ロンドンの自転車レーンで今年7月に
死亡事故が発生しました。
現地では、路面にペイントしただけの自転車レーンの
安全性に対して(以前から有った)疑問の声が強まり、
縁石で構造的に分離された自転車道への軌道修正が求められています。
事故が起こったのはロンドンの自転車ネットワークで
旗艦路線と位置づけられるサイクル・スーパーハイウェイ2号線
(Cycle Superhighway 2, CS2)です。
被害者はロンドン留学中の20歳のフランス人女性で、
レンタサイクル(通称「ボリス・バイク」)乗車中に
交差点の直前で大型トラックに轢かれて死亡したそうです。
以下、当時の報道を抜粋して、和訳付きで紹介します。
2013年7月6日
Cyclist killed using mayor's hire bike
and Superhighway schemes
http://www.bbc.co.uk/news/uk-england-london-23210035
Last night (Friday) another cyclist
was killed at a junction in collision with a HGV.
Again the cyclist was a female and for the first time,
the cyclist was riding a hire bike (also known as a"Boris bike").
It also appears the cyclist was on the blue-painted Cycle Superhighway 2.
This time the collision was at the junction of
Commercial Road and Whitechapel Road in east London,
a junction well-known to cyclists for not feeling safe.
昨晩、またしてもサイクリストが交差点で
大型トラックと衝突し、命を絶たれた。
今回も被害者は女性で、レンタサイクル(通称「ボリス・バイク」)
乗車中の死亡事故としては初めてだ。
被害者は、青くペイントされた自転車レーン、
「サイクル・スーパーハイウェイ2号線」上にいたようだ。
今回の衝突はコマーシャル通りと
ホワイトチャペル通りの交差点で起こった。
〔原文の Commercial Road は Street の誤り?〕
サイクリストには危険箇所として知られる交差点である。
View Larger Map
ここですね。Street View でも見ましたが、
オランダの自転車インフラに比べると非常にお粗末な構造です。
あれだけの幹線道路で構造分離無しのペイントだけとか有り得んわ。
交差点の構造も左折時巻き込みが起こりやすい旧世代のもので、
とても先進的な事例とは言えません。
There will also be many questions about
where we are putting these Cycle Superhighways and
how they encourage cyclists on to certain roads.
They are on the busiest routes to decrease cycling commuter times.
どの道路にサイクル・スーパーハイウェイ(CS)を設置するか、
どの道路をサイクリストに推奨するか、
という点に関しても、今後多くの疑問が呈されるだろう。
既存の CS は自転車での通勤時間を短縮する為に、
車の通行量が多い道路に整備されている。
日本では逆に、成城警察署が自転車推奨ルートとして
住宅街の中の裏道を通るルートマップを発表していましたが、
信号機が無くて道幅が狭い分、出会い頭事故のリスクが高そうです。
参考
自転車安全ルート推奨マップ成城署版 実走映像(JABLaw代表理事のブログ)
2013年7月6日
First 'Boris bike' cyclist killed in lorry crash
http://www.bbc.co.uk/news/uk-england-london-23207691
Caroline Pidgeon, from the Liberal Democrat London
Assembly Group, said the initial superhighways were "flawed"
as they were "little more than blue paint put down on the road".
She added: "London needs to rapidly learn from practices
in Denmark and Holland and ensure we have widespread
segregated cycling lanes and junctions that are safe for all road users."
ロンドン議会自由民主党のキャロライン・ピジョン議員は、
初期の(サイクル)スーパーハイウェイについて
「路面を青くペイントしただけに過ぎず、欠陥品だ」と語った。
また、「ロンドンは速やかにデンマークや
オランダの技術を学んで、全ての道路利用者にとって安全な
分離型の自転車レーンと交差点を整備すべきだ」と付け加えた。
この文脈に於ける segregated(分離された)は
視覚的な分離ではなく構造的な分離を指しています。
つまり、日本で言う「自転車道」を整備すべきだという事です。
(これについて詳しくは次回の記事で紹介します。)
現状のロンドンの自転車レーンは車も進入できてしまう、というか、
車が進入する事を前提に設計されているので、
- 自転車レーンが路上駐車で塞がれる
- 車が自転車を追い越す際、不充分な側方間隔しか取らない
- 信号待ちの車列で自転車レーンが塞がり、自転車が前に進めない
- 信号待ちの間に先頭に出られなかった自転車が交差点で左折車に轢かれる
などの問題点が有るようです。これも次回の記事で。
2013年7月6日
A woman riding a Boris Bike killed
by a lorry on Boris's Cycle "SuperHighway" 2.
http://twowheelsgood-fourwheelsbad.blogspot.jp/2013/07/a-woman-riding-boris-bike-killed-by.html
Paint on the road is not cycle infrastructure;
TfL and the local councils need to confront this
before even more Londoners are killed.
