叩いたら何とか外れましたが。
最後に external BB 回し、BBT-19をレビューします。
ブリスターパッケージを開封して手に取ると、
ベタっとした糊のような感触がします。
表面の黒い塗料が厚塗りで、ちゃんと乾いていないような触り心地です。
塗料の厚い部分に爪を立てて押さえるとブニブニします。
これはかなりきもちわるい。
根元はモンキーレンチなどで挟める六角面と
ソケットレンチを差し込める四角穴が有るんですが、
この穴の寸法がゆるゆる(9.5mm規格なのに実測で9.8mm)で、
トルクレンチに装着して振るとカタカタ鳴ります。
そして BB と噛み合う側の突起も精度が低い。
4500系TiagraのBB(SM-FC4500)に使ったのですが、
回転方向にカチャカチャと大きな遊びが有ります。
縁も真円が出ていません。写真右下の歪みは酷いですね。
このようにトルクレンチ側、BB側ともに寸法が緩くて遊びが大きいので、
実際の作業時はかなりガッタガタです。
作業中は手で工具をBBシェルに押し付けていないと、
締めている途中でBBからポロッと外れやすいです。
一応役目は果たしますが、かなり残念な製品です。
トルクレンチ対応の外部BB工具は他にも
Lezyne や Pedro's から出ていますが、
日本人が書いたレビューが見当たりません。
外国人の言う"fit perfectly"とか"high quality"とかは
日本人からすればかなりハードルが低く、全く当てにならないので、
お持ちの方はレビューをお願いします。
以上、5製品を見てきました。
これらを実際に手にするまでは Park Tool に対して
高級ブランドというイメージを持っていたのですが、
現物を見るとかなり期待を裏切られます。
全部では有りませんが、一部の製品は
仕上げが雑だし、精度も出てないし、
刻印された文字の書体もダサい。
悪い意味でアメリカ的。
こんなんで良いのかよと思いました。