炊いた白米が不味いという記事を書きました。
しかし、メーカーの技術者が情熱を傾けて
開発に取り組んだであろう製品が、そんな、
米農家を冒瀆するような代物である筈がありません。
炊飯器本来の実力を探る為に再検証を行ないました。
まず、当初の条件と食味評価です。
米の種類: 長野県産コシヒカリ (2012年秋の新米~2013年2月現在まで)
炊飯コース: 白米、ecoモード (出荷時設定)
浸水時間: 0~10時間 (米を洗ってから炊飯を開始するまで)
予約: なし
炊き上がり直後でも米の甘みや香りが弱く、
米粒表面の膜がボロボロに破けて形が崩れており、
咀嚼するとべちゃっと潰れて澱粉糊のような食感です。
米の温度が下がると絶望的に食欲が殺がれます。
自転車で100km走ってお腹を空かせた状態でも
あまり箸が進みませんでした。
次に、別の条件で調理した場合の評価です。
米の種類: 長野県産コシヒカリ (2012年秋の新米~2013年2月現在まで)
炊飯コース: 白米、かまど名人
浸水時間: 0~10時間 (米を洗ってから炊飯を開始するまで)
予約: なし
【ecoモード】から【かまど名人】へ、一挙にレベルアップさせてみました。
炊き上がりの香りが良く、米粒の形状も綺麗に保たれています。
噛み潰すと、引き締まった表面の膜がぷちぷちと弾け、
ふっくらと柔らかい中身が広がり出てきます。
咀嚼を続けても澱粉糊のようにはならず、
程好い甘みと共に徐々に崩れていきます。
というわけで、決して駄目な炊飯器という事ではなく、
本気を出せば普通に美味しい米が炊けるという事が分かりました。
以前使っていた炊飯器との比較では、炊き上がり直後の味は
代わり映えしませんが、保温が長時間に及んだ時の
味の劣化の少なさは注目に値すると思います。
ただ、出荷時の初期設定として、
あまり美味しく炊けないecoモードがセットされているのは、
技術者にとっては本懐ではないのかもしれません。
ecoモードでも、炊飯開始前に米油などの植物油を数滴垂らしておくと
ベチャ付かずに炊き上がり、そこそこ良い味に仕上がるのですが、
やはり箱から出したそのままの設定の炊飯器で、
オーソドクスな調理手順に従い、何も考えずに炊飯ボタンを押して
美味しいご飯が炊き上がる方が、ユーザーの体験としては好ましいと思います。
2013年2月15日 追記
考えてみれば炊飯器というのは
家事を担う実働部隊の一員なわけです。
多くの候補生の中から能力を見込んで採用してくるわけです。
その新人が(モード設定をしないと)現場に入ってから
へまばかり繰り返すのでは、流石に失望するでしょう。
逆に有能な働きを見せれば
賢い子
と、擬人化までされて可愛がられるわけです。
そこの所、家電メーカーの人たちは分かっているのかな?
ちなみに、炊飯コースで【ecoモード】から【かまど名人】へ
レベルアップと書きましたが、どれだけ階級が上がったのか。
- かまど名人 ←
- そくうま
- 早炊き
- ふっくら古米
- しゃっきり
- ふつう
- やわらか
- もちもち
- おこげ
- 蒸気セーブ
- ecoモード ←
あれ、でも良く見るといろんな評価軸が混在していますね。
炊飯コースという単一の設定項目に押し込めるのは
直感に反していて、かなり分かり難いです。
【そくうま】と【早炊き】はどっちが早いんだ、これ……。
【かまど名人】は炊き上がりを加減してくれないのか……。
ていうか、【ふつう】は【かまど名人】より不味いのか?
色々とっちらかったユーザー・インターフェイスだ。
しかも設定を弄ったら【炊飯スタート】ボタンを押さないと
設定を確定できないという操作系。き゛も゛ち゛わ゛る゛い゛。