現在まとめている提言案が、来週の大討論会参加者向けに配布されました。
提言の内容はまだ確定していませんが、
とりあえず、2013年10月24日版を見た感想を書いてみます。
内容の公開は特に制限されてはいないので、原文をそのまま引用します。
まずは前書きから。
国民の健康増進及び地球環境保全に寄与するとともに、
化石エネルギー価格の高騰、超高齢社会に対応する
コンパクトシティ化などにもふさわしい交通手段として、
自転車を安全・快適に利用できる環境を整備することは喫緊の課題である。
自転車推進派の主張を概ねカバーしていますね。
ただ、これらの言葉にどこまでの含意を読み取って良いものか。例えば、
- 車が無ければ生活できない地域は自然に還し、人間のテリトリーを縮小する。
- 自動車産業に見切りを付け、新しい産業分野に大シフトする。
- 発展途上国も含め、全世界に対して車依存からの脱却を求める。
主張が込められているんでしょうか。
それはさておき、前文の続き。
また、7年後に開催する東京オリンピック・パラリンピックに向けて、
世界最高水準の自転車利用環境を含む都市交通の多様な選択肢を用意して、
わが国らしい「おもてなし」を実現するとともに、
競技スポーツとしての自転車を強化し、選手層の裾野を拡大するため
日常的に訓練ができる環境の整備を進めなければならない。
多様な移動手段が「日本らしさ」なのかどうかは疑問ですが、
意気込みは感じられました。
後半は凄いですね。「進めなければならない」とまで言い切った。
私は体育会系でもなく、国の威信なんかもどうでも良いので、
この価値観にはちょっと共感できません。
ここから先が提言の本体で、
- 長期的な自転車インフラ整備の考え方
- オリンピックの準備
まずは前者から見ていきます。
1) 国は、自転車政策の一元化及び政策実現を促進するため、
国民の意見を広く取り入れることを前提とし、
自転車総合対策閣僚会議(仮称)を設置して、
主にこの任に当たる特命担当相を設けること。
なお、特命担当相の任命に当たっては
「サイクリストであること」を資格要件とすること。
ふむ、良いですね。自分では自転車に乗らない役人が
机上の空論で決めてしまっていた今までとは大違いです。
ただ、一つ心配なのは、自転車文化の未熟国である日本に、
望ましい政策・インフラの形を判断できるだけの目利きが居るのか
という事です。政治家、官僚、学者、一般市民の別を問わず。
漫然と自転車に乗っているだけでは
危険を察知する能力は身に付きませんし、
道路構造の問題点を的確に指摘できるようにも成りません。
かといって、統計を見ているだけでは、
数字に上がって来ない無数のニアミス事例を知る事はできません。
もういっその事、明治時代のお雇い外国人の例の如く、
オランダ人の専門家を招聘した方が近道なんじゃない?
2) 国会は政府とも協議し、
高齢化などの社会構造の変化に対応する
道路、及び交通に関する法律の見直しを含め、
自転車の違反などに適用する反則金制度や
賠償責任保険の義務化などを検討し、
国民がルールの解釈で迷うことがないよう
簡素化の方向で改正を目指すこと。
一応頷けますが、法・令・規則・条例については、
「簡素化」という言葉だけだとちょっと不安です。
- あちこちの法令に散らばったルールを集約する事や、
- 実情にそぐわない不合理な規定を正す事、
- 言語学の知見を生かした上での「読みやすさ」を実現する事
3) 国は、自転車利用がもたらす国民の健康増進効果や
医療費削減による経済的メリットを適正に評価し、
利用を推進するための総合的な都市交通政策を立案し、
利用環境の戦略的改善計画を国民に示すこと。
これは良いですね。
でも計画は国が独りで立案するんだ……。
4) 国及び地方自治体は、平成24年11月に政府が示した
「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」に基づき、
速やかに自転車レーン及び自転車ネットワーク路線を選定し
整備を進めるともに、その他の路線においても
歩行者・自転車・自動車すべての交通の安全を高めるため、
車道における自転車走行場所を、自転車利用者のみならず、
特に自動車の運転者から視認しやすいよう明示すること。
あれ? 自転車道を作る気はさらさら無いのかな?
