利用率の低いパーキングメーターを撤去し、
自転車走行インフラに転換するよう都道府県警に求めました。
終わりの見えない路上駐車の列(都道413号、代々木公園)
しかし、「利用率の低さ」をパーキングメーターの廃止基準にすると
自転車インフラの整備は一向に進まないのではないでしょうか?
クルマ移動の需要の喚起・維持には
パーキングメーターも加担しているかもしれませんから。
警察庁交通局長(2011年10月25日)
「良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策の推進について」
pdf p. 3
パーキング・メーター等の利用率が低い場合には、パーキング・メーター等を撤去することにより、自転車道等の整備を推進すること。
パーキング・メーター等の利用率が高い場合には、第1車両通行帯を駐車枠と自転車道等とすること等を検討すること。
どうも警察と自転車政策キャンペイナーとでは、
同じ「自転車インフラを整備する」という目標を掲げていても、
基本的な認識が全然違うような気がするんですよね。
私が理解する限り、
いま世界各地で自転車インフラの整備が求められているのは、
現在既に自転車を利用している人が事故に遭わずに走れれば良い、
自転車が歩行者を傷付けるような事故を起こさなければ良い、
などという消極的な動機からではありません。
今のままの生活スタイルでは財政的にも地球環境的にも
行き詰まる恐れが有るので、それを回避する為に
車から自転車(など)へのモーダルシフトを後押しする事。
そして同時に、都市空間をもっと楽しく暮らせる場所にする事。
こんな所だと思います。
使われているパーキングメーターは維持する、という警察庁の方針は、
人間社会の持続可能性を模索する世界の流れに逆行しています。
これが事故と渋滞を物差しにする組織の限界なのかなぁ。
だったらパーキング・メーターの存廃は警察じゃなくて
都市計画の専門家とかに決定権を持たせないと駄目だよね。
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さて、写真の続きを。
路駐車両と自転車の位置関係(都道413号、代々木公園)
自転車は車両としての自覚を持って車道を走るべしと考える論者は、
この2m幅くらいのスペースを見て、
「もう理想的な通行空間が有るじゃないか」と思うでしょう。
あとは路面をペイントすればいっちょ上がり、と。
ドアゾーン
しかし、この空間の左半分は路駐車両のドアが突然開いて
衝突するリスクのあるドアゾーンであり、
ニアミスゾーン
残りの右半分は、隣の車線を走る車との側方間隔が
ギリギリになってしまうニアミスゾーンです。
そして、言うまでもなく、ここは
駐車枠に出入りする車が横切る
車から守られた自転車専用の空間などではありません。
安心な通行環境とは到底言えませんね。
ところが、「自転車は車両、車両は車道」論者はここで何故か、
「子供や老人やお母さん方は歩道へ」とダブル・スタンダードを持ち出します。
でもそれって結局、自転車の利用を促進する気が無いって事。
自転車を男だけの閉鎖的な世界にしようって事なんです。
弱ペダ効果で関心を持ってくれた女性を
追い返すって事なんだよぉぉぉぉぉ!(悲痛な叫び)
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反対車線は見かけ上の余白すら殆ど無い
街路樹の緑は濃いけれど、クルマ優遇策の免罪符にはならない。
二酸化炭素なら少しは吸収してくれるが、
二酸化炭素なら少しは吸収してくれるが、
この木々の下で、現実にサイクリストが危険に曝されているからだ。
ここでもう一度、通達を見ます。
警察庁交通局長(2011年10月25日)
「良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策の推進について」
pdf p. 3
パーキング・メーター等の利用率が低い場合には、パーキング・メーター等を撤去することにより、自転車道等の整備を推進すること。
パーキング・メーター等の利用率が高い場合には、第1車両通行帯を駐車枠と自転車道等とすること等を検討すること。
うーん、不安になる文だ。
駐車枠と(実質的な)自転車通行空間になっている第1通行帯
これはやめて。
元・第1通行帯だった空間を自転車道と停車帯に転換した例(亀戸)
自転車道も停車帯も狭すぎる。しかも新・第1通行帯は
トラックに塞がれて、「通行帯」に成れていない。
自転車道も停車帯も狭すぎる。しかも新・第1通行帯は
トラックに塞がれて、「通行帯」に成れていない。
これもやめて。
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では、こんな警察に、或いは東京都に、
サイクリストは何を訴えるべきでしょうか?
どんな提案ができるでしょうか?
私が一番訴えるべきだと思うのは、
(好き放題に路駐できるという)クルマの利便性よりも前に、って事です。
まず自転車の安全・安心な通行空間を確保してくれ
そしてそれによって、
移動手段としての総合的な(*)魅力度で、
自転車がクルマを上回るようにしてくれって事です。
* 速い、安い、便利、手軽、確実、快適、楽しい、健康的、
町の魅力を発見できる、小回りが利く、安全、などなど。
代々木公園脇の道路で具体的に考えてみます。
都道413号・代々木公園脇の区間の現状
(航空写真で大雑把に測定。上下線の横断面寸法は微妙に違う。)
(航空写真で大雑把に測定。上下線の横断面寸法は微妙に違う。)
この区間は車の速度、通行量ともに高水準なので、
ペイントしただけの自転車レーンではなく、
何らかの方法で構造的に分離した自転車道が妥当です。
その場合、次の3パターンが考えられます。
2014年10月28日 図の追加と文の修正
{
1.「自転車道 + 駐車枠 + 走行車線」パターン
元の駐車枠を自転車道に転換し、
残った走行車線の内の1本を駐車帯に置き換えた例です。
路面の線の引き直し(+ボラードの設置)だけで実現できます。
2.「自転車道 + 走行車線」パターン
車の通行容量を重視して路上パーキングを完全に廃止した例です。
サイクリストの安心感と快適性を確保する為、この図では
車道と自転車道をボラードではなく縁石で区分しています。
3.「自転車道 + 植樹帯 + 走行車線」パターン
更に走行車線を片側1本ずつまで絞り込み、
広い植樹帯に置き換える例も考えられます。
}
どのパターンでも車の利便性は多かれ少なかれ手放す必要が有ります。
ですが、それによって車の総合的な魅力度が下がり、
自転車が相対的に有利になれば、自ずとモーダルシフトが始まります。
これこそが東京の未来に必要な事だと、
私は思います。
シリーズ一覧
- パーキングメーター (1) 代々木公園
- パーキングメーター (2) 上井草
- パーキングメーター (3) 高円寺南
- パーキングメーター (4) 目白台