ニューヨークの改良型自転車レーン
The Chicago Architecture Blog(2011年7月26日)より
The Chicago Architecture Blog(2011年7月26日)より
駐車スペースを車道の中程に配置する事で、
自転車レーンが路駐車両に塞がれないように保護しています。
(floating parking lane + buffer + protected bike lane)
ペイントだけで実現できるので、縁石で高低差を設ける
オランダの自転車道(fietspad)より安価に導入できそうです。
シカゴの改良型自転車レーン
斜めゼブラに加えてボラードも立てる例が有ります。
Market Street, San Francisco, US
Market Street, San Francisco, US
(Bryan Goebel, December 2009)
(Bryan Goebel, December 2009)
駐停車需要が有る区間ではボラードだけ立てても駄目で、
floating parking lane と組み合わせる必要が有ります。
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自転車レーンに buffer と floating parking lane を組み合わせた構造の
導入を進めている都市の一つにニューヨークが有ります。
そのニューヨークの政策的な背景を、
あしたのプラットホーム(2014年10月4日)
ニューヨークにおける自転車利用推進の取組み(自転車レーンから「Complete Street」へ)
が網羅的に調査されています。
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さて、以上のような最近の北米の事例を日本にも導入できないでしょうか。
東京都港区・札の辻交差点付近の国道15号
駐車需要を考慮せずに機械的にピクトグラムを描いた為、
機能不全に陥っている自転車レーン。
これはマナーの問題ではなく設計の問題(design failure)です。
「道路左端は自転車走行空間」
「道路」は歩道も含むので、この通行実態が想定通りという事になりますが、
これでは自転車本来の俊足さは活かせません。
歩行者とは別の専用空間を用意したい所です。
Jw_cad で作図した現状の国道15号(数値は近似)
上の図を着色
現在の通行実態
この状況からできるだけ手間を掛けずに
アメリカ式の自転車レーンに転換してみましょう。
Jw_cad で作図した protected bike lane
既存の白線を活かす為に
停車帯の 2.0 m をそのまま自転車レーンにしました。
一方通行で運用するにしても最低限の狭さですが、
バッファー部分も使えるので実質的には 2.5 m 幅です。
着色
斜めゼブラ帯の中央には樹脂製ボラード(オレンジ色の点)を立てています。
ボラードは無くても車に侵入されないかもしれません。
実証実験をして、その結果次第ですね。
自転車レーンを青くペイントした場合
自転車のピクトグラムは既に描かれているので、
マスキングすればそのまま活かせます。
予想される利用形態
車の走行車線は減ります。
自転車レーンを誰でも安心して走れる構造にする事で、
マイカー通勤から自転車通勤に転換が進む事が前提です。
「誰でも安心して走れる」事が成功の肝です。
(以上のCAD図は建設会社への簡易的な見積もり依頼用など、
ご自由にお使いください。)
車漬け社会(国道15号・札の辻)
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4 m 幅の自転車レーン
疋田智(2014年10月13日)「週刊 自転車ツーキニスト」586号 より
疋田智(2014年10月13日)「週刊 自転車ツーキニスト」586号 より
ついでに、疋田さんが理想とする自転車レーンと比べてみます。
同じくペイントのみで実現できる整備案です。
メルマガの説明によれば、構造的な分離はせずに
3〜4 m 幅にペイントするとしています。
どうして3m自転車レーンを作るべきなのか(4mもあればもっと理想的)。それは、それだけの幅で自転車レーンを作ったら「5分以内の停車(荷捌きなど)」の車両を、そのレーンに飲み込むことができるからだ。自転車レーンの左端に停車されても、その右横(後ろから見て)に、自転車が通れるスペースは確保される。そのレーン全般を、特定色(青でも臙脂でもいい)で塗るなり、ピクトグラムを描くなりして「この中は、クルマ走っちゃ駄目よ」とする。
// 中略
お金もかからないし、荷捌きトラックも収容できるし、自転車の安全も確保される。
残念ながらこの方式では自転車利用者の「安心」は確保されません。
幹線道路の激しい車の流れとの間に何の防護も無いからです。
ドアゾーンを知らない利用者が事故に遭うリスクも残されています。
また、渋滞時は原付やタクシーがバンバン入って来てしまうでしょう。
(規制がどうあろうと、物理的に「できてしまう」ので。)
これは自転車利用者にマチズモ(男らしい勇敢さ)を要求する走行環境です。
今以上に自転車の利用を普及・促進しようという時に採る策じゃないですね。
過去の関連記事
オランダ vs アメリカ——自転車インフラの設計思想対決