適切に設計された自転車道は安全で走りやすく、
自転車の利用促進効果も期待できると思うのですが。
参考記事
それから、「視認しやすいよう明示」というのは、
人間の注意力に頼り切っていて脆弱な印象を受けます。
信号の有る交差点では自転車と車の動線が交差しないように
分離信号を導入すべきですし、信号の無い交差点では
車道にハンプを設けて車を減速させるべきでしょう。
5) 国及び地方自治体は、車道に明示した自転車の通行部分が
自動車の駐停車によって妨げられ、新たな危険を生じさせる
ことのないよう配慮するとともに、道路外の荷捌き場所の確保に努め、
バスレーンにおける自転車と路線バスの共存を促す施策を講ずること。
また、パーキングチケットなどによって一定時間の路上駐車を
認めている道路を見直すこととした警察庁の方針を
速やかに実現できる代替の駐車環境整備に努めること。
この項目には大いに疑問を感じるので徹底的に叩きます。
まず、自転車レーンが路駐に塞がれるという問題について。
道路の端に駐停車できるというのは
ドライバーにとって非常に大きな既得権益なので、
「自転車レーンを引いたから今日からここには停めるな」と言っても、そう易々と従う訳が有りません。
(取り締まり人員も決定的に不足しています。)
むしろ、自転車レーンという構造自体が、ドライバーに
無意識の内に罪を犯させる欠陥構造なのだと捉えるべきです。
縁石で区切られた自転車道ならそうした大衆のエラーを未然に防げるので
優れた構造と言えます。なんで毛嫌いするの?
次に「道路外の」荷捌き場所と有りますが、
荷捌き場所を道路の「外」に設置する必然性は有りません。
むしろ、道路の外では、トラックが自転車と歩行者の通行空間を
横切る形になってしまいます。(裏道なら話は別。)
幹線道路沿いであれば、自転車道と車道の間に
3.0 m ほどの幅の緩衝帯を設け、ところどころに切り欠きを作り、
そこを荷捌き場所とする方が合理的です。この方式なら、
交差点や横断歩道の直近には切り欠きを作らない事で、
事故要因になる駐停車を防ぐ事もできます。
参考
それからバスレーンの共用についてですが、
今後、スポーツタイプの自転車が通勤用として普及してくれば
(もう一部の地域では相当普及してますが)、
旅行速度で自転車がバスを上回るケースが出てくると予想されます。
参考記事(再掲)
そうなると、自転車が停車中のバスを追い越そうとして
隣の車線の後続車に追突される事も増えるでしょうし、
逆に、バスが自転車を抜き返そうとして
幅寄せ的な事故を起こす事も有るでしょう。
(一部のバス運転手は、ギリギリの側方間隔で運転できる事を
誇っている節が有ります。また、自転車の速度を
実際よりかなり低く誤認する運転手もいます。)
自転車を都市で最速の交通モードとしてプロデュースするなら、
やはり、バスとは別の専用レーン・専用道が有った方が良いです。
最後に路上パーキングを廃止する為の代替駐車場の整備についてですが、
これはそもそも、都市の移動手段として車という選択肢を
許容している時点で間違っています。代替駐車場を用意するのではなく、
車の利用自体を抑制する方向で考えるべきでしょう。
6) 国及び地方自治体は、平成23年10月に警察庁が発した通達
「良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策の推進について」
の実施を徹底するため、自転車を利用するすべての公務員にその遵守を促し、
国民の模範となる自転車利用のあり方を示すよう啓発すること。
もう一歩踏み込んで欲しいなあ。
公務員の車通勤を制限するとか、自転車に乗り換えるように促すとか。
特に、インフラを担当する部署の職員にはできるだけ自転車に乗ってもらいたい。