路面に色を付けただけの物は自転車インフラではない。
ロンドン交通局と地方議会議員はこの事実を直視する必要が有る。
さらなる犠牲者が出る前に。
これは流石に極論です。路面標示だけの自転車レーンでも、
- 交通量が少ない
- 車の実勢速度が低い
- 路上駐車需要が無い
などの条件が全て満たされる道路なら安全は確保されるはずです。
You can interpet the story in many ways,
but one of them is surely that of a woman
lured by TfL's copious and expensive advertising
of 'cycling' into riding one of Boris Johnson's new Barclays bikes,
expecting to be safe on Boris Johnson's 'international standard'
Cycle Superhighway 2, and then being tragically killed
because the Cycle Superhighway is in fact a death trap
where cyclists mix freely with aggressive motorists
and HGVs that can, and do, kill them all too easily.
今回の事故はさまざまな読み解き方ができるだろうが、
一つ確かに言える事は、一人の女性が
ロンドン交通局の誇大広告に騙されたという事だ。
ボリス・ジョンソンが導入したシェア・バイク、
〈バークレイズ・バイク〉に乗って、
ボリス・ジョンソンが「国際標準」と謳う
〈サイクル・スーパーハイウェイ2号線〉を安全だと信じて、
そして、不幸にも命を奪われたのである。
なぜなら、サイクル・スーパーハイウェイは実のところ
死の罠だからだ。あの自転車レーンではサイクリストは、
攻撃的なドライバーやトラックといった殺傷能力の高い
存在と入り乱れて通行しなければならない。
Street View や現地サイクリストの写真レポートで見る限り、
CS2 は元から有った車の車線を潰してなどいません。
左端の車線を機能的に生かしたまま、
その中の左側半分を青く塗っただけですね。
(交差点の手前では帯状の塗装が無くなり、
車線の中に自転車のロゴを置いています。)
自転車インフラは整備するが、車の交通容量は落としたくない
という典型的な誤謬を犯しています。
都市の交通モードを自転車にシフトするという事は、
車の利便性を落とす事と表裏一体なのですが、
ロンドンはこの原則を認識できていないようです。
UK road casualty figures for those not on a bike
are at a record low, but this figure masks the fact
that cycling road casualties are increasingly sharply.
イギリスの交通事故の数字は自転車以外では記録的な低水準に在る。
しかしこの数字は、自転車乗車中の死傷数が急増している
という事実を隠している。
2006年頃から急増するロンドンの自転車事故
(図の出典は記事とは別の Twitter 投稿)
うわ、これは酷い。台数当たりで見た事故率は分かりませんが、
少なくとも、ロンドンの自転車インフラが安全でない事は窺えますね。
ロンドンのスーパー・サイクルハイウェイの実態
自転車レーンの意味ねえええええ!
What was just as concerning was that both of
the City of London and TfL are using the weasel words -
this route is for the 'experienced commuter' - to avoid
putting in any decent infrastructure to fatal routes like the CS2.
同じく懸念されるのは、
シティ・オブ・ロンドンもロンドン市交通局も、
「このルートは自転車通勤の上級者向けです」と責任逃れの言葉を使い、CS2 のような危険なルートに
適切なインフラを何一つ整備しようとしない姿勢だ。
強制エクストリーム出社。
こんなん毎日やらされてたら身が持たんわ。
Countless surveys tell us that the primary factor
putting people off cycling is that they think it's too dangerous.
Deaths, like the one on Boris's Cycle "SuperHighway" last night,
are only going to further reinforce this view.
幾つもの世論調査で明らかになっている事だが、
人々が自転車に乗らない最大の要因は、
自転車に乗る事が危険すぎると思われている事だ。
ボリスのサイクル・スーパーハイウェイで
昨晩起こったような死亡事故は、
この認識をますます強化してしまう。
日本で企業が自転車通勤を禁止している理由の一つでもありますね。
実際に危ないんじゃ説得の余地が無い。
2013年10月16日
Boris Bike Death Highlights Safety Concerns
http://news.sky.com/story/1155508/boris-bike-death-highlights-safety-concerns
"There will be more cyclists - that is what we want -
and we have to find new ways to keep them safe."
There have been calls for Boris cyclists to be given
reflective clothing and for segregated cycling lanes to be increased.
