アームスフォート(Amersfoort)の自転車走行環境を
Google Street Viewで見学してみました。
※Street View のキャプチャ画像には
緯度・経度を表わす数字を付記しました。
この数字でググると Google Maps 上で撮影地点が特定できます。
バス停 (bushalte)
アームスフォート駅前のバスターミナル。
52.152739, 5.373222
停留所が道路に対して斜めに並んでいます。
直角にしない事でハンドル操作を減らし、
スムーズな出入りを可能にしていますね。
駅の中央口から見たバス停
(2010年に現地を旅行した際に撮影)
発車案内の電光掲示板が駅の中央口に向けて並べられています。
電車からバスに乗り換える人の動線・視線をよく考えています。
バスは公営の Connexxion が運営。
(2010年に現地を旅行した際に撮影)
(2010年に現地を旅行した際に撮影)
落ち着いた色使いに小さな目(ヘッドライト)。
クジラとか象を連想させる可愛さが有ります。
このデザインは、何と言うか、大型動物の萌えポイントを熟知している。
幹線道路沿いのバス停
52.154598, 5.383827
さて、本題はここから。
自転車道が有る道路でバス停をどこに配置するか。
バスの乗客が自転車と衝突するリスクをどう避けるか。
オランダの解決策はシンプルです。
このシリーズの4回目で取り上げたように、
オランダの自転車道は車道との間に緩衝帯を持っています。
この緩衝帯がそのままバス停の待ち合い・乗り降り場所になっています。
乗降場所を自転車道とはっきり分離する事で、
バスを降りた途端、自転車に撥ねられるというリスクを防いでいます。
また、この道路ではバス専用車線が有るので、
バスベイのような切り欠き構造は有りません。
幹線道路沿いのバス停
52.152584, 5.386912
同じ道路の別の場所。こちらは屋根が無い簡易バス停です。
歩道は広い緑地の奥に隠れています。
不慣れな旅行者はバスを降りた後、
気付かずに自転車道を歩き始めてしまいそうですね。
これはちょっと不親切な気がします。
郊外のバス停
52.144791, 5.36768
この道路は車道、自転車道、歩道で構成されています。
バス停部分は上と同じく、緩衝帯の上に設置されています。
バス乗客は自転車道を横断して歩道とバス停を行き来する構造です。
車道は片側1車線の計2車線で、バス停部分はバスベイが設けられています。
バスベイによる拡幅分はそのまま道路全体が拡幅しており、
歩道も自転車道も幅員の縮小は有りません。
バスベイは幅員2.75m(航空写真による簡易測定)で、
歩道と自転車道はバスベイに合わせて線形が外側に膨らんでいますが、
その擦り付け長は50〜60mも有ります。
View Larger Map
自転車からすれば非常に恵まれた線形ですが、
その為に追加の土地を確保するというのは、
日本の都市部では難しいでしょう。
郊外のバス停
52.144721, 5.367556
上と同じ場所の反対側です。バス停付近の交差点で
歩道(灰色)が自転車道(赤色)よりも道路中心側に移っています。
郊外のバス停
52.14456, 5.367259
バス停部分では自転車道が道路の最も外側に配置されています。
郊外のバス停
52.144411, 5.366979
歩道はバス停までで途切れており、その先は自転車道だけが続いています。
(反対側は歩道と自転車道が両方とも続いています。)
このような場合、歩行者は自転車道を通行する事になっています。
Reglement verkeersregels en verkeerstekens 1990 (RVV 1990)
交通規則・道路標識法 1990(略称:RVV 1990)
Artikel 4
- Voetgangers gebruiken het trottoir of het voetpad.
- Zij gebruiken het fietspad of het fiets/bromfietspad
indien trottoir en voetpad ontbreken.- Zij gebruiken de berm of de uiterste zijde van de rijbaan,
indien ook een fietspad of een fiets/bromfietspad ontbreekt.
日本語に訳しました↓
第4条
- 歩行者は歩道か歩行者専用道路を利用すること。
- 歩行者は、歩道か歩行者専用道路が無い場合は
自転車・モペッド道を利用すること。- 歩行者は、自転車・モペッド道も無い場合は
車道の端を利用すること。
郊外のバス停
52.141714, 5.360705
バスベイが無いバス停も有ります。
バスの停車位置は左右から縁石で挟まれており、
乗降中は後続車に追い越しをさせない構造です。
オランダ・フローニゲンのバス停
53.221399, 6.547627
53.221399, 6.547627
同様の道路構造はフローニゲンにも見られます。
広大な幅員を有する道路ですが、大部分は中央分離帯に割かれ、
車線は片側1車線しか有りません。やはり追い越しさせない構造ですね。
ただ、写真の場所は Noorderplantsoen 公園に近接する
閑静な住宅街の道路で、交通量はかなり少なかったです。
(車道と自転車道の間の緩衝帯はバス停の他にも
沿道住民の駐車場として供されていますね。)
電停 (tramhalte)
アームスフォートには路面電車が無いので、
代わりにアムステルダムの例を見てみます。
コンセートヘバウ (Concertgebouw) 前の電停
自転車道が有る道路です。中央から、路面電車の軌道、
乗降所、車道、自転車道、歩道の順で配置されています。
自転車道は一方通行で、道路の左右それぞれに有ります。
コンセートヘバウ (Concertgebouw) 横の電停
交差点を曲がってホール横手の道路です。
こちらには自転車レーンが有りますね。
上と同様、自転車レーンは一方通行です。
---
シリーズ記事の一覧
アームスフォートの自転車環境 (1) 市の概観
アームスフォートの自転車環境 (2) ネットワーク
アームスフォートの自転車環境 (3) 歩道
アームスフォートの自転車環境 (4) 自転車道
アームスフォートの自転車環境 (5) 自転車レーン
アームスフォートの自転車環境 (6) 車道
アームスフォートの自転車環境 (7) 横断歩道
アームスフォートの自転車環境 (8) バス停
アームスフォートの自転車環境 (9) 交差点
アームスフォートの自転車環境 (10) ロータリー
アームスフォートの自転車環境 (11) 踏切
アームスフォートの自転車環境 (12) 駅
アームスフォートの自転車環境 (13) 商店街通り
アームスフォートの自転車環境 (14) 広場