(ついでに、街中での車椅子体験とか盲体験とかもしてもらいたい。)
7) 国及び地方自治体は、平成11年に決定された
「歩いて暮らせるまちづくり」の精神に則り、路線バスなどの
公共交通を優先させるとともに、パーソナルな移動手段としての
自転車や歩行者などに配慮した交通政策を進め、
高齢者など自転車を利用する人の安全性・移動性を維持し、
過度な自動車依存・優遇施策を抜本的に見直すこと。
「過度な」ってのが主観的で曲者ですね。
車にどっぷり浸かった生活をしている人の意識だと、
500 m の移動に車を使うのはさすがに依存し過ぎ。とかなっちゃいそう。これは数値目標が必要でしょ。
でも 1 km なら徒歩だと15分だし、車に乗るのが当然。
それから「優遇施策」というのも、
ドライバーを甘やかし過ぎな環境が当たり前の現状では、
そもそも何が「優遇」なのかピンと来ないかも。
- 車道の交通容量を何パーセント絞るとか、
- 一方通行、右折禁止を増やして旅行速度を何 km/h 落とさせるとか、
- 車関連の諸税を何パーセント上げるとか、
- 運転免許の取得可能年齢を20代後半に遅らせるとか、
- 適性試験を厳格化して、免許制度を選抜的な性格にするとか、
- どんな違反でも一回で免停、悪質なら免許失効+車の没収にするとか、
2013年11月25日 追記
地球温暖化を巡る問題について、まだ私自身が知識不足なので、
取り消し線を引いた部分の意見は保留にします。
8) 国及び地方自治体は、特に都市における緩速交通に対応する
道路交通関係の法的、制度的整備を促進するとともに、
公共交通機関との連携により地方と都市部をともに活性化させる策として
「サイクルトレイン」の活用などを検討すること。
前半は抽象的で何言ってるか分かりませんが、
後半は多分、自転車を分解せずにそのまま載せられる列車ですね。
大型駅だと自転車を持ち込むだけでも何かと大変なので、
構造が単純で乗降客が少ない小規模駅が意外と注目されるかもしれません。
原宿の宮廷ホームとか(笑)
9) 国は、推進してきた交通安全政策を強化し、
省庁横断的な協調体制を構築して、
特に自転車の安全運転に対する教育制度と
指導者育成システムを構築すること。
そのとおり。教育はとても重要です。
交通安全の分野に限って言えば、
生まれたままの人間は野生動物と大差有りません。
- 安全確認はしない、
- 信号には従わない、
- 欲望と本能のままに動く、
- 気に食わない奴は攻撃する、
「教育」なんて言葉では生温い。
キバを抜き、ツノを落とすくらいの覚悟で立ち向かわないと、
次から次へと生まれては押し寄せる新世代の個体群は、
交通社会をあっという間に大混乱に陥れます。
(自転車に関しては現状がまさにそれです。)
文科省には、教育のプロとして積極的に関与して欲しいですね。
10) 国は、都道府県単位で「防犯のため」に限定されてきた
登録制度を発展的に見直し、自転車駐車の適切な管理や
整備にも利用可能な全国規模の「自転車登録制度」の創設を検討すること。
これはどうなんだろう。都道府県を横断して
盗難車を捜索できるようになるなら、
それはそれで良いかもしれませんが。
11) 担当大臣は、自転車の活用推進に功績のあった人や組織を
「自転車カリスマ(仮称)」として選考し、活用する制度の創設を目指すこと。
カリスマにでも頼らないと現状打破できない
という認識なんでしょうか。なんか危ういな。
12) 国は、工業製品としての自転車の安全性を確保するため、
設計製作、整備に携わる人材を育成し、
国家資格として免許を発行するとともに、
国認定の安全基準を制度化し国民が安心して利用できる
良質な自転車の供給体制を整備すること。
日本の自転車産業を復活させる機運になるかも。
同時に中国製の粗悪なママチャリの排斥が始まるのかな?