「サイクリストは今後もっと増えます。それ自体は望ましい事ですが、
彼らの安全を守る為に、新しい方法を見付けなければなりません。」
〔事故捜査官の発言〕
ボリス市長に対しては以前から、
サイクリストへの再起反射の服の配布と、
構造的に分離された自転車レーン〔日本で言う自転車道〕の
増設を求める要望が出されていた。
ロンドン市民は自転車レーンが良い物だなどとは思っていません。
安全の為に自転車道が必要だと訴えています。
She was cycling along one of the London Mayor's so-called
flagship commuter cycle routes, though the section she was on
provides no segregated space for cycling.
彼女は自転車に乗って、ロンドン市長の所謂「自転車通勤の旗艦路線」を
一人で移動していたが、事故当時、彼女が走行していた区間は
自転車の為の構造的な分離がされていなかった。
The front of the lorry collided with the rear wheel of the bicycle,
the inquest heard.
大型トラックの前部が自転車の後輪と衝突したとの証言が
事故調査の際に聞かれた。
Miss De Gerin-Ricard had been riding on the footpath
before passing the scaffolding,
possibly in a move to try to get past a bus.
ド・ジェラン-リカーハさんは工事現場の足場に差し掛かる手前まで
歩道上を走行していた。おそらくバスの横をすり抜ける為だったのだろう。
(中略)
Richard James, an HGV driver with 22 years' experience,
recalled that he had been travelling at about 10-12mph
in the slow-moving peak traffic when the accident happened
at about 7pm.
大型トラックで22年間の運転歴を持つリチャード・ジェイムズは、
事故が起こった午後7時頃、ラッシュの渋滞に嵌まり、
16-19 km/h 程度で進んでいたと回想する。
He was approaching the crossroads and the traffic lights were
probably on red. There was scaffolding from building works
at one side of the road.
彼は交差点に接近しており、信号機は恐らく赤だった。
現場には、道路の片側にビル工事の足場が組まれていた。
He told the inquest the first he knew of the crash
was the sound of a "tinkling or rattling noise
which I thought was my mirrors catching the scaffolding."
彼が事故捜査官に語ったところによれば、最初に衝突に気付いたのは
「チリンチリン、またはガタガタという音で、トラックのミラーが
足場に引っ掛かったのだと思った」という。
He added: "Then I could see a young lady tumbling backwards
off her bike. Then I stopped."
彼はこう付け加えた。「そうしたら若い女性が自転車から
後ろ向きに倒れ落ちるのが見えたんです。それで私は停車しました。」
足場が組まれていた事故現場
(2012年6月撮影, Google Street View, 51.515107,-0.072186)
左端の車線上に CS2 の文字が見えます。
この地点では車と自転車を混在させる構造だった事が分かります。
混在型の道路では自転車が車と一列になって動く限りは安全ですが、
それでは車と同じく渋滞に嵌まってしまい、
自転車の都市交通としての優位性が得られません。
当然、自転車は信号待ちの間に車の脇をすり抜けて前に出ようとします。
自転車の優先待機位置
(2012年6月撮影, Google Street View, 51.515066,-0.072312)
実際、それを前提とした待機スペースが車の前方に用意されています。
しかし、すり抜け中に信号が青に変わると、自転車が
左折車に巻き込まれて轢かれるリスクは急上昇します。
ただ、今回の事故は交差点手前の単路区間で
自転車が歩道から車道に降りた際に発生したようなので、
厳密には交差点での事故ではないのかもしれません。
記事から読み取れるのは、バス(停車中、あるいは低速で進行中)を
自転車が追い越そうとした事が発端だったようです。
ここで、日本の司法関係者は、サイクリストが歩道と車道を
行き来した事を過失として責めるかもしれませんが、それは誤りです。
なぜなら、ロンドンの自転車インフラはそもそも、
車の渋滞に影響されず、素早く移動できる事を謳って
整備された物だからです。
Transport for London - Cycling home
http://www.tfl.gov.uk/roadusers/cycling/11598.aspx
to get you into central London quicker
サイクリストは迅速な移動ができる事を期待して CS2 を利用します。
ところが、現実には自転車専用の通行空間が無く、
車に阻まれて、思うように進めない。となれば当然、
自転車はすり抜けなどの(時間)補償行動を取ります。
道路管理者が利用者にリスク・テイキング行動を
促しているも同然の構図と言えます。
加えて、ロンドン市交通局の交通安全広報では、
自転車で歩道と車道を行き来する事の危険性を扱っていません。
この事故予防ビデオは、自転車が一貫して車道を走る事しか
想定しておらず、その他の状況については触れていません。
死亡した女性は、渋滞で流れの遅い車道に
まさかあんな危険が有るとは予想できなかったのでしょう。
さらにもう一点、ヒューマンエラーの観点から
被害者を擁護する事もできます。
人間は一人ひとり危険予測力や安全態度が異なりますし、
同じ人物でも注意力の水準には波が有ります。
人間の集団を総体として見れば、
一定の確率でエラーを起こすのが当然で、
それを過失と見做すのは不適当です。
一方、道路行政の究極的な目的の一つは人命を守る事です。
道路管理者には、利用者のエラーをカバーできるだけの
安全なインフラを整備する責任が有ると言うべきで、
今回の事件ではロンドン市交通局に過失の疑いが有ります。
実際、事故現場の道路構造に対して警察の捜査が入っています。
2013年7月11日
Police investigate if road design
led to French student's Boris Bike death
http://www.standard.co.uk/news/london/police-investigate-if-road-design-led-to-french-students-boris-bike-death-8702737.html
Police are investigating if the design of the road may have caused
the French student cyclist to collide with an HGV lorry in Aldgate.
