2013年8月28日水曜日

法令閲覧サイトの比較——日 vs 蘭

法令の原文そのものをインターネット上で読めるようになりまして、
これはとても便利なんですが、それが当たり前になってくると、
人間、やはり欲が出てきます。



日本よりもっと読みやすいページで
法令情報を提供しているオランダと比較してみました。

以下、表示画面をスクリーンショットで紹介します。
日・蘭、どちらも道路交通法の、
歩行者の通行場所を定めた条文を表示しています。


まずは日本の「道路交通法」、第10条。


簡素な画面ですね。
Windows 95 の時代を思い出します。
私はNetscape派でした。

一応、サイドメニューから各条に飛べますし、
下のフレームに関連条文も表示できますが、
それ以外には何の機能も有りません。

法文本体は全文が1つのhtmlに記述されているので、
ブラウザの検索機能であちこち飛ぶには便利です。
サイドメニューのリンクはアンカーリンクですから、移動も一瞬です。

ただ、法文本体は改行が少なくて読みにくいですね。
読みやすさよりも省スペースを優先したレイアウトです。
紙じゃないんだからそんな事しても意味ないのに。

細かい点では、第1項は「1」の表記が有りません。
これは日本の法律全部が慣例でそう決まっているそうですが、
無用な混乱を招くだけです。何の利点も有りません。

それから根本的な問題として、
法文が文章として複雑すぎます。読めない。
送り仮名が平仮名化された以外は大正時代と大差ありません。
というか、むしろ大正時代の法律の方がシンプルで読みやすいくらいです。

現代の法律からは、一般市民に法律を読まれたくない、
理解されたくないという官僚の意思が透けて見えます。



対してオランダの「交通規則と交通標識の規則」、第4条。


見やすいですね。配色もまずまず良いです。

条文は左のメニューからクリックしてメイン画面に表示させます。
本文は各条が個別のhtmlに記述されているので、
例えば第4条をクリックすると第4条だけが表示されます。

本文は改行や字下げが多用されていて読みやすいです。
複数の項が有る場合でも、第1項にちゃんと「1」と番号を振っています。
わざわざ言うのも馬鹿らしいですが。

文章表現は簡潔です。書かなくても分かる事は大胆に省略。
文の構造をできるだけシンプルにして、誤読の可能性を下げています。
そのおかげで、オランダ語の学習を始めて2週間の私でもスッと読めました。

この他、日本のサイトに無い機能が幾つか有ります。
 

1. 法令の概要表示画面
  • 担当省庁
  • 略称
  • 識別番号
  • 関連法令
  • 立法と改正の履歴 
これらの情報が一覧できるページが用意されています。


2. 印刷・ダウンロード機能

印刷に適した形に変換したり、
好みのファイル形式でダウンロードする事ができます。

ダウンロードする場合は、
ファイル形式{html、リッチテキスト、プレーンテキスト}と、
画像の有無{画像無し、画像付き、画像のみ}を選んでボタンを押します。
(この法律の場合、交通標識の画像データが付いてきます。)
すると、希望の形式で生成されたファイルがzip圧縮されてダウンロードできます。


3. アクセス日ごとの固定リンク生成機能

法令データのページにアクセスすると、
自動でアクセス日のサブディレクトリURLが生成されます。
特定の日付における法令データが固定されるわけです。

もちろん、ダウンロードしたファイルの中にも
ダウンロードした日付が記載されます。

厳密性が求められる法令データだけに、
重要な機能と言えるでしょう。


-----


では、両者の甲乙を勝手に判定してみたいと思います。

日本 ★☆☆☆☆ (1/5点)
オランダ ★★★★☆ (4/5点)

オランダの圧勝。読み手の視点を意識している。
ページ表示やzipダウンロードがちょっと遅いのでマイナス1点。

日本のは「おままごと」レベル。
情報公開を求められて渋々やったような出来。
こんなのは民主主義国家の取る態度じゃないです。