続いて、オリンピックの準備に関する部分。
1) 国及び地方自治体は、東京オリンピック・パラリンピックに向けた
都市交通の新たな手段として自転車利用を選択肢のひとつと位置付けて
安全快適な利用環境を整備するとともに、国際的に普及が進んでいる
シェアサイクル(共用自転車システム)の民間が取り組む管理手法を
支援して、従来、駐車しか認めていない車道部分を含め
利便性の良いステーションを確保する為、必要な規制の緩和、
関連法規の運用の見直し、及び導入予算についての措置を講ずること。
利用環境には「安全快適」に「直感的」の文字も加えて欲しいです。
私がオランダに行った時は「右側通行」というだけで大混乱しました。
2) 国及び東京都、各特別区は東京オリンピック・パラリンピックに向け、
選手村を起点としてすべての会場及びその周辺までの道路の車道部分に
「自転車通行帯」を設置する路線の選定を行い、整備計画を策定する
とともに、盗難やいたずらの起きにくい駐輪場を確保すること。
ここでも自転車レーン一択なんですね。
自転車道も構造次第で良い物に化けるんですが。
それにしても、この日本語は強烈にきもちわるい。
一文の中に「すべての」と「選定」が共存している。
どっちだよ!
言いたい事は
- 選手村と各会場を自転車通行帯で繋げる事
- 自転車通行帯を整備する路線を選定する事
読みにくくなってしまっています。2文に分割すれば良いのに。
3) 国及び地方自治体は、自動車、歩行者やランナーと交錯しない
独立したスポーツ自転車のための走路を設定するとともに、
障害者の自転車利用の利便性を高めるためにも
パラリンピックの正式種目であるタンデム自転車の
公道での通行を規制している都道府県においては規制を緩和し、
環境にやさしく人にやさしい「おもてなし」の
自転車タクシーの一層の普及と活用を図るため、
自転車の座席数に応じた乗車を可能にする方策を講じること。
トレーニング・コースの整備。
現実的には河川敷道路に作られるでしょうね。
最近はスーパー堤防化で天端の通路幅も広がっているので、
天端は歩行者・ランナー、河川敷は自転車という
棲み分けが実現するかもしれません。
もちろん、あの忌々しい車止めも全部取っ払って。
これは良い。期待できる。
2013年10月28日 追記
提言案には一つ重大な要素が欠けているのに気付きました。
自転車インフラのフィードバック制度の提言です。
車だけを考えて作ってきた今までの道路についても言える事ですが、
ひとたび事故が起こると、真っ先に警察が現場検証をしますよね。
しかし彼らは基本的に、
どちらの当事者が悪いかを調べる事を主眼としており、
道路自体構造の欠陥にはあまり疑いの目を向けていません。
結果、国交省や都道府県、市町村などの道路管理者は
道を作ったら作りっぱなしで、欠陥構造の責任を問われる事は有りません。
グレーチングの固定忘れやトンネル崩落など、
明らかにドライバーの過失ではない場合は別ですが、
事故の一因として疑わしい程度では、
道路管理者を訴えても勝てません。
では道路管理者は自ら事故・ニアミス事例を集めて分析し、
日夜、道路構造の改良に取り組んでいるかというと、
基本的には道路構造令やガイドラインの類いに頼りきりで、
それらに則っている限りは何もしなくてよいと考えているのが実態でしょう。
フィードバック回路が無いんです。
この事の恐ろしさを物語る一つの典型的が、以前の記事でも紹介した、
ロンドンの自転車レーンでの死亡事故に対する
ボリス・ジョンソン市長の反応です。
“The blue paint serves an important purpose
in showing the motorist that this is a place where
the cyclist is going to be in large numbers.
My message to Londoners is that
I still believe that it’s the right way forward for our city.”
青いペイントは、そこを多くのサイクリストが通行する
という事をドライバーに示すという重要な役割を持っている。
ロンドン市民に言いたいのは、私は今でもこの方法が
私たちの市にとって正しい進歩だと信じているという事だ。
(元記事の出典)
市長、反省してねえええええええええええ!