オールドゲイトの事故現場の道路の設計が
フランス人学生のサイクリストを大型トラックとの衝突に
導いた可能性について、現在、警察が捜査している。
2013年10月16日
Mother watches in horror as CCTV of her daughter's Boris bike death is played to court
http://www.standard.co.uk/news/london/mother-watches-in-horror-as-cctv-of-her-daughters-boris-bike-death-is-played-to-court-8883576.html
Ms De Gerin-Ricard's mother, Anne Boudet du Mochet,
reacted angrily when TfL's lawyer suggested that
the absence of high-visibility clothing was to blame for the crash.
She told the coroner: "The accident Philippine had was the straw
that broke the camel's back.
"There is a problem with cycle lanes. If anything had been done,
it hadn't been helpful to cyclists.
"I have heard that the clothing cyclists wear,
and Philippine was wearing, was discussed here.
"In fact, what needs to be tackled is the provision of proper lanes
for cyclists, so that cyclists are protected."
死亡したド・ジェラン-リカーハさんの母親、
アンヌ・ブデ・デュ・モシェさんは怒りの声を上げた。
ロンドン市交通局の弁護士が、
被害者が視認性の高い衣服を身に着けていなかった事が
事故原因だったのではないかと示唆したからだ。
彼女は捜査官に語った。「フィリピンヌ〔娘の名前〕が遭った事故は、
〔インフラの安全性についての不信感に対する〕最後の一撃となりました。
問題は自転車レーンの側に有るんです。もしこれで何の対応も
取られないなら、サイクリストたちの為になりません。
私はここで、サイクリストたちの服装とフィリピンヌの
〔事故当時の〕服装について議論されるのを聞きましたが、
本当に取り組むべき課題は、サイクリストの為に
適切なレーンを整備して、サイクリストを守る事です。」
大型トラックの高い運転席からはそもそも
地上の自転車が死角に入っていたかもしれず、
衣服の視認性を争うのは筋違い、という事ですね。
Bus driver Richard Brown said
Ms De Gerin-Ricard “seemed to wobble slightly”.
He said: “At one point she fell backwards
and came over more to her right side, into the road.”
Asked by the coroner what had caused the collision,
he said: “I really feel there was not sufficient space
for Philippine to attempt to pass the lorry.
“If there is going to be a cycle route it needs to be kerbed off
or some kind of similar arrangement,
particularly at busy junctions like Aldgate.”
〔事故現場に居合わせた〕バス運転手のリチャード・ブラウン氏は、
ド・ジェラン-リカーハさんが「少しふらついているように見えた」と言う。
「その途中で彼女は後ろ向きに引っ繰り返り、
そのまま右側、道路側に倒れた」
捜査官に衝突の原因を訊かれたブラウン氏は、
「あの場所では、フィリピンヌさんがトラックを追い越すのに
十分なスペースが有ったとはとても思えない」と答えた。
「もし自転車の通行空間を作るなら、縁石で隔てるか、
それに似た何らかの措置を取るべきだ。
特にオールドゲイトのような交通の激しい交差点では。」
サイクリストだけでなくドライバー側からも
青くペイントしただけの構造が批判されています。
Boris Johnson said today he was “absolutely determined”
to press on with a network of blue cycle superhighways
despite serious safety concerns being raised about them.
