セルトーフンボスでは小型トラックによる共同配送で
中心市街の環境を改善するプロジェクトが試行されています。
実現の鍵は歴史的空間の価値を大切にする住民や店主たちの高い意識でした。
ENCLOSEと呼ばれるこのプロジェクトでは、
街の周縁部に物流センターを設け、(大型)貨物車から
小型の共同配送ヴァンに荷物を積み替えています。
共同配送サービスの利用は有料ですが、
トラックの頻繁な通行を減らして
中心市街の歴史的な魅力を活かす事が、
巡り巡って自分の店の売り上げにも繋がると判断されているようです。
サービスを利用する商店は
物流センターを自分の店の倉庫としても使えるそうです。
ヒエロニムス・ボス美術館から眺めたセルトーフンボスの中心市街
(2010年に現地で撮影)
細い路地にレストランが並ぶ Korte Putstraat(“短い方のプト通り”)でも
市議会の主導によって食材の搬入を共同化しています。
インタビューに答えるレストラン・オーナーの言葉が印象的です:
- 問題が起きた時は人任せにせず、店主や住民たちが一緒に解決策を探る。
- 成功の鍵は、展望を共有し、実現しようとする意志。
- 自分の商売の事だけを考えるのではなく全体を見渡す事。
動画では取り上げられていませんが、
カーゴバイク(bakfietsen)も物流に貢献しているとの指摘が
こちらのブログに書かれています。
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来客向けにパークアンドライドも実施していますね。
(セルトーフンボスの場合、車で来街した人向けに
街の周縁部に安価で利用できる駐車場を3カ所設け、
そこから中心部まで無料のシャトルバスを走らせている。)
但し、パークアンドライドと同時に自転車向けにも
走行・駐輪インフラを充実させている点は見逃せません。
(セルトーフンボスは2011年にオランダの最優秀自転車都市に選ばれています。)
セルトーフンボスの自転車政策(英語版)
表にまとめると、
自転車 | 車 | |
中心市街に | 乗り入れできる | 一般車は進入禁止 |
駐車場・駐輪場は | 無料 | 安価だが有料 |
周辺の道路網は | 安全快適 | 安全快適 |
このように、車の利便性にも配慮しつつ、
(短距離の)移動手段としての総合的な魅力度は
自転車が上になるように戦略的に調整している事が窺えます。
関連サイト
ENCLOSE(欧州の歴史的中小都市の物流効率化プロジェクト)
Korte Putstraat
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