為政者の間違った自己肯定的な態度にブレーキを掛けるためにも、
行政に靡かない独立機関が道路構造の面から事故原因を調べ、
問題点を指摘し、改善させる必要が有ると考えられます。
できれば、事故直後に現場に急行して調査できる
専門チームが欲しいですね。もちろん警察の捜査権より優先される形で。
私と似たような事は、今から約50年も前の政治家が言っています。
国会会議録から引用しましょう。
年月日 昭和41(1966)年10月26日
会議名 衆議院——地方行政委員会交通安全対策に関する小委員会
発言者 門司 亮
それからもう一つ、私が最も遺憾に考えておりますことは、交通事故に対する政府の責任であります。これはあらためて警察から資料を出してもらいたいと思いますが、道路構造によって必然的に起こったと考えられる事故に対する道路管理者の責任は、一体どうなっているか。何でもかでも事故を起こせば運転手が悪いのだ、道路が十分に歩行者が歩けないようなどろだらけの道路になっておって、そうしてそういう場合に事故が起こる、それでも運転者の過失である、あるいは歩行者の過失である。もう少し事故に対しては、国も個人も、地方の行政を担当しておるものも、一体となってこれに当たる覚悟が必要じゃないか。道路管理者に対するそういう責任は、一体どれだけこの法律の中にありますか。
(中略)
この道路構造の上で事故が起こったら、一体だれの責任なのか。政府の役人は、自分たちのやったことだけが正しいのだ、あと起こったものはすべて国民の責任だというような思い上がったものの考え方はやめてもらいたい。道路構造の欠陥からくる交通事故に対しては、道路を管理している管理者の責任としてこれを処分する、始末をしていくという責任体制をぜひ確立してもらいたい。そうしなければ、いつまでたったって道路、踏切なんというものはよくなりはしない。
参考記事
国会会議録——自転車を歩道に上げるまで (1)
では、仮にそのような事故調査チームが設置され、活動したとしましょう。
ここで一つ考えられる懸念は、フィードバックで責任を取らされるのを嫌って、
道路管理者が新たな自転車インフラを作るのを渋るのではないか、という事です。
チームは独立の専門機関ですから、当然、道路構造令の粗も暴き出します。
「基準通りに作った」という言い訳は通用しません。
各地の道路管理者だけでなく、国交省の担当者も責任を問われるでしょう。
これは確かに、萎縮させてしまいそうです。
いやいや、それを避けるための社会実験だろ?
現在、札の辻交差点や千石一丁目交差点で試行されている
新しい自転車レーンや交差点構造は、紛れも無く実験台です。
ここで詳細にデータを取っておけば、
それを構造令やガイドラインに活かせる。
この道路構造がどのような危険を誘発するのか、
この道路構造に対して人々がどのように反応するのかが分かる。
ところがその貴重な機会を、国交省や警察庁は
活用しているようには見えません。
せいぜい、自転車レーンの整備前と整備後に一回ずつ、
自転車がどの通行帯を何台通ったというのを数える程度で、
それすら、プリテストとポストテストの曜日や気象条件がバラバラですし、
ラッシュの時間帯だけという偏ったサンプリングをしていますし、
対照群(自転車レーン未整備の別の交差点)も設けていません。
要は、効果を科学的に検証するつもりなど無いという事です。
本当にただの自己満足ですね。
現場をちょろっとでも見れば、整備後の交差点構造にも
多数の問題点や事故リスクが潜んでいる事は一目瞭然なのですが、
そんな事は報告書では触れられていません。
(例えば千石一丁目交差点で言えば、
青信号に変わってしばらくしてから交差点に来た自転車が
左折車に撥ねられるリスクが高いとか、
交差点の直近まで自転車レーンが無い不忍通り側では
車の渋滞に自転車も嵌まってしまう、など。)
参考記事
自転車ナビラインの統計と実態
荒川河川敷道路にも悪しき例が有りました。
歩行者と自転車の通行区分実験では、狭すぎる自転車通行帯の所為で
実験期間中に負傷者が出たにも関わらず、
国交省・荒川下流河川事務所は責任を認めませんでした。
この実験では結局、河川事務所は何の反省もしないまま、
通行区分線を「墨塗り」して終了するという最悪の幕引きとなりました。
参考記事
荒川の通行区分実験が終了
フィードバックの欠落とはこういう事です。
間違った方向だと薄々気付いていても、
軌道修正せずにそのまま進んでしまう。
望ましい自転車環境を手に入れるには、
フィードバックの制度化は是非とも必要です。
これは絶対、提言に含めるべきでしょう。