Coroner Mary Hassell said the lanes gave riders
a “false sense of security” and confused motorists.
A police accident investigator told her
they were nothing more than a “blue strip of paint”
at the inquest of Brian Dorling.
深刻な安全上の懸念が上がっているにも関わらず、
ボリス・ジョンソン市長は今日、
青いサイクル・スーパーハイウェイのネットワークの整備を
今後も続行する事を「固く決意している」と語った。
捜査官のメアリー・ハソー氏は、これらのレーンがサイクリストたちに
「誤った安心感」を与え、ドライバーたちを混乱させていると言う。
警察の事故調査官がブライアン・ドーリン氏の死因審問で
ハソー氏に語ったところによれば、
あのレーンは単なる「青色の帯ペイント」に過ぎないという。
ロンドンでは自転車レーンに法的な地位が有りません。
インフラだけ整備して法整備は怠っています。
The Mayor, speaking in China, said: “The cycle super highways
are very important. We’ll continue to roll them out.
We’re learning the whole time about how to do them
and we’re improving the lay-out.
“I’m absolutely determined to continue with that approach.”
He added: “The blue paint serves an important purpose
in showing the motorist that this is a place where
the cyclist is going to be in large numbers.
My message to Londoners is that
I still believe that it’s the right way forward for our city.”
ロンドンで取材に答えた市長は、
「サイクル・スーパー・ハイウェイは非常に重要だ。
我々はその展開を続けていく。我々はレーンをどう作るべきか
常に学んでいるし、その配置を日々改善している」と語った。
また、市長は「青いペイントは、そこを多くのサイクリストが通行する
という事をドライバーに示すという重要な役割を持っている。
ロンドン市民に言いたいのは、私は今でもこの方法が
私たちの市にとって正しい進歩だと信じているという事だ」
と付け加えた。
ここまで来ると、もはや狂信的とも言えますね。
自転車レーン教だわ。
2013年10月17日
Death of French student struck by lorry while riding Boris Bike "accidental"
http://road.cc/content/news/96501-death-french-student-struck-lorry-while-riding-boris-bike-accidental
上の記事を紹介する自転車系サイトの記事で、
コメント欄では議論が盛り上がっています。
2013年10月14日
Coroner blasts Mayor's cycle superhighway
http://www.standard.co.uk/news/london/coroner-blasts-mayors-cycle-superhighway-as-accident-waiting-to-happen-at-inquest-of-man-killed-in-crash-with-tipper-truck-8879430.html
これは別件の記事です。
サイクル・スーパーハイウェイ2号線の別の交差点で
2011年10月24日にサイクリストが轢き殺され、
スーパーハイウェイでの初めての死亡事故として注目されました。
After viewing CCTV evidence and pictures of the scene,
Coroner Mary Hassell said: “It just seems to me that
it’s an accident waiting to happen if cyclists are guided into
the space where blue paint is on the left and they’re in
the very place where the lorry is going to hit them.
事故現場の監視カメラの映像を分析した捜査官、
メアリー・ハソーによれば、
「事故は起こるべくして起こったという印象を受ける。
サイクリストが青いペイントに誘導されて進むと、
まさしく大型トラックが被害者を轢いた位置に立つ事になるからだ。
事故現場はラウンダバウト(環状交差点)で、
案の定、オランダ方式ではありません。
Asked by the coroner what status cycle superhighways had
in relation to vehicles not being permitted to enter,
PC Hewitt said: “Legally nothing. It’s just a piece of blue paint.”
サイクル・スーパーハイウェイの位置付けについて、
車の進入が禁止されているかどうかという観点で
捜査官から質問された PC・ヒュイットは
「法的には何の効力も無い。あれは単なる青いペイントだ」
と答えた。
これは日本も似たり寄ったりの状況でしたっけ。
自転車レーン上への車の駐車や侵入が法的に禁止されていないという。
---
さて、長々と見てきましたが、要は
ロンドンの自転車政策はまだまだ試行錯誤の渦中に在るという事です。
五輪が切っ掛けでロンドン市内に
理想的な自転車インフラが一挙に整備された、
まるで奇跡だ、と誤解している人が日本には居ますが、
彼の地で奇跡など起こっていません。いまだに失敗し続けています。
このような未熟な都市を
先進事例と誤認して追従するのは実に愚かしい事です。
You get what you pay for.
安価で導入できるからと言って自転車レーンに飛びついた結果がこれです。
安物買いの銭失い。それどころか、命まで失っている。
事実を冷静に直視しないと、
日本も同じ轍を踏む事になります。